部門・研究委員会活動(平成13年 6 月現在)
本会に設置されている各部門・研究委員会は,各種材料の構造,物性ならびにその応用に関する研究を目的として日々活発な活動を行い,顕著な成果を挙げております.以下に,それぞれの委員会の発足から現在までの活動内容および今後の活動方向を紹介するとともに,加入を希望される場合の要領についてもお知らせいたします.

疲労部門委員会
(1)委員会の沿革と活動内容
本部門委員会の設立は,本学会の前身である日本材料試験協会創立の翌年,昭和28年5月であり,本学会で最も長い歴史を刻んできた.委員会設立以来,委員会を毎年ほぼ5回開催し,既に半世紀近くを経て,平成13年3月までに254回の委員会を開催している.委員も設立当初の30名足らずから,現在では250名を超え,本学会において最大の委員会に発展してきた.
本委員会は,疲労事故の防止と疲労問題の解決に向けて,大学・研究所のみならず,設計の現場において疲労の問題に携わっている幅広い関係諸氏が多数参加され,活発な活動を行っている.活動内容としては,既存の材料のみに止まらず新素材も含めて,それらの疲労現象の本質や疲労破壊の機構に関する基礎的研究から,現場における疲労設計技術の開発に関する応用的研究に至るまで,幅広い疲労問題を取り上げて,社会的ニーズにも応じてきている.
委員会は,委員会運営や疲労研究に関する諸事項を審議するとともに,年間計画のもとに原則として年5回開催し,設定されたテーマに関する研究討論会を企画している.最近取り上げた研究討論の主題は,「今後の疲労研究−21世紀への展開を目指して」,「デジタル時代の強度設計システム」,「新しい疲労強度評価法と適用の最前線」,「生体および生体材料の強度と疲労」,「設計・保全・安全性」などであり,各専門分野で活躍されている諸氏による講演,ならびに当日配付される討論会資料をもとに集中的な研究討論を行っている.また,企業や研究所等における関連施設の見学も随時実施している.なお,本委員会委員以外の方で,本委員会の研究討論会(演題は本学会のホームページで閲覧可能)で配付された資料の入手を希望される方は,本学会事務局にその旨を申し出ることによって,有償で入手できることを付記しておく.
(2) 本委員会への加入方法について
委員委嘱については,幹事会の議を経て,委員会に諮って承認を得ることになっている.原則として,本委員会委員の推薦によるが,加入希望者は直接日本材料学会事務局宛に文書で申し出られてもよい.ただし,本委員会の委員となるには本学会の会員でなければならない.また,資料費(委員会費)として,大学・官公庁・企業等から個人委員として加入される場合は年間1,500円を,企業から法人委員として加入される場合は年間25,000円を,それぞれ納入していただくことになっている.
(3) 本委員会による企画事業
○疲労シンポジウム
本学会の破壊力学部門委員会と協調し,隔年で秋に「疲労シンポジウム」を企画している.なお,疲労シンポジウムを開催しない年には,同じく本学会の強度設計・安全性評価部門委員会と共催で「機械・構造物の強度設計・安全性評価シンポジウム」も実施している.第25回疲労シンポジウムは,平成12年11月21日〜22日,錦秋の京都にて,Arthur J. McEvily教授(米国,University of Connecticut)を招待し,開催された.McEvily教授による“Failure Analysis” と題した特別講演に加えて,オーガナイズド・セッションとして「高強度材の組織と高サイクル長寿命疲労特性」,「材料の疲労モデルとデータ解析法」および「新しい顕微鏡による疲労機構の微視的観察」も設定し,総計75件の講演発表があり,活発な討論が行われた.また,参加登録者も153名で,盛会裡のうちに終了することができた.なお,今回のシンポジウムで発表された論文を中心とした特集号が会誌「材料」の平成13年10月号 (Vol. 50, No. 10) に掲載される予定である.
また,前回の第24回疲労シンポジウムから,特に若手研究者の今後の一層の活躍を奨励するため,シンポジウム開催の当該年度末で満35歳以下の講演者のうち,審査により優秀と認められた方に「優秀研究発表賞」を授与することにした.第25回シンポジウムにおいても,候補者38名を対象に,論文の事前審査により候補者を厳選し,さらに最終的な講演発表の審査を経て,第254回疲労部門委員会にて5名の若手講演者に賞状ならびに副賞として盾を授与した.今後も若手の方々に積極的に参加していただければ幸いである.
○疲労講座
疲労問題に関する啓蒙と疲労の基礎的知識を広く普及することを目的とし,疲労講座を年1回開催している.併せてその時々のトピックスや開催地での地域性も織り込んで,多様な企画を行い,毎回好評を博している.昨年第20回目を迎えた疲労講座は,名古屋市で開催し,企業や大学等から150名が参加され,盛会裡に実施された.この疲労講座では,テーマ「疲労の基礎と応用」のもとで,「疲労の基礎」,「応力集中部・欠陥材の疲労強度」,「アルミ合金溶接継手の疲労」,「高分子および高分子系複合材料の疲労と耐久性」,「表面改質材の疲労」に関する講演が行われた.
○公開研究討論会および学術講演会オーガナイズド・セッション
本学会の通常総会・学術講演会の併設行事として,公開の研究討論会を実施している.また,学術講演会ではオーガナイズド・セッションも企画担当している.本年5月開催の通常総会・学術講演会は,本学会の創立50周年にあたり,このため本年は公開研究討論会を中止したが,それに代わって創立50周年記念国際行事の一環として国際研究集会「21世紀の材料学」において「疲労 21世紀への展望」と題する国際シンポジウムを企画した.本国際シンポジウムでは,特に米国からUniversity of California の R. O. Ritchie 教授,NISTのC. Sturrock博士,Lehigh University の R. O. Wei教授およびフランスから CNAM/ITMA の C. Bathias教授の計4名の方々を招待し,その招待講演に加えて国内外から応募のあった一般講演23件により,“Database and Its Statistical Analysis”,“Ultra Long Life Fatigue”(2セッション),“Modeling and Simulation”,“Microstructure and Defect”,“Environment-Assisted Fatigue”,“Crack Initiation and Small Crack”の計7セッションを構成し,多数の参加者を得て盛会のうちに終えることができた.なお,本シンポジウムで発表された論文は,“Materials Science Research International Special Technical Publication-1”に掲載されている.
また,記念学術講演会では,オーガナイズド・セッション「表面改質材の新展開−機能と強度」を企画し,学術講演会活性化に対しても積極的に貢献した.
(4) 分科会活動について
本委員会には,特定のテーマを集中的に討論できる場を提供するため,分科会を設置している.現在「疲労過程における組織構造変化に関する研究分科会」,「セラミックス強度研究分科会」および「表面改質材強度研究分科会」が設置され,共同試験等も含めて,それぞれの研究テーマを中心に活発な活動が推進されている.なお,このほかに諸規格等に関する照会や検討依頼があった場合に対処できるように「規格検討分科会」も置いている.
(5) 出版等事業について
○一般図書
本委員会が中心となってこれまでに出版してきた書籍としては,「疲労試験便覧」,「金属の疲労」,「金属材料疲労設計便覧」,”CJMR Vol. 1 Current Research on Fatigue Cracks”,”CJMR Vol. 2 Statistical Research on Fatigue and Fracture”,”CJMR Vol. 14 Cyclic Fatigue in Ceramics”,「疲労設計便覧」がある.また,「材料の疲労に関する研究の趨勢」を昭和30年以来,本委員会に設置した編集委員会が中心となって編集・刊行してきている.この書籍の特徴としては疲労研究内容の歴史的推移が明確に把握できるだけでなく,疲労研究の実施に際して関連情報を容易に入手できるというデータベース的な役割も果たしている.さらに,後述のデータベースに基づいて「金属材料疲労強度信頼性設計資料集」も発行している.このほか,委員会内部資料として「金属疲労の歴史」を発刊したが,非常に好評につき特に新規委員向けに増刷を行った.
○データベース
本学会の信頼性工学部門委員会による協力のもとで昭和57年に「金属材料疲労強度データ集」(Vol.1〜Vol.3)を,平成4年には「同データ集」のVol.4とVol.5を,さらに昭和58年には「金属材料疲労き裂抵抗データ集」(Vol. 1およびVol. 2)を,それぞれ出版した.これらのうち疲労強度データ集に収録されたデータについては,本委員会に設けられたデータベース管理委員会がその後デバッグ作業を精力的に行い,データ内容の信頼度を大幅に向上させた.それらの成果は,既刊のVol. 1〜Vol. 5を再編集した“Databook on Fatigue Strength of Metallic Materials” (Vol. 1〜Vol. 3)としてまとめられ,平成8年に本学会とエルゼビア社による共同出版を行った.これにより,頒布も国内のみならず広く海外にも向けて開始し,好評を博した.また,前記のセラミックス強度研究分科会が主体となって収集したデータをもとに,“Ceramics Strength Database” (Vol. 1) も刊行されている.なお,上記のいずれのデータ集についても,それに収録された全データはコンピュータ可読のデータベース化がなされており,磁気テープ,フロッピーディスク等の電磁媒体による頒布も実施していることを付記する.本件の詳細については,本学会の本委員会ホームページで閲覧できるので,そちらをご参照されたい.
○学会標準
本学会の創立50周年記念事業の一環として学会標準の策定も行っている.本委員会としては,「圧子圧入法によるセラミックスの残留応力測定法」を発刊し,また本学会の信頼性工学部門委員会と共同で「金属材料疲労信頼性評価標準 −S-N曲線回帰法−」の標準策定作業が進行中である.多くの方々の利用を期待している.
 

PC構造部門委員会
本研究委員会は,プレストレストコンクリート(以下PCと略記)構造に関して主に材料的な側面を調査・研究することを目的としている.平成12年度に開催された委員会では,高強度コンクリートのPC構造への適切な利用法を検討するために,高強度コンクリートの材料としての問題点,および,部材として利用した場合の利点と設計法,さらには,建築構造物として高強度コンクリートを利用する利点および欠点などについて討議した.特に,曲げ部材ひび割れ時のジャンピング現象と終局時変形に焦点を当てた.このジャンピング現象を,高強度コンクリートの応力度−ひずみ度関係を用いて,コンクリート強度,PC鋼材量,プレストレス導入力をパラメータとしたPC部材断面の曲げ解析に基づいて検討した.
今後は,PC構造物の設計法の性能規定型への移行に伴い必要となる材料レベルでの性能の明示方法とその実現方法(高強度コンクリートの引張強度,許容応力度のとり方など),および,高強度コンクリートを使用した際の力学特性などについて調査研究を行っていく予定である.
 

高分子材料部門委員会
本委員会は1950年にレオロジー部門委員会として発足し,日本レオロジー学会が設立された後,1983年委員会の名称を高分子材料部門委員会と改め,活動範囲を広げ現在に至っている.本委員会では,広く高分子材料についての諸問題と関連技術の向上に役立つことをまず念頭において活動を行ってきた.現在,大学官公庁40%,企業50%,その他10%で.約80名の委員会となっている.
高分子は金属および無機材料と並ぶ3大構造材料の1つである.近年,材料としての耐久性・信頼性が飛躍的に改善されたが,まだ多くの未解決の課題を抱えている.この問題の解決は本委員会の中心的関心事項の1つである.さらに,最近では技術の高度化および.多様化に伴い,種々の機能をもつ高機能性材料としての高分子の開発が期待されている.また,地球環境保護の観点から,リサイクル高分子や生分解性高分子の開発も進んでいる.本委員会では,構造材料と機能材料という高分子材料の2つの側面を,有機的に関連づけ広く深く討論する場を提供している.
2000年(平成12年)の活動は以下の通りである(特記のないものは部門委員会を示す).第117回以前については,前回の活動報告を参照されたい.
第118回 第40回高分子材料セミナー「生分解性ポリマー −21世紀に向けて−」,講演3件:木村良晴氏(京都工芸繊維大学),望月政嗣氏(ユニチカ),酒井清文氏(大阪市立工業研究所)(平成12年3月1日)
第119回 J. Lohmar博士 (Degussa-Huels AG, Germany) 講演会,“Polyrtherblockamids-High Performance TPE (thermoplastic elastomer) for High Performance Applications”(平成11年6月28日)
第120回 李基永教授(全南大学校工科大学,韓国)講演会,“Preparation and Application of Microbial Polysaccharides” (平成12年3月27日)
第121回 第41回高分子材料セミナー「今セルロースが面白いセルロース材料−最近の進歩と動向」,講演4件:小野博文氏(旭化成),中塚修志氏(ダイセル化学),吉岡まり子氏(京都大学),松本孝芳氏(京都大学)(平成12年5月12日)
第122回 第42回高分子材料セミナー「高分子混合系材料」,講演3件:折原宏氏(名古屋大学),岡本正巳氏(豊田工業大学),高橋良彰氏(名古屋大学)(平成12年11月8日)
また,日本材料学会主催の「第10回高分子材料シンポジウム(平成12年8月18日)に全面的な協力を行った.このシンポジウムでは,研究発表16件と特別講演1件(武田邦彦教授(芝浦工業大学工学部)「リサイクルから見た環境と倫理」)が行われた.これらの活動を通じて,高分子材料の製造,構造と機能,物性と加工について情報と討論が深まり且つ広がり,技術の発展に寄与することを願っている.関連分野の研究者・技術者のますますの参加を期待する.
 
