部門・研究委員会

本学会には,以下の部門委員会があります.


☆☆部門委員会制定の賞☆☆

部門委員会への入会は本会会員であることが必要です。未入会の方は入会手続きをおとり下さい。入会案内 

※活動報告は会誌「材料」6月号(Vol.58,6)に掲載しています。

部門・研究委員会名

委員長(所  属)

活動報告※

疲労部門委員会

菅田 淳(広島大学)

高温強度部門委員会

高橋由紀夫(電力中央研究所)

PC構造部門委員会

中塚 佶(大阪工業大学)

X線材料強度部門委員会

秋庭義明(横浜国立大学)

腐食防食部門委員会

箕島弘二(大阪大学)

地盤改良部門委員会

山田幹雄(福井工業高等専門学校)

木質材料部門委員会

大越 誠(京都府立大学)

塑性工学部門委員会

志澤一之(慶應大学)

岩石力学部門委員会

大津宏康(京都大学)

コンクリート工事用樹脂部門委員会

宮川豊章(京都大学)

極限環境部門委員会

澤村精治(立命館大学)

コンクリート用骨材部門委員会

西林新蔵

コンクリート混和材料部門委員会

河野広隆(京都大学)

複合材料部門委員会

合田公一(山口大学)

フラクトグラフィ部門委員会

荒居善雄(埼玉大学)

信頼性工学部門委員会

中易秀敏(甲南大学)

セラミック材料部門委員会

岡本泰則(京都工芸繊維大学)

破壊力学部門委員会

上野 明(立命館大学)

高分子材料部門委員会

井上正志(大阪大学)

衝撃部門委員会

崎野清憲(法政大学)

強度設計・安全性評価部門委員会

堀川 武(龍谷大学)

分子動力学部門委員会

尾方成信(大阪大学)

マイクロマテリアル部門委員会

肥後矢吉(東京工業大学)

半導体エレクトロニクス部門委員会

藤田静雄(京都大学)

生産科学部門委員会

荒井栄司(大阪大学)

ナノ材料部門委員会

田中勝久(京都大学)

生体・医療材料部門委員会

小茂鳥 潤(慶應大学)

金属ガラス部門委員会

早乙女康典(東北大学)


《材料学会概要》 
《事務局紹介》 《入会案内》 

部門担当者ページ
   ☆☆部門から本部へ提出する各種申請書等ダウンロードできます。☆☆


疲労部門委員会
(1) 委員会の沿革と活動内容
  本委員会の設立は,本会の前身である日本材料試験協会創立の翌年,昭和28年5月であり,本会で最も長い歴史を有している.本委員会設立以来,既に60年を経て,委員も設立当初の30名足らずから,現在では年度によって多少増減はあるものの220〜230名となり,本会において最大の委員会に発展してきている.
本委員会では,疲労事故の防止と疲労問題の解決に向けて,大学・研究所のみならず,設計の現場において疲労の問題に携わっている幅広い関係諸氏が多数参加され,活発な活動を行っている.活動内容としては,既存の材料のみならず新素材も含め,それらの疲労現象の本質や疲労破壊の機構に関する基礎的研究から,現場における疲労設計技術の開発に関する応用的研究に至るまで,広範な疲労に関する課題を取り上げて情報交換を行うとともに,社会的ニーズにも応えうるような活動を行っている.原則として年5回開催している委員会では,委員会運営や疲労研究に係わる諸事項を審議するとともに,最近の話題を取り上げた研究討論会を企画している.また,企業や研究所等における関連施設の見学も随時実施している.なお,本委員会委員以外の方でも,本委員会の研究討論会(演題は本会の当委員会ホームページhttp://fatigue.jsms.jpで閲覧可能)で配付された資料の入手を希望される方は,本会事務局にその旨を申し出ることによって,有償で入手できることを付記しておく.
(2) 本委員会への加入方法
  新委員の委嘱にあたっては,幹事会の議を経て,委員会に諮って承認を得ることになっている.原則として,本委員会委員の推薦によるが,加入希望者は所属・連絡先等を明記した文書により本会事務局宛に直接申し出られてもよい.ただし,本委員会の委員となるには本会の正会員または賛助会員でなければならない.また,資料費(委員会費)として,大学・官公庁・企業等から個人委員として加入される場合は年間1,500円を,企業から法人委員として加入される場合は年間25,000円を,それぞれ納入いただくことになっている.
(3) 本委員会による企画事業
 