高温強度部門委員会
本部門委員会は,学会の設立とほぼ時を同じくして活動を開始し(1954年2月),今年で47年目となる.当初本部門委員会の名称は「クリープ部門委員会」であったが,テーマを広げクリープに限らず高温疲労,熱疲労など高温強度全般にわたる問題を扱うことになり,1959年より名称を「高温強度部門委員会」と改めた.
近年の工業技術の発達ならびに各種新材料の開発に伴い,種々の高温強度に関する問題が提議され物理的現象として明らかにされるとともに,その問題解決に対する工業界からの要望も広範囲かつ複雑になってきており,高温強度に関する研究もより基礎的かつ広範囲を占めるようになってきた.さらに最近では,電子材料,複合材料,超耐熱合金,金属間化合物等の,先進材料の高温強度特性の解明が大きな課題となっている.
これを受けて,本部門委員会では次の諸点について,年5回開催される部門委員会において講演・討論を行うとともに,毎年12月上旬に「高温強度シンポジウム」を2日間にわたって開催し(今年で39回),広く一般に参加を求めて,この方面の研究の現状についての相互の理解を深めるよう努力している.
(1)  高温における材料の力学に関する基礎理論・解析
(2)  超高温材料を含む先進耐熱材料の強度に関する材料科学的研究・技術
(3)高温強度研究に関連する計測・解析技術
(4)高温機器の強度に関する最近の研究動向
さらに,特定の問題については,1970年より次のようなワーキンググループを設けて共同研究を実施し,各分野の議論を深めてきた(括弧内は設置年).(1) 熱応力と熱疲労 (1970),(2)高温用材料の組織と強度 (1970),(3) 高温疲労試験のあり方 (1982),(4) 非弾性解析法 (1982),(5) 高温疲労破損のクライテリオン (1986),(6) 金属基複合材料の高温強度 (1991),(7)寿命・余寿命評価検討 (1991),(8) 高温材料ミクロ組織・強度特性調査(1994),(9) はんだの強度評価法 (1997),(10) 超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術 (1997).また現在は,「非弾性解析 (Phase 6)」,「はんだの強度評価法」,「超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術」,「高温材料ミクロ組織・強度特性調査」に関するワーキンググループが活動中である.なお,各ワーキンググループ成果の詳細は報告書として刊行され,委員に公開されるとともに,成果の一部については国際会議や国際的学術誌への掲載を通じて海外にも情報を発信している.また,5月の「通常総会・学術講演会」では併設行事として,特定のテーマについての公開パネルディスカッション等の特別企画を実施するなど,高温強度研究のリーダーとしての役割も果たしている.
一方,1990年より毎年,厳正な審査の上,高温強度研究・委員会活動に優れた貢献をされた2名の方に貢献賞ならびに躍進賞を贈ることとし,高温強度シンポジウムの席上にて表彰を行っている.2000年度(第49期)貢献賞は石川島播磨重工業鰍フ野中勇氏,躍進賞は川崎重工業鰍フ武浩司氏にそれぞれ贈られた.また,1997年度より若手研究者の激励のために,高温強度シンポジウムでベストプレゼンテーション賞を新たに設け,第4回は東京大学大学院の高久歴氏に贈られた.
今日,高温強度の科学と技術に関する研究の国内の関心がますます強まる中で,40年以上の歴史を有する本部門委員会の役割は大きく,国際的にも注目されている.1992年には中国からの要請に応えて,洛陽において第1回日中高温強度シンポジウムが中国高温強度委員会と共同で開催され,その後第2回が1995年8月に新潟の長岡で,また第3回が1998年8月に南京で開催された.第4回は2001年6月につくばにおいて開催予定である.今後とも本部門委員会は,関連する他学協会,部門委員会などとの相互連帯を密にしながら,効率的かつ効果的な研究討論の場と有効な情報を研究者に提供し,上述のような研究の国際協力に努力していく予定である.
なお,本分野は産業界からのニーズが強く,素材メーカーや重工業ほかエンドユーザーまでを含む多種多様な企業の参加をいただいており,また,大学・官公庁委員と企業委員との貴重な意見交換ならびに共同研究の場ともなっている.ご興味があり,本部門委員会へ参加ご希望の方は,材料学会までお申し出下さい(資料費年間22000円,ただし,大学,官公庁委員は無料).
 

X線材料強度部門委員会
X線材料強度部門委員会は,1961年(昭和36年)X線応力測定部門委員会として発足して以来,1965年に委員会の名称をX線材料強度部門委員会と改めて活動を続け,現在に至っている.
レントゲンによりX線が発見されて後,ラウエやブラッグ父子によるX線回折の発見,そして回折粉末法の考案により,X線が金属工学の研究に広く用いられるようになったのは1910年代後半であるとされている.その応用の一つがX線応力測定であるが,1950年代に至り,X線回折計数装置およびX線応力測定基礎理論の開発により実用性が芽生えてきた.上記委員会は,その実用の促進を一層図る目的で設立され,共通試験片の持ち回り測定などの共同研究により,フェライト・マルテンサイト系鉄鋼材料,オーステナイト系材料,そして最近ではセラミックス材料へとX線応力測定法の適用範囲を広げてきた.これらの成果は「X線応力測定法標準」(1973,1977,1982,1997,2000年)として活用されている.また,回折面依存性,相応力,3軸表面応力,集合組織材の応力など,X線でしか測定できない情報について,その測定法の開発や測定結果の評価が行われてきた.それらの一部については図書「X線応力測定法(養賢堂)」(1966,1981年)で取り上げられている.X線による応力測定は,今後とも,適用される材料・部材の拡大に刺激され新たなテーマをもたらしてくれると考えられる.
一方,X線回折による結晶組織や微視的ひずみなどの観察手法が開発され,応力測定法とともに,それらを用いて塑性変形過程や疲労破壊過程などをミクロな観点から研究することも行われてきた.この流れは,疲労損傷の非破壊検出と余寿命評価法,疲労き裂伝ぱの評価法,圧延ロールの損傷層深さ評価法,X線フラクトグラフィなどを産み出した.観察法については図書「X線材料強度学(養賢堂)」(1973年)で説明されている.今後ともに,情報内容の豊富さと非破壊測定法の特長を生かした研究の発展が期待される.
本委員会は毎年3回定期的に開催され,委員会運営についての審議と活動情報の交換が行われている.現在,委員会内部で以下の4つの小委員会が活動している.文献小委員会は,材料強度に関する新しい計測法および非破壊評価法に関する調査を目的としており,代表的な論文について本委員会で紹介をしている.中性子応力測定小委員会は,中性子の大きい透過能に注目し,試料内部の応力の非破壊的測定法の飛躍を図るための共同研究がなされている.なお,昨年度はシンクロトロンによる応力測定関係で,つくばの高エネルギー研究所のフォトンファクトリー (PF) の利用を中心とするするPF小委員会および姫路の高輝度光科学研究センターのビームラインを利用するSPring-8小委員会が発足した.中性子と共にシンクロトロン放射光を利用した回折材料評価が盛んになることが期待されている.ここ数年の小委員会の刊行の成果物としては,歴史小委員会による「X線材料強度史」(1996年)やX線応力測定法標準見直しWGによる「X線応力測定法標準(1997年版)」の刊行などが挙げられる.また,セラミックス小委員会によりまとめられた「X線応力測定法標準(セラミックス編)」は材料学会標準第1号として登録された(2000年5月).
委員会企画による主な行事は毎年開催されるシンポジウムと討論会である.シンポジウムは最近は9月に開催されており,最新の内容について講演発表が行われる.その中の代表論文は審査を経て会誌「材料」X線材料強度特集号に収録される.また,昨年の新しい企画としては,平成12年12月には英文誌MSRIに初めて特集号を組み込んだ.委員会の優れた研究成果を外国に発信する努力を今後重ねていく予定である.なお,シンポジウムでは若い研究者の最優秀発表賞をもうけている.さらに,討論会は12月に開催され,委員会委員に対して最新の技術的話題を提供するとともに,外部の方々に対してX線法の普及を図った企画が盛り込まれ,盛んな討論が行われる.
さらに,本委員会は本年5月の材料学会創立50周年記念行事の一環として,国際シンポジウムH「X線および中性子による材料評価の展望」および通常講演会におけるオーガナイズドセッション「残留応力の評価と適用」を企画した.X線・シンクロトロン・中性子応力測定,残留応力などをキーワードとして,今後もさらに回折現象を利用した材料評価への新しい展開を試みていく予定である.
本委員会は大学・学校,公立研究所や民間の研究機関・事業所などに所属する研究者約120名の委員によって構成されている.上述のように,応力と材料の強度に関して,物性的な研究と工学的かつ実用的な研究の有機的結合を図ることをねらいとしているので,本委員会の特徴として専門分野や立場の異なる研究者が多いことが挙げられる.主旨に賛同いただける方々の参加を大いに歓迎している.加入方法は現委員の推薦か材料学会への本人の申し出があれば,委員会に諮り了承を得ることになっている.なお,本委員会に関する最新の情報はインターネットのホームページ http://x-ray.ed.niigata-u.ac.jp/に掲載されています.
 

木質材料部門委員会
木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関する研究の推進と情報の交換を目的として,昭和37年4月に理事会の承認を得,同年5月に第1回委員会が開催され,発足した.木材,さらには木材を原料とする木質材料や紙は,建築,家具,楽器,包装や情報・文化の伝達材料として古くから人々の生活を支えている.最近では,人類が生存する限り永続的に生産可能な資源として,また,省エネルギ加工,無公害廃棄が可能な数少ない材料,すなわち,エコマテリアルとして,その理想循環系の確立が人類の未来生存にとって重要であるとの認識が高まっている.
近年,木材のもつ「自然さ」,「なごみ」,「いやし」のヒューマン・フレンドリな側面に注目が集まっているとともに,また一方,木材のみならず農産残材の有効利用,木質バイオマスの化学変換や高機能性・高耐久性木質複合材料の開発など,以前にもまして多くの異なる分野からの研究開発が必要となってきている.このような状況の中で,種々の専門分野の研究者や技術者が集まる本委員会の重要性は極めて高い.
本委員会は,これまで木材および木質材料に関係の深い大学,国公立の研究機関,企業の研究者や技術者からなる100名近い会員で構成されているが,会員相互の緊密な連携の強化,活性化,利便性の重視などを考え,3年前に規定改正を行った.すなわち,木質材料部門委員会の委員長の下に運営委員会を新たに設け,木質材料部門委員会の企画,運営をより円滑に進めるとともに,定例研究会を年4回開いている.開催地は京都地区のみならず,大阪,奈良地区においても開き,多くの会員の参加を促すとともに,定例研究会に参加できなかった会員には講演要旨集を配付している.
また,本委員会はその設立目的を達成するため,発足以来,会誌「材料」およびその英文誌“Materials Science Research International”に特集「木質材料」を企画,発行している.なお,第239回以後の定例研究会の活動状況は,以下の通りである.
第239回 定例研究会――2000年7月18日−ドーンセンター(大阪)
     木目デザインと住宅インテリアの動向
     大日本印刷株式会社   竹内正宏氏
     エステル化木粉の調整と成形材料への利用
     大倉工業株式会社    上田 實氏
第240回 定例研究会――2000年10月25日−日本材料学会
     画像解析による木質繊維板の配向測定
     京都大学大学院農学研究科    村田功二氏
     ケナフボード製造の現状と展望
     京都大学木質科学研究所 川井秀一氏
第241回 定例研究会――2001年1月16日−西本願寺
     重要文化財本願寺太師堂(西本願寺御影堂)保存修理工事現場見学会
第242回 定例研究会――2001年4月26日−奈良文化財研究所
     DNA多型に基づくブナ科木材の樹種同定
     奈良文化財研究所    大山幹成氏
     年輪年代法と歴史学
     奈良文化財研究所    光谷拓実氏
 

腐食防食部門委員会
本部門委員会は1961年(昭和36年)10月に第1回例会を開催して以来,2001年1月まで第220回例会を開催した.21世紀の環境問題と資源の維持など多くの問題解決のために,腐食防食技術が関与する接点は多く,本部門委員会が貢献する度合いはますます大きくなっている.
本部門委員会は平成12年度6回の例会(内1回はWork Shop)と3回の研究集会を開催した.第216回例会(2000年5月26日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「ゴム材料の劣化と寿命評価」では,ゴム材料は,回転機の慴動部分等にシール材等として使われている.しかし機能性が重要であるにもかかわらず消耗品として扱われ,種々の環境下で使用された場合の劣化や寿命の予測が十分行われていない.専門家からゴムの問題点について7件の講演が行われた.出席者は37名であった.第217回例会(2000年7月14日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「AlとAl合金の耐環境性に関する最近の動向」では,建材・家庭用品・航空機材料・輸送機器部材などの従来からの用途に加え,近年の環境負荷軽減を目的として軽量,リサイクル性に注目した種々の用途への使用量が増加しつつあるアルミニウムの耐環境機能について6件の講演が行われた.出席者は36名であった.第218回例会(2000年9月8日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「環境対応材料」では,材料を創る段階,使用する段階,あるいは材料を廃棄,再利用する段階等での「環境」への配慮が求められているが,環境対応を主目的とした材料の創製について各段階での議論を通じて,21世紀の材料のあり方の開発指針を明確にするために,6件の講演が行われた.出席者は38名であった.第219回例会(2000年11月17日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「高温・エネルギー関連機器の材料開発,防食技術の現状と課題」では,最近の高温・エネルギー関連機器(廃棄物発電設備,ガスタービン,超々臨界圧ボイラ,石油化学プラント等)の開発がめざましく,高温化,環境過酷化により,従来使用されている材料では十分耐用できなくなっている.そこで,種々の高温・エネルギー関連機器の現状と動向,またこれらの機器に関わる材料開発や防食技術の状況及び21世紀における高温・エネルギー関連機器に関わる材料開発,防食技術について6件の講演が行われた.出席者は48名であった.21世紀になって初めての例会である第220回例会(2001年1月26日・広島市中国電力ビル2号館,7中国技術振興センターとの共催):「“21世紀への挑戦”−環境,人体,装置を微生物から守る抗菌性材料の開発−」では,環境の悪化が予測される21世紀においては,我々の身の回りに無限に存在する微生物が人間生活に大きな関わりを持ち,これからの高齢化社会への対応や社会資本の保全・維持そしてエネルギープラントの安全性等を考えると環境,人体,装置を微生物から守る抗菌性材料の開発が大きなテーマになることから,6件の講演が行われた.出席者は40名であった.終了後,技術交流会で講師を交えて腐食・防食研究について議論が行われた.本部門委員会は毎年1回広島市で7中国技術振興センターと共催で例会を開催している.第221回例会(2001年3月16日・大阪市ホテルアウィーナ大阪)はWork Shop「若手技術者による腐食・防食X」であり,腐食・防食分野の若手に自由なテーマで発表してもらい,活発な議論を通して,若手技術者の育成を目的としたものである.若手による6件の発表と,特別講演では,技術継承の観点から元東レ轄。川博之氏による「化学装置材料の信頼性向上に関する活動」について講演が行われた.
以上の例会のほか,平成12年度には3回の研究集会を開催した.第50回研究集会(2000年5月17日・北海道大学学術交流会館):「金属材料の高付加価値・高機能化研究の展開」では,既存の金属材料は高付加価値・高機能化することで,従来使用されていなかった環境あるいは用途で使用することが可能となる.21世紀へ向けて新たな展開を計るために,金属材料の使用・開発指針となる6件の講演が行われた.出席者は19名であった.この研究集会は日本材料学会第49期通常総会・学術講演会に併設して開催されたものである.第51回研究集会(2000年6月16日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「二相ステンレス鋼の上手な使い方−その特性と使用実績−」では,後述する本部門委員会出版の出版本「二相ステンレス鋼の上手な使い方−その特性と使用実績−」をテキストに使い,その内容を各執筆担当者から詳細な説明を行った.6件の講演と総合質問・討議が行われた.出席者は36名であった.第52回研究集会(2000年12月8日・大阪市ホテルアウィーナ大阪):「国際的な腐食研究活動と展望」では,国際的に重要な価値ある研究を遂行した功績により,米国電気化学会あるいは米国腐食協会から名誉ある Fellowの称号を与えられた先生方(柴田俊夫氏,橋本功二氏,佐藤教男氏,日根文男氏の4氏)に,現在までになされてきた腐食研究に加えて,21世紀に向けての腐食研究への指針,アプローチ等を豊富な経験に基づいて講演していただき,パネルディスカッションも行われた.出席者は約50名であった.技術交流会で今後の腐食研究について,講師を交えてさらに突っ込んだ議論が行われた.
腐食防食に関する教育では,第3回日本材料学会方式「腐食防食実験講習会」を2000年8月28日〜31日に姫路工業大学工学部で開催した.受講者は18名であった.
本部門委員会では,1998年4月に大学および企業の方々からなるワーキンググループを編成して,耐応力腐食割れ材料ならびに耐海水材料として多く使用されている二相ステンレス鋼を対象に1年半にわたり,その諸特性や使用実績についてアンケート調査を行い,2000年3月に,調査で得られた貴重な成果をまとめて,A4版約120ページの本「二相ステンレス鋼の上手な使い方−その特性と使用実績−」(日本材料学会腐食防食部門委員会編)を出版した.二相ステンレス鋼の諸性質,耐食性,腐食事例など豊富なデータが収録されている.
本部門委員会は企業からの法人会員と大学等の個人会員で構成されている.本部門委員会の特徴は,大学における基礎研究よりも企業即ち現場における腐食防食技術が委員会を支えている.例会毎に作成する委員会資料はA4版(平成12年度から見やすいA4版に変更した)60〜80ページであり,研究の指針のほか現場における防食技術に活用できる.現在第1回〜第220回までの資料をCD化する作業を進めており,2001年末には日本材料学会腐食防食部門委員会編として完成・発売予定である.企業からの本部門委員会への積極的な加入参加をお待ち致します.
 

地盤改良部門委員会
「地盤」は,構造物を支える基礎(地盤)として,また,埋立や築堤など土構造物の構成材料(地盤材料)として不可欠なものであるが,地域性が強く工学的特性も千差万別であり,使用に当たって必ずしも所要の条件を備えているわけではない.「地盤改良」は,このような地盤を使用可能な状態にし,その状態を維持するために行う物理的,化学的および生物学的な処理のことである.最近では,建設工事に対する制約条件や構造物の立地条件も厳しくなってきたため,より過酷な条件が地盤に要求されることが多く,それに応じて様々な特徴,種類の「地盤改良工法」が開発適用されている.
地盤改良部門委員会は,このような地盤改良を実施する上での種々の問題点について研究調査を行い,その適正な利用を促進することを目的として1962年11月に「土質安定材料委員会」として設立されたもので,1998年1月に昨今の技術的社会的ニーズを鑑みて現在の名称に改称した.地盤改良工法に関連する分野は極めて広く,構造物基礎,道路や鉄道の路床路盤,トンネル・ダム,斜面保護と安定,水利構造物の覆工,埋立・海洋地盤,地盤環境の保全など,土木,建築,農業土木,鉱山資源,環境衛生等の各分野にわたる.さらに,その基礎となる学術・技術分野も上記の応用工学分野のほかに,物理学,化学,力学,生物学,地質鉱物学,造園学など広範囲の基礎知識が必要であるため,本委員会は様々の分野を専門とする委員により構成され,地盤改良に対して多岐にわたる観点から調査,研究を行ってきた.
本年度の委員会活動は,地盤改良の工法と材料に関する話題提供と研究討議を中心にした「研究委員会」と,1993年に始動した「新材料・新工法」および「環境と地盤改良」の二分科会の活動,ならびに「地盤改良」に関する技術評価の具体的事業推進を実施した.2000年度に開催した5回の研究委員会での話題提供は次の通りで,新材料・新工法の適用から廃棄物の再利用の問題まで,社会的背景に即した広範なテーマを取り上げた.
     (1)焼却灰を原料としたセメントの最近の動向について
     (2)生態系関連フォーラム参加報告
     (3)建築物基礎の性能設計に関して
     (4)Soft Ground Technology Conference(オランダ)参加報告
     (5)地盤改良システムに関する第4回国際会議(フィンランド)参加報告
     (6)ジオシンセティックスの地盤改良工法への適用
     (7)ジオメンブレン(土木用遮水シート)の耐久性について
     (8)Consoil 2000(第7回国際土壌汚染会議・ライプチッヒ)参加報告
     (9)GeoEng 2000参加報告
     (10)地盤凍結工法における凍土と凍上の特性について
     (11)掘削土再利用連壁工法
委員会開催は本年(2001年)3月で239回を数え,主な活動成果は刊行物の出版,特集号や講座など会誌への寄与,地盤改良に関する講習会,講演会,シンポジウムの開催などに結実しており,それらのうち最近のものを以下に記す.
     (1)「地盤改良工法便覧」刊行(1991年)
     (2)英文論文集「CJMR Vol.9, Soil Improvement」刊行(1992年)
     (3)「第1回地盤改良シンポジウム」開催(1994年)
     (4)「第2回地盤改良シンポジウム」開催(1997年)
     (5)「地盤改良技術と環境問題−ケースヒストリー」刊行(1998年)
     (6)「地盤改良技術と環境問題−講習会」開催(1998,1999年)
     (7)「第3回地盤改良シンポジウム」開催(1998年)
     (8)「第4回地盤改良シンポジウム」開催(2000年)
     (9)学会誌「材料」における講座「地盤改良技術と環境保全」執筆(2000年)
     (10)日本材料学会創立50周年記念国際集会 シンポジウム「21世紀の地盤改良」開催(2001年)
「新材料・新工法」および「環境と地盤改良」分科会では関連する研究,技術の調査,整理,評価を試みており,その成果の一部は上記(5),(6),(9)および各シンポジウムへの投稿論文として公表した.これら分科会活動においては一定の成果が得られたことから,2000年度をもって発展的に解消し,2001年度からは若手研究者による活発な研究活動を促すことを目的とした若手研究者共同研究,およびこれをサポートする新領域研究懇談会という活動形態に変更する予定である.
技術評価については,日本材料学会において,材料学に関する各種技術に対して学会としての客観的立場から,その有用性や技術レベルを公正に評価し,所定の基準を確保している技術を学会として公式に認証する技術評価証明制度である.地盤改良部門委員会では,その最初の試みとして地盤改良に関する技術を対象として2000年4月よりスタートさせた.評価の対象としている材料,技術は以下の通りである.
     1)地盤改良技術に関わる新素材・新材料
     2)地盤改良に関わる技術または工法
     3)汚染地盤の診断技術・汚染地盤修復技術
     4)廃棄物の地盤材料としてのリサイクル技術
本制度により,各種技術開発の活性化・技術水準の向上を促すとともに,ユーザーに対して,信頼できる技術を紹介することにより,技術保有者とユーザーの橋渡し,ならびに優れた技術の普及という観点からも貢献が期待できると考えている.現在4件の技術について評価委員会を設置し検討を進めている.
近年は特に,社会情勢の変化も著しく,また,関連科学技術の進歩はめざましいものがあった.地盤改良技術も,単一機能 (mono-functional) から多機能 (multi-functional) への変化,表層から深層を経て大深度改良への移行,輸入技術から自前技術の開発,さらに輸出技術への発展,理論の拡張から現実対処,さらに環境保全対策への適用,天然材料から人工材料,廃材の再利用へと展開を示している.また,平成7年兵庫県南部地震での被災状況にもみられたように,防災対策としての地盤改良工法の重要性が再認識されている.このような状況を鑑み,今後も工学的・社会的に重要度の高い問題を取り上げ,専門的かつ技術的な調査,研究,討議を経て,地盤改良のみならず広く地盤工学・建設分野の発展に寄与することを目的に委員会活動を推し進める所存である.
本委員会への加入については本人の申し出,現委員の推薦に基づき委員会の承認を得ることになっており,また,委員会運営のための資料作成費として,会社からの加入会員の場合年額20,000円,学校,官公庁からの個人会員には年額2,000円を頂いている.関連分野の研究者,技術者の方々の積極的なご参加ならびにご協力を願う次第である.
 

岩石力学部門委員会
岩石力学の対象とする分野は,土木・資源開発といった工学から鉱物学・地質学・地球物理学といった理学まで,非常に広範囲に及んでおり,その領域や学問体系は時代のニーズにあわせて前進的に変化をしている.一般に,岩石力学の適用範囲は,ダム,トンネル,岩盤斜面,地下空洞などの岩盤構造物の力学的挙動の解析やその設計・施工法を扱う土木工学分野,地下資源の探査・採鉱,地熱利用など合理的な地下資源開発にかかわる資源開発工学分野,岩石・鉱物の組成,地層の分布・生成過程といった鉱物学・地質学の分野,あるいは,地殻変動,地震の発生メカニズムの解明,地震予知といった地球物理学の分野にまで,その範囲は広範,多岐にわたり,それぞれの分野で岩石力学は重要な位置を占めている.最近では,石油備蓄や圧縮空気地下貯蔵施設などのような大規模地下空洞の設計・施工における流体や気体の岩盤き裂内の挙動の解明,さらに,核種廃棄物の地層処分における環境問題など新分野での問題解決のために必要な学問として貢献している.
阪神・淡路大震災は都市直下で発生した内陸型地震で市民生活,都市機能に未曾有の被害をもたらした.また,火山噴火,河川氾濫,崖崩れ,土石流等市民生活を脅かす自然災害も多数発生しており,いずれも岩石力学において検討すべき重要な課題で,市民生活に直結した学問であるということができ,環境・防災が一つの重要なキーワードでもある.
このように,岩石力学は工学から理学までの非常に幅広い分野において基礎から応用までを包括する重要な学問であり,それぞれの分野において活発に研究活動がなされている.以上のような背景から,岩石力学部門委員会は,これら異なる幅広い分野の研究者・技術者が集まり,岩石力学に関する研究・技術情報の交換および討議の場を提供することを目的として,昭和38年に設置された.以来,現在に至るまで,ほぼ年4回,これまでに159回(平成13年3月現在)の委員会を開催し,活発な活動を続けている.本委員会は,地質,地球物理,資源,土木,地盤など,多岐にわたる理工学分野の研究者・技術者が自由に討議できる場として,他の学会に例を見ない非常にユニークなものである.
委員会では,毎回,委員の研究成果の報告,国内外の研究の動向,最近の話題の紹介や解説などが行われて,また,委員以外の講師による講演も実施されている.最近一年間の委員会における研究紹介や講演の題目は次のようなものである.
     (1)「ケーブルボルトによる岩盤の先行補強 〜メカニズム,施工法,現場実証実験〜」
     (2)「スウェーデン式サウンディングの自動化による適用性について」
     (3)「電力貯蔵技術の現状と展望」
     (4)「圧縮を受ける岩盤の非線形性の発生について」
また,本年度は第156回委員会において公開講演会を開催し,京都大学大学院工学研究科助教授朝倉俊弘氏による「トンネル覆工はく落事故と今後の保守のあり方」,およびタイ国アジア工科大学院助教授Noppadol Phieen-wej氏による「タイ国における岩盤力学に関する建設プロジェクトの現状」と題する招待講演が行なわれた.
これらの題目からもわかるように,今年度は岩盤工学的視野を中心に据えつつ,地下エネルギー貯蔵施設など最新課題や岩盤構造物の設計・施工・保守管理など実務課題,および地盤調査の合理化,岩石自身の物性や地盤・岩盤に関する理論,実験,解析まで,多様なテーマについて活発な情報交換を行った.
また,平成12年11月8日の第158回委員会では,国土交通省によって滋賀県大津市に建設中の大津放水路トンネル工事の現地見学会を実施した.
委員会では,実務・研究分野のみならず,次代を担う技術者・研究者育成についても積極的に取り組んでおり,その一環として学部学生を対象とした岩の力学の教科書「ロックメカニクス」の出版を目指し,平成12年1月より編集・執筆を開始している.
本委員会は,土木学会,資源・素材学会,地盤工学会の各委員会とともに,国際岩の力学会議 (ISRM) の国内委員会を組織しており,関連する委員会には理事,幹事をはじめ,多くの専門委員を送り,国の内外における岩の力学分野の研究と技術開発に貢献している.さらに,本委員会は国内における岩石力学に関する各種のシンポジウムや講演会等の開催にも,共催あるいは協賛の形で協力している.
本委員会は,本学会員に広く門戸を解放し,岩石力学とその応用に興味のある方の積極的な参加を期待しています.本委員会への加入は,委員会開催時に委員会の承認を得ることになっています.御希望の方は事務局へ申し出て下さい.多くの方の参加をお待ちしています.
 

コンクリート工事用樹脂部門委員会
建設材料の中で最も多く利用されている材料の一つであるセメントコンクリートは,種々の合成樹脂材料と併せ用いることによって,各々の単独使用では得ることのできない各種の優れた性能を発揮させることができる.このような試みは世界的にも種々の観点から行われており,これらの成果は“コンクリートにおけるポリマーの利用に関する国際会議”,第1回ロンドン(1976年5月),第2回オースチン(1978年10月),第3回は日本材料学会共催のもと郡山(1981年5月)で,さらに第4回ダルムシュタット(1984年9月),第5回ブライトン(1987年9月),第6回上海(1990年9月),第7回モスクワ(1992年9月),第8回オーステンデ(1995年7月),第9回ボローニア(1998年9月)などで発表されている.なお,第10回はハワイで2001年に開催される予定である.また,1989年7月京都で,日本材料学会共催のもとで開催された“第8回アルカリ骨材反応に関する国際会議”においても,主として補修関係で,種々の成果が紹介されている.
コンクリートと合成樹脂材料との使用に当たっての組合せとしては,次のような形態が一般的である.
(1) レジン・コンクリート (REC) ポリマー含浸コンクリート (PIC) あるいはポリマー・セメント・コンクリート (PCC) としての構造材料への利用.
(2) 表面処理,ひび割れ注入,鋼板接着,パッチングあるいはオーバーレイなどのコンクリート構造物の補修・補強用材料としての利用.
(3) 耐久性,遮水・遮塩性,発水性,耐摩耗性等に注目した,含浸,塗装,コーティングあるいはライニング用材料としての利用.
(4) プレキャスト部材等における構造用接着剤としての利用.
(5) 建設分野における繊維強化プラスチック,連続繊維補強材としての利用.
以上のように樹脂は多方面で利用されており,これらの用途のそれぞれで要求される目的・方法に適する樹脂の種類も多い.しかし,細部ではこれらの樹脂の持つ性能は異なる点が多く,しかも,目的・方法に対して必要とされる性能についてもまだ明確にされたとは言いがたい面を持っている.このため,コンクリート工事に樹脂を利用するうえでの問題点について調査研究を行い,樹脂の適正利用について検討し,さらにこれら樹脂の用途に応じた試験方法ならびに使用指針の作成を目的として昭和38年2月に本委員会は設立された.
委員会の活動成果として,昭和42年には“コンクリート構造用接着剤(エポキシ樹脂)試験方法および施工指針(案)”を作成した.また,ポリマー・セメント・コンクリート小委員会およびレジン・コンクリート小委員会を設け,“試験室におけるポリマーセメントモルタルの作り方”,“ポリエステルレジンコンクリートの強度試験用供試体の作り方”など計10種のJIS原案の作成に協力し,昭和53年4月にJIS A1171〜1174,1181〜1186としてこれらの制定をみている.さらに,レジンコンクリート設計(施工)小委員会を設けて,昭和60年に“ポリエステルレジンコンクリート構造設計計算指針(案)”を作成し,平成3年には“ポリエステルレジンコンクリート配合設計の手引き(案)”を作成している.
平成元年3月には,阪神高速道路公団の委託のもとに設けた橋梁用樹脂小委員会によって,“コンクリート構造物の表面保護工便覧(案)・同解説”および“コンクリート床版防水工設計施工指針(案)・同解説”を作成している.さらに,この小委員会を発展的に改組して補修用樹脂小委員会を設け,その成果として,平成7年には“コンクリート構造物の診断と補修 ―メンテナンスA to Z―”を出版し,これをもとに,平成8年3月には材料学会関西支部との共催で講習会を開催した.さらに,補修材料性能試験方法の土木学会規準作成に協力し,表面被覆材の耐候性,酸素透過性,透湿度,透水量,塩化物イオン浸透深さ,付着性およびひび割れ追従性に関する7種類の試験方法として平成9年6月に,さらにひび割れ注入機・充てん材に関する6種類の試験方法として平成12年12月に,それぞれ制定を見ている.
平成11年度においても,学校,官公庁関係者,設計および施工技術者,材料および製品メーカーなど,外国からの出席者も含めて参加し,樹脂ばかりではなく,ゴム,繊維なども視野にいれた活発な活動を行った.また,委員会活動の一環として,前述の補修用樹脂小委員会などによって種々の作業を行っている.
今後の活動としても,コンクリート構造物の設計,施工,維持,管理において,合成樹脂,ゴム,繊維の特性を有効に利用した新しい種々の使用方法を検討するとともに,コンクリート||樹脂・ゴム・繊維複合系の耐久性能,変形性能,各種強度の把握など様々な問題を取り上げ,本委員会と小委員会,または他関連委員会との合同委員会活動を適宜組み合わせて運営する予定である.
本委員会への加入は,形式的には本委員会開催時に委員会の承認を得ることになっている.関心を持たれる会員の加入お申し出をお待ちしている.会費として会社からの加入会員の場合年額20,000円,学校,官公庁からの個人会員の場合年額2,000円をいただいている.なお,小委員会についても,別途会費をいただいている.
 

塑性工学部門委員会
塑性工学部門委員会は,材料の塑性に関する基礎研究(材料の微視的組織観察,解析,塑性変形のメカニズムの解明・モデリング,およびそれらに基づくマイクロ,メゾ,マクロ塑性力学の構築)からその応用(材料設計・創製技術,塑性加工技術,機器構造物塑性設計)にわたる広範囲なテーマについて感心関心を持つ大学・公設研究機関および企業の研究者.技術者から構成されている(現在おおよそ120名).その活動の中心は,5つの分科会:塑性力学分科会(主査:吉田総仁,広島大学),粉末成型分科会(主査:沖本邦郎,摂南大学),板材成型分科会(主査:仲町英治,大阪工業大学),塑性加工分科会(主査:長谷部忠司,同志社大学),材料データベース研究分科会(主査:井上達雄 京都大学)である.これら分科会の担当で,第49期(平成12年度)に開催された研究集会は以下の通りである.
第48期第12回委員会(材料データベース分科会担当,平成12年4月7日,京都 出席者18名)
     (1)高周波焼入れにおける各種の鋼円柱試片の熱処理変形(高周波熱錬・電機事業部 生田文明)
     (2)動的陽解法による弾塑性板圧延シミュレーション(NKK総合材料技術研究所 福村勝,藤田文夫)
第49期第1回委員会(材料データベース分科会担当,平成12年6月15日,京都 出席者 14名)
     (1)凝固応力モデルの開発とアルミDC鋳塊割れへの応用(古川電気工業潟<^ル総研福井 石川宣仁)
     (2)極細鋼線のレーザー焼入れの実際と数値シミュレーション(山口大学工学部 佐久間淳,丸紅ファインスチール 徳永行伸)
第2回委員会(粉末成型分科会担当,平成12年7月21日 京都 出席者15名)
議題:アルミニウムとマグネシウムの粉末成型の進展
     (1)急冷凝固粉末を用いた高強度アルミ粉末固化合金の進展(住友電気工業活ノ丹研究所 瀧川貴稔)
     (2)マグネシウム合金の粉末成形(機械技術研究所 高橋正春)
     (3)粉末冶金軽量金属材料の高速超塑性(名古屋工業技術研究所 馬渕 守)
         (日本塑性加工学会粉体加工成形プロセス分科会合同企画)
第3回委員会(材料データベース分科会担当,平成12年9月19日,京都 出席者19名)
     (1)高炉クーリングステイブのクリープ変形解析(鋼管計測 吉原直武, NKK総合技術研究所 福村 勝,NKK設備部 村上宣久,竹生 博)
     (2)相変態の力学挙動に関する簡易実験およびシミュレーション(叶_戸製鋼所機械研究所構造強度研究室 堤一之,仲山公規)
第4回委員会(材料データベース分科会担当,平成12年11月07日,京都 出席者 17名)
     (1)相変態を考慮した3D鍛造過程の有限体積法によるシミュレーション(MSC (The Mac Neal-Schwendler Corporation) 京都大学大学院 Perian Ding)
     (2)歯車の三次元浸炭焼入れシミュレーション(埼玉工業大学 巨 東英)
第5回委員会(粉末成型分科会担当,平成12年12月18日, 大同特殊鋼梶@参加者17名)
議題“磁性粉末の成型・接合と工業生産の実際”
     (1)磁性粉末成形体の組み合わせ焼結結合(摂南大学 沖本邦郎)
     (2)大同特殊鋼鰍フ開発した軟磁性Ajustalloy (AJ) について(大同特殊鋼梶j
第6回委員会(材料データベース分科会担当,平成12年 1月19日,京都 出席者 16名)
     (1)浸炭方法の管理と拡散速度について(日本パーカライジング樺京事業部 鮒谷清司)
     (2)自動車部品のレーザー溶接における課題と溶接変形解析事例の紹介(潟fンソー生産技術開発部 沢本節夫,白井秀彰)
     (3)ストリップキャスター用モールドロールの温度と変形(日立造船蒲v素技術研究センター 梶原伸治,大西邦彦)
第7回委員会(塑性工学分科会担当,平成13年1月24日, 京都,出席者12名)
     (1)多孔体モデルの損傷評価と塑性変形挙動解析(弓削商船高等専門学校 仲山恭秀)
     (2)金属積層板の成形性とスプリングバック(広島大学工学部 日野隆太郎)
     (3)応力時効による鋼の強度制御(山形大学工学部 武田武信)
第8回委員会(材料データベース研究分科会担当,平成13年3月16日 名古屋)
     (1)熱処理シミュレーションのための材料特性データベース(京大エネ科 井上達雄,住友金属 岡村一男)
     (2)改良銀棒プローブによる水溶性焼入液の冷却能測定について(宇都宮大 奈良崎道治)
     (3)位置敏感型検出器を用いた焼入れ残留応力の測定法(埼玉工大 巨 東英)
     (4)クロム鋼の水焼入れ時の相変態と変形(神奈川大 田島 守)
     (5)S45C鋼円柱の焼入れ後の残留応力に及ぼす焼入方法の影響(宇都宮大 奈良崎道治,高周波熱錬 生田文昭,堀野 孝,古賀久喜)
     (6)SCr420H鋼のガス浸炭及び真空浸炭焼入れ時の硬さ分布と歪(中外炉工業 下里吉計,中津裕之,宇都宮大 奈良崎道治)
     (7)浸炭および浸炭窒化焼入れしたSCr420H鋼の焼入歪みに及ぼす侵入炭窒素量の影響(日産自動車 渡辺陽一,成田直樹)
     (8)SYSWELD+による熱処理解析の解析事例(日本ESI 両角克之)
     (9)逆硬化現象解明の今日的意味(ヤマナカゴーキン 有本享三)
     (10)熱処理シミュレーションGRANTASによる浸炭焼入れの解析(コマツ七野勇人,宇都宮大 奈良崎道治,コマツソフト 山下敏郎)
     (11)S45C鋼の焼入れ変形と残留応力の予測と実験検証(宇都宮大 奈良崎道治,埼玉工大 巨 東英,高周波熱錬 生田文昭)
     (12)3次元連成解析を用いた歯車の浸炭焼入れ過程シミュレーションとその検証(埼玉工大 巨 東英,埼玉工大大学院 町田一成)
     (33)熱処理シミュレーションの国際的状勢について(日本パーカライジング 鮒谷清司,ヤマナカゴーキン 有本享三)日本熱処理技術協会「焼入れと組織制御研究部会」合同企画
第9回委員会(粉末成型分科会担当,平成13年3月23日,
京都)テーマ:粉粒体の形状・寸法特性と圧密挙動
     (1)試験用粉粒体の製法・種類及びその性質(山下試験用粉体研究所 山下憲一)
     (2)凸型粒子の球形度の評価(元資源環境技術総合研究所 岩田博行)
     (3)急冷凝固アルミニウム粉末の圧密化挙動に及ぼす粒子径の影響(東大先端科学技術センター 近藤勝義)
         (日本塑性加工学界・粉体加工成型プロセス分科会合同企画)
この他,下記のような活動を行ってきた
塑性工学フォーラム「種々の階層における塑性理論の発展」の開催
平成12年5月18日(木)北海道百年記念会館(出席者45名)
     (1)繰り返し塑性理論及び塑性・クリープ問題における均質化法(名古屋大学 大野信忠)
     (2)ひずみ勾配依存構成方程式と塑性不安定解析(神戸大学 冨田佳宏)
     (3)相変態における金属材料の非弾性変形現象(三重大学 徳田正孝)
     (4)結晶塑性論とその応用(山形大学 高橋 寛)
     (5)場の理論と結晶塑性論・分子動力学(同志社大学 長谷部忠司)
         (司会・総合討論 広島大学 吉田総仁)
○“材料の微視的構造と力学特性”をテーマとして英文誌「MRSI」の特集号(Vol.6,No.3,2000年9月)を発刊した(担当 徳田正孝)
○連載講座“種々の階層における塑性理論の発展”の内容を一冊の本にまとめ出版した(担当 島  進 他4名)
○日本材料学会創立50周年記念学術講演会(平成13年5月,大阪大学コンベンションセンター)において材料データベース分科会主催OS(OS番号5)“相変態に関する材料の数値シミュレーション”を開催する(オーガナイザー:井上達雄(京都大学),岡村一男(住友金属工業))
○第45回材料研究連合講演会(平成13年9月18,19日,日本学術会議)にて塑性工学部門委員会企画OS“非弾性構成方程式構築へのチャレンジ;新素材,新モデル,新概念”を企画中である(オーガナイザー:岡二三生(京都大学),徳田正孝(三重大学))
○「材料」塑性工学特集号(平成13年6月号)の準備をすすめている(担当:琵琶志郎)
○塑性工学フォーラム(種種の階層における塑性理論の発展(第2回)を平成13年5月24日(木)9:00〜12:00 大阪大学コンベンションセンターにて開催予定である
     (1)大ひずみ繰り返し塑性理論とその応用(広島大学 吉田総仁)
     (2)高温非弾性理論の最近の進歩(京都大学 今谷勝次)
     (3)相変態を含む固体力学(東京都立大学 田中喜久昭)
     (4)塑性変形誘起結晶方位回転,結晶集合組織と成型能(大阪工業大学 仲町英治)
     (5)固体分子動力学の最近の進歩(大阪大学 中谷彰宏)
         (司会:三重大学工学部 徳田正孝)
○国際研究集会シンポジウムJ(平成13年5月25日-26日, 大阪大学コンベンションセンター)“New Development of Engineering Plasticity”を開催する(オーガナイザー:今谷勝次(京都大学),徳田正孝(三重大学),小寺秀俊(京都大学))(以上 文責徳田正孝)
 

高圧力部門委員会
高圧力部門委員会では昭和39年5月の発足以来,高圧力の関係する問題に携わる研究者・技術者が会員相互の知識の向上,情報の交換,研究協力をめざして,幅広い活動を行ってきた.現在の会員数は,前年同様,個人41名,法人5社である.これまで148回におよぶ委員会を継続的に開催し,公開シンポジウムや講演会を通して高圧研究に関する活発な発表および討論を行ってきた.
昭和48年に「高圧力下における高分子材料」の主題で最初のシンポジウムが開催されて以来,昭和58年からは公開シンポジウムとして隔年に継続して開催されている.これまでの公開シンポジウムの主題は次のとおりである.なお,第10回シンポジウムは高圧力部門委員会と塑性加工部門委員会の共同開催とされた.
第  1 回   (昭和58年)  「高圧流体,基礎と応用」
第  2 回   (昭和60年)  「材料の高圧合成」
第  3 回   (昭和62年)  「高圧固体物性」
第  4 回   (平成 1 年) 「高圧力技術と固体合成・物性」
第  5 回   (平成 3 年) 「高圧流体物性の新展開」
第  6 回   (平成 5 年) 「等方圧加工プロセスによる材料開発」
第  7 回   (平成 7 年) 「水および水溶液の機能開発と利用技術」
第  8 回   (平成 9 年) 「固体の高圧物性,反応,実験技術」
第  9 回   (平成11年)  「高圧流体の物性測定最前線」
第10回 (平成12年) 「高圧力と塑性加工」
毎年数回の定例委員会では,情報交換と話題提供の場として講演会が開催されている.第49期は次の委員会が実施された.
第147回委員会(材料学会,9月)
講 演:(1)「高圧力で物を作るには−A Case Study」京大人間環境  松本  澄
講 演:(2)「「有機合成に役立つ高圧反応」高知大理  小槻日吉三
第148回委員会(阪大,12月)
講 演:(1)「「高圧研究に光を用いるメリット」阪大基礎工  小林 融弘
講 演:(2)「「超高圧下の磁気測定」阪大極限科学センター  石塚  守
高圧力部門委員会は,高圧力の静的・動的発生・圧力測定,高圧装置,高圧下の固体・流体物性と反応,高圧加工技術など,高圧力を利用する材料科学・工学のすべての分野に積極的に働きかけており,この方面に関心を持つ多くの研究者・技術者の方々の高圧力部門委員会活動への参加を希望している.
 

コンクリート用骨材部門委員会
現在,わが国ににおいては良質の河川産骨材の枯渇とともに,資源的および地域的制約により,コンクリート用骨材はきわめて多様化してきている.すなわち,細骨材では川砂・陸砂・海砂・砕砂がほぼ等量,粗骨材では砕石がほぼ半量で残りを川砂利・陸砂利・山砂利その他が占めているのが全国的な概況である.このような状況の下では良質骨材の入手が必ずしも容易でなく,その結果として,骨材の品質管理がますます重要となり,骨材品質とそれを用いたコンクリートの強度,変形,耐久性などとの関係について,さらに科学的な検討を加えることが必要となる.骨材資源は今後さらに多様化が進行し,砕砂やスラグ・フライアッシュに代表される産業副産物を利用した新しい骨材の有効利用を図っていくことも重要であることは言うまでもないが,このような骨材の開発のためには,目標とする骨材品質に対して明確な指標を与えることが,コンクリート工学に課せられた重要な課題であると考えられる.本委員会は昭和39年人工骨材研究委員会として設立以来,社会的なニーズの方向を反映させて運営されてきた.設立初期より昭和40年代は,各種の人工軽量骨材の利用についての研究が最重要課題として取り組まれ,「施工指針」や「配合設計指針」を発表するなど,その普及に指導的役割を果たした.昭和50年代に入ってからは,研究対象が多角化し,砕砂,スラグ骨材などの新しい骨材の問題点,海砂の適正使用などを取り上げるとともにコンクリート物性の改善法やコンクリートの耐久性能なども研究テーマに組込む方向で運営されている.
最近取り上げられているテーマとしては,表面形状を改良した砕石,砕砂の有効利用,高炉スラグやフライアッシュの骨材原料への利用,超軽量骨材の利用によるコンクリートの軽量化,コンクリート廃材から製造された再生骨材の有効利用,外国産骨材の利用に関する諸問題,低品質骨材を使用する際の配合設計や構造設計面における問題点,RCDやRCCP用コンクリート骨材,骨材の品質試験法の改良,反応性骨材の調査試験法や実用骨材の実態調査さらにエココンクリートなども挙げられる.一方,今後の課題としては,より広い視野に立った新しい骨材の開発,未利用資源の有効利用,各種骨材を用いたコンクリートの最適製造法など,骨材の開発,品質改良に直接関連した問題の他に,繊維補強など新しい複合法によるコンクリートの物性改善や連続繊維補強材 (FRP) のコンクリート構造への適用,高温・低温環境,海洋環境など過酷環境下のコンクリートの挙動,これらに適した構造設計法の開発など研究対象を拡大しようと意図している.このような方向性を明確にするために会の名称を平成10年度に「コンクリート用骨材部門委員会」と改めた.
本委員会の特色は,本学会の性格を反映して,その構成メンバーが多彩である点にもある.すなわち,いわゆる土木・建築という縦割りはまったく意識されない運営であり,骨材メーカー,セメント・コンクリート技術者,設計技術者,施工技術者など多方面の関係者が委員として参加している.また,委員会開催に際して,委員以外からも広く適任者をスピーカーに選んで話題提供していただくほか,委員以外からの希望があれば自由に参加していただくなど,きわめてオープンに運営されている.ご関心のある各位の積極的なご参加を希望している.
 

コンクリート用混和材料部門委員会
1948年にAE剤,1950年に減水剤がともにアメリカから導入され,1950年にはAEコンクリートが生コンクリート工場から初めて出荷されて,わが国における化学混和剤の本格的な使用が始まった.1982年のJIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)の制定により,化学混和剤がコンクリート用材料であるセメント,水,細骨材,粗骨材に次ぐ第5番目の材料として認知された.
第一世代のAE剤,第二世代の減水剤とAE減水剤の使用目的は,コンクリートの作業性改善,凍結融解に対する抵抗性の向上,減水効果によるセメント量の低減および強度増進であった.1960年代に開発された高性能減水剤および1970年代に開発された流動化剤は,第三世代に相当する.高性能減水剤はスランプロスが大きいために主にコンクリート二次製品に,流動化剤は硬練りコンクリートの施工性改善に使用されてきた.しかし,流動化剤の現場添加に伴う人員の確保と騒音問題,ベースコンクリートと流動化コンクリート双方の品質管理の実施,流動化コンクリートがJIS A 5308に適合しないことなどから,流動化剤は現在限られた一部でしか使用されていない.1980年代中頃には,練混ぜ水と同時添加でき,高い減水性能,適切な空気連行性およびスランプ保持性能を有する高性能AE減水剤が第四世代の化学混和剤としてわが国で開発され,1995年には高性能AE減水剤の品質規定を盛り込んだJIS A 6204が改正された.この他にも,水中不分離性混和剤,収縮低減剤,硬化促進剤をはじめとする多種類の化学混和剤が現在使用されている.また,1996年制定の土木学会「コンクリート標準示方書(施工編)」では,“コンクリートは,原則としてAEコンクリートとしなければならない.”と規定された.化学混和剤がコンクリートの製造に果たす役割は益々増大しており,今日必要不可欠な材料となった.
一方,高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカフュームなどのコンクリート用混和材は,製造技術の進歩による高品質化,JISあるいは関連学協会による品質規格および(設計)施工指針の制定などにより,コンクリートの高流動化,高強度化,高耐久性化を目的として近年多く使用されるようになった.コンクリートの高性能化を達成するために,これらの混和材は一般に高性能AE減水剤と併用されることが多い.
以上のように,戦後55年の間に混和材料(化学混和剤,混和材)は,著しい進歩を遂げてきた.コンクリートの高強度化,高耐久性化,高流動化など,コンクリートの高性能化が要求される今日,混和材料の果たす役割は非常に大きい.
本委員会は,1965年7月にAE剤および減水剤の基準と試験法を確立し,フレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートの品質向上に寄与することを目的として発足した.発足以来現在に至るまで,研究発表と討議を中心として50数回の委員会を開催するとともに,講演会の開催,共通試験の実施など精力的な活動を行ってきた.1967年に「構造用コンクリートに用いる化学混和剤規準(案)」の作成,1969年に「コンクリート用化学混和剤」の編集を行った.また,1984年に「コンクリート混和剤の化学」,1994年に「混和材料の進歩とコンクリートの品質」の題名で,会誌「材料」への連載として活動成果を取りまとめた.他の建設系部門委員会と合同で,会誌「材料」の特集号の刊行にも協力している.
本委員会は,1999年度に化学混和剤小委員会と混和材小委員会の二つの小委員会を設け,コンクリートの構造材料としての将来像を展望しつつ,コンクリート用混和材料の品質,それらを用いたコンクリートの品質,施工規準,適用方法,配合設計法などの問題を取り上げて検討している.これらの成果は,コンクリート用混和材料マニュアル・データ集として近い将来発刊する予定である.
本委員会への加入は,本委員会開催時に委員会の承認を得ることになっている.コンクリート用混和材料に関心を持たれる会員の積極的な加入をお待ちしている.
 

複合材料部門委員会
本部門委員会は,複合材料に関する技術ならびに研究情報の交換の場として,複合材料技術の発展と社会への貢献を目的とし,委員相互の研鑽のために設立され,FRP部門委員会を前身として30年以上の歴史を有した委員会である.委員は,産・官・学を問わず,日本材料学会会員であって,登録すれば委員になり自由に参加できる.委員の専門分野も数理,化学,建築,土木,機械,金属など多様で,複合材料をキ−ワ−ドとする横断的な人々の集まりでる. 本委員会の活動は,見学会や合同研究会を含む年4〜5回の例会,成形・加工,NDT/NDE,接着・接合などのプロジェクト研究(検討中),年1回3月中旬に開催される「FRPシンポジウム」がある.
2000年度は4回の例会を開催した.詳細は以下の通りである.
1. 定例部門委員会
第178回部門委員会(関西FRPフォーラムと共催),(2000年6月9日)大阪産業大学梅田サテライト(74名)
     (1)講演 「持続可能な経済成長を目指した材料工学のあり方」元大阪府立大学工学部教授  宮南  啓氏
     (2)講演 「天然リグニンの機能制御と循環型複合材料への応用」三重大学生物資源学部  舩岡 正光氏
【製品および技術紹介】
     (1)「FRPの最近のクローズド成形について」FRP技術事務所所長  森本 尚夫氏
     (2)「RTM成形と製品開発事例について」樹脂加工滑J発室  黒川喜代治氏
     (3)「耐酸性ガラス繊維について」日東紡褐エ繊製造部 松永 隆延氏
第179回複合材料部門委員会(三者合同)(2000年9月28日)名古屋大学ベンチャ−・ビジネス・ラボラトリー(41名)
     (1)講演 「超音速輸送機の開発の現状」日本航空機開発協会  田村 裕文氏
     (2)講演 「FRP歩道橋の開発と今後の技術課題」石川島播磨重工業葛エ梁事業部 宇野名右衛門氏
     (3)講演 「セラミックス部材の研究開発の現状と今後−セラミックス系複合材料−」 ファインセラミックスセンター試験研究所  河本  洋氏
第180回複合材料部門委員会(見学会)(徳島県の産学官連携促進会議,SAMPE Japanと共催)(2000年12月7日)USS梶C大塚化学梶i31名)
     (1)講演 「FRP船のリサイクル技術に関する話題」四国工業技術研究所 榊原 実雄氏
     (2)講演 「大塚化学のFRTP材料の現状と用途展開」大塚化学梶@河口 明義氏
     (3)講演 「CFRPの損傷と変形の時間依存挙動〜クリープとポストキュアを例として〜」愛媛大学 黄木 景二氏
第181回複合材料部門委員会(2001年1月19日)大阪産業大学梅田サテライト(26名)
     (1)講演 「複合化技術による不織布の用途開発」 京都女子大学  矢井田 修氏
     (2)講演 「強化繊維束の開繊および開繊糸織物の開発」 福井県工業技術センター  川邊 和正氏
     (3)講演 「光ファイバセンサによる複合材料のスマート化について −積層板,組物,FW複合材料への応用」 大阪市立大学  高坂 達郎氏
その他,日本材料学会第49期通常総会・学術講演会(2000.5.18/19,於:北海道大学)において,併設フォ−ラム:「生物(又は自然)に学ぶ複合材料−複合材料の最適設計−」および,O.S.:「生体・医療材料と複合材料」を開催した.また,「FRPシンポジウム」は2001年3月で第30回を迎え,名実ともに歴史的にも由緒ある会員の研究発表の場となっている.今回は21世紀開始の年での開催であり,「記念シンポジウム」とし,そのテーマは,とうとうたる技術革新の流れの中で複合材料が21世紀に真に役立つものとして確固たる地位を確立することを願って,「21世紀に向かっての複合材料製品の設計コンセプトを探る」として開催した.講演件数は,一般127件,特別講演2件,Key note講演1件,参加登録者は274名,有意義な討論の場となった.シンポジウム受賞関係では,論文賞1件(個−気相複合材料の荷重分散解析,片山傳生,三木正俊,野里高志の各氏),奨励賞1件(形状記憶合金粒子の分散による金属材料の対衝撃抵抗改善の試み,戸田裕之氏),さらに部門功績賞1件(中西洋一郎氏)を表彰した,また,同時に複合材料部門委員会公開交流会を開催し,産・官・学の技術交流を深めました.
国際学術交流として,本部門が立ち上げたACCM-2000が韓国/慶州で開催 (2000.8/18,19,20) 日本から104名参加,開催中に現代自動車工場,韓国機械材料研究所,韓国航空宇宙産業 先端複合材料センタ−を見学(参加者9名),日本−ベトナム複合材料合同セミナ−を開催,訪問先はCho Ray Hospital(ホ−チミン),National Center for Technology Progress(ハノイ)とHanoi University of Technology (Polymer Center) (2000. 11. 25〜30),委員8名が参加し,「先端複合材料の医療関係への応用」で活発な意見交換を行った.
 

フラクトグラフィ部門委員会
材料の破壊に対して種々の解析手段があるが,中でも破断面の詳細解析を行うフラクトグラフィは破壊過程のもっとも如実な観察が可能であり,各方面においてますます浸透,活用されつつある.とくに,近年の電子顕微鏡の進歩とともにフラクトグラフィは飛躍的な発展を遂げ,破壊事故解析においては事故原因の重要な証拠を提供し,また,破壊の研究に際して,ミクロとマクロの谷間を埋めるべく,破壊力学の今後の展開の最重要情報提供源の一つとして重視されている.
本委員会は,フラクトグラフィを主要な手段とする破壊の研究ならびに破壊事故解析技術のより一層の発展を推進することを目的とし,かねてより活動中であったフラクトグラフィ研究会を母体として,昭和50年10月22日に設置された.同研究委員会は,昭和44年11月,当時国内におけるフラクトグラフィの研究,応用が緒についたばかりで,この種の研究グループがなく,関係者相互間の連絡が乏しかったのに鑑み,日本機械学会フラクトグラフィ分科会として発足し,情報交換,共同研究ならびにその成果の普及活動を実施し,3年間の会期を所期の成果を挙げて満了した.その後,引き続いて,会員数を増大,フラクトグラフィ研究会として活動を継続し,本委員会に引き継がれた.得られた成果は第1回から第9回フラクトグラフィシンポジウム(昭和52年5月,54年10月,57年6月,59年6月,61年6月,63年6月,平成2年6月,5年6月,8年6月)および「材料」フラクトグラフィ特集(昭和53年1月,55年6月,58年4月,60年6月,62年5月,平成元年5月,3年6月,6年5月,9年6月)として公表されている.平成11年度委員会での講演内容は以下の通りである.
[第79回委員会]
・半導体デバイスの破面解析
     三菱電機叶謦[技術総合研究所  濱田  繁 上貝 康巳 谷  周一
・機械部品の破損解析事例
     名古屋市工業研究所   久保 雅克
・in situ法Cu-Nb複合多芯線材の疲労強度
     岩手大学工学部 片桐 一宗 佐藤  正 笠場 孝一 正路 良孝  佐々木君幸
     フジクラ    斉藤  隆 後藤 謙次 富士  広 
[第80回委員会]
・高精度三次元立体画像構築アルゴリズムの開発と破面解析への適用
     阪大接合科研  黒田 敏雄 池内 建二 北川 良彦 松田 良平
・   AIP法によりCrN薄膜を被覆したSUS304の疲労破壊特性 
徳島大工 米倉 大介 玉置 公博 村上 理一
     神戸製鋼 花栗 孝次 佐藤 俊樹
・科学捜査の現場におけるフラクトグラフィ技術の活用U−ワイヤロープ,ボルトおよび バネの破損事故調査事例
     岐阜県警察本部 福山 邦男
・機械部品の破損事例 
     三造試験センター    藤原 泰則
[第10回フラクトグラフィシンポジウム]  報告18件
 

信頼性工学部門委員会
近年,環境に優しく,省エネや省資源を重視する各種機器・構造物の開発,あるいは情報機器やその半導体・電子部品の進歩は目覚ましいものがある.これらの機器や要素部品の信頼性・安全性・健全性を評価していく上で,信頼性工学の必要性は,ますます,重要視されてきている.機械・機器・構造物あるいは構成要素部品の設計・製作・運用において信頼性を評価していくためには,様々な不確定要因の存在を前提としなければならない.信頼性工学とは,構成要素および構造システムの安全性・信頼性を定量的に評価する学問であり,その工学的手法・技術を開発・発展させることによって機械・構造物の合理的な設計および維持・管理の信頼性向上を目指すものである.このような背景から信頼性工学の進歩は目覚ましく,その研究成果は国内外の多くの会議やシンポジウムで発表され,活発な討議が展開されている.航空機,エネルギー機器,情報機器などの多くの分野でその成果が応用され,信頼性確保に大いに寄与している.
このような社会的関心の高揚と信頼性工学の急速な進歩に対処するために,材料を介して種々の工学分野を結び付け,信頼性工学手法の確立を目的として,本学会に設けられたのが信頼性工学部門委員会である.したがって,本委員会では,本学会の他の委員会は言うに及ばず他の学会とも協力して幅広い話題を提供し,信頼性工学の更なる発展を維持するものである.このような趣旨に基づき,定例委員会,シンポジウムならび研究分科会活動を行っている.
平成12年度の委員会活動としては,第49期総会併設行事として信頼性フォーラムおよびオーガナイズド・セッションを企画しいずれも大盛況であった.また,中四国地区(香川大学)にて平成12年度第1回運営幹事会および第94回委員会を,東京大学(工学部)にて第2回運営幹事会および第95回委員会を,関西地区(甲南大学)にて第3回運営幹事会および第96回委員会を開催した.また,平成12年度は「材料・構造信頼性工学シンポジウム」の代わりに,共催として日本学術会議(東京)で開催された「第4回構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム (JCOSSAR2000)」に信頼性工学部門委員会からもオーガナイズド・セッションを企画・参加し,他学協会の研究・技術者との相互交流を深めるとともに,広くわが国におけるこの分野の研究動向の把握に努めることができた.各委員会での討論としては,下記のような研究課題を適宜設けて,密度の高い情報交換会を行っている.また,その都度,相互理解を深めるため懇親会も合わせて実施している.
(1)要素信頼性(新素材含む)
(2)構造信頼性 
(3)信頼性理論(確率的破壊力学を含む)
(4)信頼性技術(ヒューマンファクター,品質管理,保守・点検,CAD等)
中四国地区(香川大学)での平成12年度第1回運営幹事会では,平成12年度の活動方針・計画の討議ならびに地区幹事の見直しおよび部門委員会とシンポジウム開催に対する2名の副委員長による委員長補佐の分担について再確認し,本部門委員会活動の一層の活性化と円滑化を図っていくことになった.関東地区(東京大学工学部)での第2回運営幹事会では第50期総会併設行事でのフォーラムとオーガナイズド・セッションの企画および50周年記念事業としての疲労部門・信頼性工学部門合同企画の金属材料疲労信頼性評価標準制定に関する原稿(案)などについて討議した.関西地区(甲南大学)での第3回運営幹事会では本部門委員会における功労賞の授与あるいは第50期総会併設行事でのフォーラムとオーガナイズド・セッションにおける講演依頼者に対する処遇について討議した.その他の活動としては「材料」の平成13年1月号には信頼性工学小特集号を掲載し,平成13年1月号から7回に亘っては信頼性工学連載講座を連載する.
平成13年度の委員会活動計画としては,委員長を中心に,2名の副委員長および各地区幹事による協力のもと,定例の部門委員会開催のほか,前述の第50期総会併設行事や研究分科会活動にも積極的に注力して行くとともに,平成13年12月には第18回材料・構造信頼性工学シンポジウムを行う予定である.なお,本部門委員会への新しい参加者を大いに期待しております.委員会および研究分科会への参加は,主として本委員会の現委員の推薦によるが,参加希望の方は日本材料学会に直接申し込まれると,幹事会審議を経て本委員会の承認を得たうえ委員に委嘱される.ただし,企業から参加される場合は,委員会資料費として年間15,000円を納付していただき,その他の個人会員の参加者については,平成10年度より1,000円の会費を徴収させて頂いております.
 

破壊力学部門委員会
本委員会は,破壊力学という特徴ある力学体系と,それに基づくき裂材の強度評価 体系を中心に,広く材料の破壊現象ならびにそれに関連した諸問題を取り扱う委員会 である.破壊現象を取り扱うという点では,疲労,高温強度,腐食防食などの諸部門委員会と,また,強度問題一般という点では,信頼性工学などの諸部門委員会とも共通する部分をもっている.本部門委員会が昭和54年に発足して以来,20年以上が経過した.その間,産・官・学各委員に興味をもたれている先端技術や新素材などの先端情報の紹介や解説を行い,講演会や討論を通じて委員相互の情報交換を行う場を提供するため,年4,5回の委員会を開催してきた.また,本委員会は,幹事会で立案した各種議案や会の運営に関 わる基本的諸問題を審議・決定する機関として機能している.
平成12年度には,以下のテーマを主題として,4回の委員会を開催した.
第98回「金属間化合物の最近の動向」
第99回「熱応力・熱サイクルとき裂進展」
第100回「破壊力学研究のこれまでとこれから」
第101回「構造物のリスク評価」
特に第100回は歴代の破壊力学部門委員長5名の方を講演者としてお招きし,六甲山にて1泊2日の記念委員会が盛大に行われた.各講演者は破壊力学の歴史に残る研究を行ってきた方々であり,世界中の破壊力学研究者との交流もあるため,どの講演も大変興味深いものとなった.また,将来に関する話題では,破壊力学に関する未解決の問題に対して,示唆に富んだ指摘がなされた.これらの講演会資料は,小冊子にまとめられて,各委員に無料で配布している.
本委員会では小委員会を設け,以下のようなテーマを絞った活動も行っている.
FMニュース小委員会では,破壊力学に関連する国際会議や規格の制定・改正などの破壊力学関連のニュースを集録編集し,「FMニュース」として委員会およびシンポジウムの開催ごとに配布している.今後は,より広範囲かつ迅速にこれらの情報を集めることが可能となるよう,他の学会との連携も視野に入れている.
K値小委員会では,これまでの活動によって,応力拡大係数に関するハンドブックとして,STRESS INTENSITY FACTORS HANDBOOK, Vol.1〜3を発行してきた.このハンドブックは,国内に限らず国外でも広く活用されており,国外を含め研究者からの精度などに関する問合せに対して,委員会として対応している.世界中の研究者から,本ハンドブックの利便性の向上を要望されており,それを受けて本年度は卓上廉価版の発刊を検討している.また,Vol. 4および5の出版準備が整い,今年度中には発行できる運びとなっている.
トライボロジー小委員会では,「トライボロジーと破壊力学」を課題に年2回程度の小委員会を開催し,大学と企業の研究者約30名で研究活動を進め,共同研究成果をまとめている.
国際研究集会実行小委員会では,材料学会50周年記念事業における国際研究集会の企画を行ってきた.本年度5月に迫った本研究集会では海外からハーバード大学のProf. Hutchinson,MITのProf. Suresh,ニューヨーク州立大学のProf. Nakamura,マックスプランク研究所のDr. Gumbshを招待し,講演いただくとともに,国内から東北大学の庄子教授に基調講演を頂くことになっている.
現在,本委員会は,法人会員46社,名誉委員5名を含め,産・官・学186名の委員により構成されている.本委員会の存在価値は破壊力学の実機構造物の設計など,実際面に活用されることにあるため,特に会社関係の方々の参加を強く希望している.委員会への加入は,委員会の承認を得ることになっている.加入希望者は日本材料学会事務局に直接申し出られたい.なお,会社委員には,原則として本会の賛助会員で,年間20,000円の資料費(全資料配布),その他の個人会員には年間2,000円の連 絡・整理費をご負担いただいている.
 

セラミック材料部門委員会
本委員会は,昭和54年6月に,セラミック材料の諸問題を扱う委員会として発足し現在に至っている.セラミックスの合成,製造,加工などの各種プロセス技術ならびに機械的,熱的,電子・磁気・光学的,化学的性質などの設計と評価技術に関する諸問題を対象に,産・官・学の研究者の情報交換・討論の場として,有用な機会を提供してきている.
本委員会の構成員には法人委員と個人委員がある.委員会への加入は,主として現委員の推薦によることが多いが,日本材料学会事務局に,加入希望する旨を直接申し出ていただいてもよい.幹事会と委員会の了承を得て,委員となって頂くことになる.なお,会の運営維持ののため,法人会員には年間15,000円を,委員会での講演会や見学会の資料代等(欠席の場合も毎回送付される.各回参加費は無料)として,また個人会員には,委員会への出席各回毎に1,000円の費用負担をお願いしている.
平成12年度期には4回の委員会が開催された.委員会でのテーマ,講演,講演者,日時,場所などの内容は以下のようである.7月の委員会では,公開討論会「セラミックスの合成と評価」を行い,活発な研究発表と討論が行われた.これらの研究発表の一部は「材料」誌に寄稿され,小特集の論文として掲載されている.委員会での識者による講演会と同時に,各方面の協力を得て,セラミックス技術の研鑚に役立つ貴重な施設の見学会を行っており,好評を得ている.来期にも,意義ある委員会活動をめざして,講演会,公開討論会,見学会を計画しており,委員ならびに会員各位の一層のご支援をお願いする次第である.
第97回委員会(公開討論会)
平成12年7月12日(水) 京大会館
テーマ「セラミックスの合成と評価」
「Li2O-SiO2系ガラスの熱処理と結晶化挙動」(京工繊大) 若杉 隆,門口卓矢,大田陸夫
「希土類イオンの価数変化を利用した光記録」(京大工)安本親文,藤田晃司,平尾一之
「分子軌道計算による安定化ジルコニアの相安定性評価」(東大工) 桑原彰秀,幾原雄一,佐久間健人
「セラミックスの超塑性変形機構」(豊橋技科大) 武藤浩行,逆井基次
「水系高濃度セラミックススラリーの分散特性」(名工大) 高木 修,與語一之,小澤正邦,鈴木 傑
「画像解析法による複雑形状プレス成形体の圧力伝達機構の解析」(京工繊大) 佐藤昌利,塩見治久
「疎水系溶媒における金属アルコキシドを用いたZrO2コーティングBaTiO3複合粒子の合成と評価」(湘南工大) 林  卓,谷村明宏,篠崎裕志,高梨一也,青木秀行,佐々木きょう一
「メカノケミカル活性化処理したAl(OH)3を用いたスピネルの合成」(京工繊大) 塩見治久,小川乾吾,岡本謙一,塩野剛司、(積水化学工業) 神谷昌岳,北村 真
「α型およびβ型ビス(オルトリン酸)三カルシウムからのフッ素化アパタイトの合成とその評価」(大産大) 坂本清子,水口和野
(阪大) 山口俊郎(京工繊大) 中平 敦
「アパタイト/チタン複合材料の製造と評価」(京工繊大)江口健一郎,中平 敦
「多孔質アルミナの力学特性に及ぼす気孔形態の影響」(名工大)西川直宏,中島篤久,本多沢雄,淡路英夫
「ZrB2粒子分散βスポジュメン基複合材の作製と評価」(三重工技研)稲垣順一(JFCC)鈴木敏之,野村 浩,北岡 諭
「回転炉用煉瓦の熱応力と割れ対策に関する検討」(日立造船)飛田 仁,谷川雅之,芦田吏史,矢野 淳
「ガスタービンエンジン用セラミック材料の開発及び今後の展開」(京セラ)吉田 真,田中広一,佐藤政宏,鶴薗佐蔵
「SiGe系熱電発電のエネルギー評価と高効率化に関する研究」
第98回委員会
平成12年10月3日(金) 大阪工業技術研究所
テーマ『高度情報社会とフェライト材料』
「マイクロ波フェライトの現状とそのデバイス―透磁率スペクトルとスヌーク限界則―」(戸田工業創造本部) 中村龍哉氏
「次世代リチウム二次電池用リチウムフェライト系材料の材料設計」(大阪工業技術研究所) 田渕光春氏
大阪工業技術研究所セラミック材料関連施設の見学
第99回委員会
平成12年12月8日(金) ファインセラミックスセンター
テーマ「無機化学からの挑戦」
「無機材料の創製と資源循環へのアプローチ」(名古屋大学難処理人工物研究センター) 伊藤秀章氏
「炭化物表面分解法によるカーボンナノチューブの合成」(ファインセラミックスセンター) 楠美智子氏
ファインセラミックスセンター内の見学
第100回委員会
平成13年4月6日(金) 龍谷大学 REC小ホール
テーマ「セラミックスとエネルギー」
「熱発電モジュールの試作とその応用について」(概YK先端材料研究所) 岩元孝史氏
「カルコパイライト型化合物半導体の薄膜太陽電池への応用」(龍谷大学物質化学科) 和田隆博氏
龍谷大学セラミックス関連施設の見学
 

衝撃部門委員会
衝撃下における材料・構造物の変形・破壊現象は,車の衝突や地震による動的破損といった問題から,逆にこれを積極的に利用する破砕や加工の問題まで広い分野でしばしば見られる.しかしこうした現象は材料自身の動的性質と材料中を伝ぱする応力波などの力学的問題が絡み合い一般に複雑である.これらを解明するためには単に材料の物性面からのみならず,解析方法,装置・実験法,計測法などのいろいろの視点から議論し検討する必要があるが,従来そうした機会が少なかった.この点に鑑み関連の諸分野の研究者・技術者が一堂に会して衝撃問題を議論し情報交換できる場として本部門委員会が1981年(昭和56年)2月に設立された.それ以来,ほぼ年4〜5回の定例の委員会(研究会)のほかに,3年ごとの「材料の衝撃問題シンポジウム」を開催し,またそれを基に学会誌「材料」に衝撃特集号を刊行し,さらに衝撃問題の基礎と最近の問題を解説した連載講座を2度に亘り掲載するなどの活発な活動を続けている.
平成12年度の活動としては4回の委員会を開催した.下記の講演がなされ,いずれも多数の参加者により活発な討論が行われた.平成13年度の活動としては定例の委員会のほか,衝撃部門委員会創立20周年記念冊子の発行を計画している.また,衝撃部門の活性化のため部門賞の創設を予定している.
委員は平成13年2月現在で111名(うち法人委員11名)で,運営分担金として法人20,000円(毎回資料送付のサービスあり),個人1,000円を納入して頂いている.衝撃問題にご関心のある方々のご参加をお待ちしている.
第81回委員会
 平成12年5月17日(水),北海道大学
     (1)「重錘落下衝撃荷重を受けるRC梁の弾塑性衝撃応答解析の妥当性検討」岸 徳光(室蘭工業大学)
     (2)「地震時における高層建築物の振動シミュレーション」世戸憲治(北海学園大学)
     (3)「平板衝撃試験法による負荷・再負荷実験について」佐藤裕久(東北学院大学)
第82回委員会
 平成12年7月25日(火),神戸商船大学 
     (1)「衝撃波研究における最近の進展」佐野幸雄(神戸商船大学)
     (2)「粉末衝撃成形技術研究における最近の進展」外本和幸(熊本大学) 
     (3)「衝撃破壊・動的破壊研究における最近の進展」西岡俊久(神戸商船大学)  
第83回委員会
 平成12年11月2日(木),防衛大学校
     (1)「衝撃的上下動によって損傷したRC柱の動的水平耐力について」石川信隆(防衛大学校)
     (2)「高ひずみ速度下におけるコンクリートの引張・圧縮特性に関する研究」藤掛一典(防衛大学校)
第84回委員会
 平成13年2月2日(金),三菱重工高砂研究所 
     (1)「固体中衝撃波の計測について」中村 明(防衛庁第一研究所)
     (2)「コンクリート強度のひずみ速度依存性の定式化」白井孝治(電力中央研究所),伊藤千浩
     (3)「動的圧力発生装置の開発とその応用」木村 延(三菱重工)
 

強度設計・安全性評価部門委員会
高い安全性と信頼性に加えて経済性の高い機械・構造物に対する強い要求に答えるためには関連分野の情報の有効な活用が必要であり,それに対応する横断的な情報交換の場の提供を目的に本部門委員会は昭和58年(1983)に設置された. 設立以来,年間2〜3回の委員会を開催し平成12年度で第41回の委員会を重ねることになり,一方,隔年で秋に疲労部門委員会の協力のもとに「機械・構造物の強度設計,安全性評価シンポジウム」を7回開催してきました.これらの委員会,研究会では広く機械や構造物の強度設計と安全性評価に関する学理と実際の問題が提供され,異なった分野より見た新しい視点を含めた活発な議論を進めてきました.このような活動は,昨今の各種システムにおける事故に見られるごとく,我々の社会生活,産業活動においてはその重要性を益々高めてきているものと考えています.
平成12年度は年度計画にもとづき3回の委員会を開催しました.
第39回委員会は高知工科大学にて,同大学の研究施設の見学を含め開催し4件の講演がなされた.
     (1)鉄道車軸はなぜ回転して使用されることになったか 高知工科大学  坂本東男氏
     (2)高温構造物設計における設計許容応力の設定基準 高知工科大学  門馬義雄氏
     (3)Finite element analysis of extrusion of press-fitted axle assemblies 龍谷大学  河嶋寿一氏
     (4)ボイラー管寄せ部のクリープ疲労寿命評価に関する検討 住友金属テクノロジー  田中健一氏
第40回委員会は京都日本材料学会本部で開催.開業後35年有余が経過している新幹線車両の強度設計と安全性について,車輪,車軸の研究に関係された講師による講演を特集した.
     (1)鉄道車軸の疲労強度と安全性について 鳴海製陶梶@ 西岡邦夫氏
     (2)鉄道車両部品の強度と安全性について 研友社  田中真一氏
     (3)車輪横圧と車両の強度と安全性について 龍谷大学  中村 宏氏
第41回委員会は東京7日本海事協会で3月23日に開催の予定で,講演題目は次のようにしている.
     (1)原子力機器の経年劣化メカニズム―主として環境疲労― 電力中央研究所  高尾 武氏
     (2)高強度クランク軸材の疲労強度 日本海事協会研究センター  小俣重雄氏
     (3)石油タンクの極低サイクル疲労き裂成長と安全性評価 NKK日本鋼管椛麹材料技術研究所  伊木 聡氏
上記のように,強度設計・安全性評価部門委員会では学術的な成果とともに広く産業分野の具体的な機械や構造物の強度評価と安全性の問題を総合的に取上げ,色々な角度より議論し会員諸氏に役立つ情報を提供している.また,当部門委員会活動で取上げてきた輸送機械,産業機械の強度設計と安全性評価問題をその実例を主にして平成13年12月号[材料]の「講座」に掲載を予定しており,ご参考にしていただきたいと思います.開催地も京都以外の各地での委員会開催を行っていますので,当委員会の活動にご関心をお持ちの方は参加頂き,問題提起や討論頂くことをお待ちしています.
 

分子動力学部門委員会
材料工学,材料科学におけるさまざまな分野でミクロな視点からの研究の重要性が認識されてきている.従来の電子顕微鏡に加え,新しい原理に基づく走査型プローブ顕微鏡の進歩と普及やマイクロテスティング技術の発達とともに,原子/分子レベルの構造とその挙動を調べることを通じたミクロなメカニズムの探求と,物質系のマクロ特性を予測するための方法論の確立に期待が寄せられている.このようなアプローチが期待される背景として,以下のことが挙げられる.
・寿命予測やさまざまな環境下での強度特性の評価などに関して,従来材料に対する研究の質を飛躍的に深めることが求められ,界面/表面や格子欠陥など,原子/分子レベルの局所的構造とその変化を視野に入れた材料特性評価が不可欠であること.
・超LSI,マイクロマシンなど,ミクロ構造設計により開発される新しいデバイスでは,機能設計と同時に,実用化に向けての製造プロセスの提案,力学特性・健全性評価や強度設計における原子/分子レベルからの検討が不可避となってきていること.
・既存材料の特性評価にとどまらず,その特性発現機構を把握することによって,特定の機能や特性をもつ新素材の材料開発,材料設計への応用の必要性が高まっていること.
特に,計算機性能の飛躍的向上を背景に,計算力学的なアプローチの可能性が広がってきている.このような目的が実施されるミクロシミュレーションでは,実験が困難な条件下の現象,直接観察が不可能な材料内部の状態,従来の連続体としてのモデル化では取り扱いが難しい問題の研究が可能であり,従来のマクロ構造解析と本質的に異なるのは,ミクロシミュレーションによって獲得される多様な内部状態の変化が,材料固有の特性や強度それ自身の評価を可能にする情報を内包している点である.つまり,未知の新しい材料設計や,機能予測を可能にする方法として期待されている.このように,近い将来におけるキーテクノロジーとして位置づけされることへの期待から,国内外の学会において多くの研究者の強い関心を集めている.
「分子動力学」とは,狭義には物質系を原子/分子の集合体としてモデル化し所定の力学場の下での個々の粒子の運動を追跡することに基礎をおく方法であるが,本部門委員会では,それにとどまらず,電子論に基づく方法,分子静力学,モンテカルロ法からミクロとマクロの中間領域として位置づけられるメゾスケール領域のモデリングに至るまで,ミクロ構造やその動力学的変化を扱うシミュレーションすべてを対象とし,その基礎理論の確立と実用化に向けた活発的な取り組みを行っている.さらに,従来の部門委員会が研究分野別の縦割り的であったのに対して,原子/分子レベルの計算機シミュレーションを核として,従来のカテゴリーの枠にとらわれず様々な応用分野の研究者が集まり横断的に情報を交換し相互交流を深めることを通じてこの研究分野の発展を図ることを目的としているのが大きな特徴である.
具体的には,年4〜5回開催している委員会では,基礎的な知識の修得と最新の研究情報の交換を目的として,シミュレーションによる研究のみならず,ミクロな視点からの理論的研究,実験的研究を行っている国内外の研究者を招き,多種のテーマについて講演をお願いしているほか,研究発表の場として「分子動力学シンポジウム」を開催し,本分野の学問的発展と普及に努めている.また昨年度から,委員の有志によって「原子間ポテンシャルに関するワーキンググループ」活動を開始し,活発な情報交換を行っている.本年度の活動としては,50周年記念行事としては,記念学術講演会では,オーガナイズドセッション「電子・原子・分子からの材料強度評価」を,国際研究集会においては,「大規模分子動力学シミュレーション ---109個への挑戦---」に関する国際シンポジウムを開催した.また,7月には3日間にわたる分子動力学夏季講座を企画しており,研究者層の拡大にも力を注いでいる.
参考までに第49期の委員会による講演内容を記しておく.
○第1回(5/17,北海道大学)
・“衝撃解析分野におけるSPH法の適用について”片山雅英(CRC総研)
・   特別企画「ビジュアリゼーション大会」
・“ワークステーションクラスタを利用した実時間,並列表示MDシミュレーション”
辻 知章(静岡大)
・“材料のミクロ−マクロ”    尾方成信(阪大)
・“多重解像度を持つ対話型分子動力学法に関する研究” 齋藤賢一(阪大)
・“Visual C++ による可視化プログラム” 上原拓也(京大)
○第2回(9/19,東大)
・“フラーレン類生成過程とナノチューブによる水素吸蔵のシミュレーション” 丸山茂夫(東大)
・“分子動力学シミュレーション専用計算機MDM” 成見 哲(理化学研究所)
○第3回(12/18,川崎市産業振興会館)
・“第一原理分子動力学法を用いた熱電材料の設計” 江口晴樹 (IHI)
・“分子シミュレーションによる反応解析”  佐藤裕輔(東芝)
・“分子動力学法によるセラミックス材料設計への取り組み” 石原伸夫(三菱重工)
・“薄膜における摩耗・成膜挙動解析”   佐々木直哉(日立)
○第4回(3/27,材料学会)
・“気液界面における熱・物質伝達の分子動力学的アプローチ” 鶴田隆治(九工大)
・“分子動力学による単結晶シリコンの変形・破壊シミュレーション” 田中宏明(大阪電通大)
多様な分野の研究者・技術者が参加されることをお待ちしておりますので,参加ご希望の方はご連絡ください.
e-mail: md@jsms.or.jp URL: http://www2.jsms.or.jp/~md
 

マイクロマテリアル部門委員会
半導体素子の微細加工技術と機械工学を結集したマイクロマシンの実現は,すべての産業分野への波及効果が期待される新技術として大きな注目を集めている.マイクロマシン研究においては,微小機械要素あるいはその加工技術については精力的に研究が行われつつあるが,実用に耐え,寿命予測の可能なマイクロマシンを開発するためには,実際にマイクロマシンで使われるサイズの微小寸法材料の材料学,加工法,評価法等を含んだ総合的な立場からの検討が必要である.
また一方,電子部品に目を転じるとその微細化には目を見張るものがあり,薄膜,細線材料など微小寸法材料の信頼性評価技術の確立は急を要する重要問題である.さらに,先進複合材料の強化繊維に目を転じればその直径はサブミクロン,あるいはミクロンレベルであり,このような強化繊維の微小領域における強化機構や環境劣化特性の解明が,複合材料自体の破壊機構の解明に先立って必要である.
このような社会的要請を基にして,当マイクロマテリアル部門委員会は,平成8年1月に発足したもので,つぎに述べる5分野に重点を置いて,活動を展開するものである.ここで言うマイクロマテリアル,マイクロエレメントとは,その最小寸法がマイクロメートルオーダーのものを指し,
(1)微小材料理論
 微小材料の物性・強度評価に対する従来の材料力学理論の適用の可否と分子動力学法等の新理論の研究
(2)微小材料加工法
 リガプロセス加工,リソグラフィ加工,集束イオンビーム(FIB)加工等の新しい微小材料加工法の研究
(3)微小材料評価法
 微小材料機械的強度試験法と評価法,微小材料,薄膜の静的機械的性質,破壊じん性,疲労強度,環境強度,摩擦・摩耗試験法,材料性質,設計基準等に
関する研究
(4)微小材料観察法
 プローブ顕微鏡をはじめとして種々の最新の観察手段による,種々の微小材料のナノメートルを分解能とするナノフラクトグラフィ技術に関する研究
(5)微小材料,マイクロエレメント応用技術
 現実に製作されているマイクロマシン,電子デバイス,生体計測,マイクロプローブ等における材料性質上の問題点の抽出と設計基準確立に関する研究の諸分野が研究対象となる.
活動は年3〜4回の委員会を開催し,上記5分野にまたがる話題提供と研究討論,研究設備見学を行っている.2000年9月13日には,第1回マイクロマテリアルシンポジウムを工学院大学新宿校舎にて開催した.講演件数は29件であり,「微視的観察」,「原子オーダーからの解析と特性評価」,「ナノインデンテーションとその応用」,「微小材料の加工」,「界面特性評価」,「マイクロマテリアルの機械的特性評価と破壊」,「マイクロマテリアルの疲労」などに関する研究発表がなされた.前日の名古屋地区の集中豪雨で足の便が悪いにも関わらず,58名の参加者を得て,朝9時前から夕方の6時前までの長時間にわたって活発な討論がなされた.なお,本シンポジウムでは講演申込みが多く,一部の講演をお断りするとともに,講演時間を短縮せざるを得ず,関係諸氏にご迷惑をおかけしたことをお詫びするしだいである.また本年5月に日本材料学会50周年記念行事の一貫として開催される国際研究集会に,海外から著名な研究者を招いて,「シンポジウムE,マイクロマテリアル−21世紀のフロンティア」を開催する予定で準備を進めている.
マイクロマテリアル研究は,従来の材料学研究とは一線を画した新規の考え方,アプローチを必要とし,また,従来の材料学の常識を覆す新材料,新現象の発見につながる材料研究の新大陸でもある.関心の向きは是非とも当部門委員会に参加されることを切望する.なお,部門委員会委員に対しての資料・通信費の負担はないが,事務連絡,議事録送付等は原則として電子メールで行っている.
 

半導体エレクトロニクス部門委員会
本部門委員会は1998年10月に発足した新しい研究会で,大学,企業,公立研究所から多くの研究者が集まり半導体エレクトロニクス研究に関する活動を行っている.目的としては,半導体エレクトロニクスに関する研究を通じて学術的交流,人的交流を促進し,本分野の発展を図ることにある.本研究にかかわる大学,公立研究所を開催場所として以下の趣旨でホットなトピックスについて研究会を開催している.
福祉,高齢化,環境における様々な問題点を克服し,今後とも社会が発展していくためには高度情報化の実現が是非とも必要である.これらの高度情報化をハードウェアサイドから担うのが,大容量の情報を高速かつ簡便に処理できる電子機器・素子技術の発展である.これらの電子機器・素子は半導体シリコン集積回路を中心とした半導体エレクトロニクスの発展によってより高性能化してきており,今後も更なる発展が期待されている.このなかで,半導体,金属,超伝導体,誘電体,磁性体などの電子材料の作製・加工・物性解析の研究が重要な役割を果たしているのはいうまでもない.これらの研究成果は国内学会・研究会,国際会議や学術論文誌で発表されている.しかし,研究発展段階での実験,理論解析などについて自由な雰囲気で議論し,かつ将来にわたる研究動向,指針をも大胆に話し合える機会は少ない.そこで,大学,公立研究機関,企業の関係する科学者,研究者,技術者を集めて上記のような半導体エレクトロニクスを中心とした話題について親密な議論のできる半導体エレクトロニクス部門委員会の活動に期待されるところが大きい.研究,開発における失敗談や問題提起から国際会議報告なども含めた技術懇談会風の楽しい会合を持つ委員会としている.
こういった趣旨のもとで,平成12年度に3回委員会・研究会を開催した.平成12年度の研究会でのテーマは以下のとおりである.
第5回研究会(4月,大阪府立大学にて開催)
1)アーク放電によるカーボンナノチューブの大量作製 安藤義則(名城大学)
2)カーボナノチューブの非可逆曲げ変形  渋谷陽二(大阪大学)
3)カーボンナノチューブの電界放出特性  秋田成司,中山喜萬(大阪府立大学)
第6回研究会(9月,神戸大学にて開催)
1)半導体超格子における新機能の発現と物性 喜多 隆(神戸大学)
2)石英系光導波路素子 森脇和幸(神戸大学)
3)半導体フォトニック結晶 野田 進(京都大学)
第7回研究会(12月,京都工芸繊維大学にて開催)
1)赤外光弾性法を用いた半導体ウエハ・デバイス中の歪分布測定 福澤理行,儲  涛,山田正良(京都工芸繊維大学)
2)ワイドギャップ半導体のサブミクロン解像度極低温顕微ホトルミネセンス像 吉本昌広(京都工芸繊維大学)
3)窒化物半導体のラマンマイクロアナリシス 播磨 弘(大阪大学)
また,これらの成果を材料学会誌の特集号としてまとめ,平成13年4月に本委員会第1回目の発刊がされる.今後とも,大学・研究所からの委員にご協力いただいて年3回の委員会を順次開催していく予定である.上記テーマに関して気軽に議論し,話し合っていける楽しいフォーラムとしていきたいので,興味を持たれた方は是非とも参加していただければ幸いです.