疲労シンポジウム
  本会の破壊力学部門委員会と協調し,隔年開催で10月または11月に「疲労シンポジウム」を企画している.前回の第29回疲労シンポジウムでは,初めての試みとして,中国側からの要請に応じる形で第1回日中合同疲労シンポジウムを併設し,今後3年間隔で交互開催する予定である.疲労シンポジウムでは,特に若手研究者の今後の更なる活躍を奨励するため,当該年度末で37歳未満のシンポジウム講演者のうち審査により優秀と認められた方に「優秀研究発表賞(学術分野,技術分野)」を授与している.詳細については上記ホームページにも掲載しているが,同賞への応募者から講演論文の事前審査により候補者を厳選し,さらに最終的な講演発表の審査を経て,5名程度の受賞者を幹事会で決定している.授与式は,シンポジウム開催の翌年3月の疲労部門委員会にて行い,受賞者には賞状ならびに副賞として楯を授与している.
また,疲労シンポジウムの開催年度の2月には,同じく本会の強度設計・安全性評価部門委員会と共催で「機械・構造物の強度設計・安全性評価シンポジウム」も開催している.
疲労講座
  疲労問題に関する啓蒙と疲労の基礎的知識を広く普及することを目的とし,疲労講座を年1回開催している.併せてその時々のトピックスや開催地での地域性も織り込んで,多彩な企画を行い,毎回好評を博している.
初心者のための疲労設計講習会
  本講習会は,疲労問題に直面している若手技術者,あるいはこれから直面すると予想される技術者を対象に企画したものである.本講習会では,疲労の基本現象から実際の設計手法に至るまでの基礎をできるだけわかりやすく講述し,また演習も実施することにより,基礎的な疲労設計について修得いただけるようにしているので,積極的にご参加願いたい.なお,本会制定の技能検定・認証制度による材料試験技能士1級(疲労試験)を取得するには,事前に本講習会を受講しておく必要がある.
通常総会・学術講演会併設行事
  本会の通常総会・学術講演会の併設行事として,関連部門委員会とも連携を取りながら公開研究討論会,あるいは学術講演会ではオーガナイズド・セッション等も企画担当し,学術講演会活性化に対しても積極的に貢献している.
(4) 分科会活動
  本委員会には,特定のテーマを集中的に討論できる場を提供するため,分科会を設置している.「疲労過程における組織構造変化に関する研究分科会」は昭和54年に設置され,活発な討論会を行うとともに,チタン合金の機械的性質や超高サイクル疲労強度の共同研究を実施しするなど活発な活動を行い,今年度で終了した.「高輝度放射光による疲労損傷評価技術研究分科会」についても活発な討論会を実施し,今年度で終了した.現在活動中の分科会は「軽量航空機疲労設計分科会」であり,軽量航空機に関する研究テーマを中心に活発な活動が推進されている.なお,「規格検討分科会」も現在設置されているが,同分科会では本委員会が中心となって策定した3件のJISについて,見直し作業を行っている.
(5) 出版等事業
 
一般図書
  本委員会が中心となってこれまでに出版してきた主な書籍としては,「疲労試験便覧」,「金属の疲労」,「金属材料疲労設計便覧」,CJMR Vol. 1, Current Research on Fatigue Cracks,CJMR Vol. 2, Statistical Research on Fatigue and Fracture, CJMR Vol. 14, Cyclic Fatigue in Ceramics,「疲労設計便覧」,ならびに最新刊として「初心者のための疲労設計法(第4版)」がある.また,後述のデータベースに基づいて「金属材料疲労強度信頼性設計資料集」も発行している.さらに,1955年から2001年にかけて約50年分に及ぶ「材料の疲労に関する研究の趨勢」を,毎年本委員会に設置した編集委員会が中心となって毎年編集・刊行してきた.この書籍の特徴としては,疲労研究の歴史的推移が明確に把握できるだけでなく,掲載の研究論文については抄録を含む書誌情報があるため,疲労研究の実施に際して関連情報を容易に入手できるというデータベース的な役割も果たしてきた.本書についてはバックナンバー(一部品切れ)があるので,疲労研究の動向にご関心のある方は是非これらをご活用いただきたい.
データベース
  本会の信頼性工学部門委員会との共同により昭和57年に「金属材料疲労強度データ集」(Vol. 1〜Vol. 3) を,平成4年には「同データ集」のVol. 4とVol. 5を,さらに昭和58年には「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」(Vol. 1およびVol. 2) を,それぞれ出版した.これらのうち疲労強度データ集に収録されたデータについては,本委員会に設けられたデータベース管理委員会がその後デバッグ作業を精力的に行い,データ内容の信頼度を大幅に向上させた.それらの成果は,既刊のVol. 1〜Vol. 5を再編集したDatabook on Fatigue Strength of Metallic Materials (Vol. 1〜Vol. 3) としてまとめられ,平成8年に本会とエルゼビア社による共同出版を行った.これにより,頒布も国内のみならず広く海外にも向けて開始し,好評を博している.現在,学会創立60周年記念事業として,先進材料の疲労強度ならびに超高サイクル領域の疲労強度データの収集,発刊に向けた作業を行っている.なお,上記「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」は完売したため,その復刻版を作成し,併せてその頒布価格も求めやすく改定した.また,セラミックス強度に関して収集したデータをもとに,Ceramics Strength Database (Vol. 1) も刊行している.なお,上記のいずれのデータ集についても,それに収録された全データはコンピュータ可読のデータベース化がなされており,電磁気媒体による頒布も実施していることを付記する.ご購入に係わる詳細については,前述の当委員会ホームページに掲載しているので,そちらをご参照されたい.
学会標準
  本会の創立50周年記念事業の一環として学会標準の策定も行った.本委員会としては,平成13年に「圧子圧入法によるセラミックスの残留応力測定法」を,また信頼性工学部門委員会と共同で平成14年には「金属材料疲労信頼性評価標準−S-N曲線回帰法−」をそれぞれ発刊している.なお,後者については改訂版を発行するともに,平成19年にその英文版 Standard Evaluation Method of Fatigue Reliability for Metallic Materials − Standard Regression Method of S-N Curves を出版した.多くの方々にご利用いただき,これらの標準に対して貴重なご意見等を賜りたい.
高温強度部門委員会
 本部門委員会は,学会の設立とほぼ時を同じくして活動を開始した(1954年2月).当時の名称は「クリープ部門委員会」であったが,テーマを広げ,クリープに限らず高温疲労,熱疲労など高温強度全般にわたる問題を扱うようになったことから,1959年に名称を「高温強度部門委員会」と改め,今日に至っている.この間,日本を代表する多くの研究者を輩出し,まさに日本さらには世界における高温強度研究のリーダー的研究会としての役割を果たしてきた.
 本部門委員会では,定例の部門委員会を年4〜5回開催し,時代の要請にマッチした講演会・討論会を企画してきた.過去数年の間,定例委員会の内の1回は総会・学術講演会の併設行事である公開部門委員会とし,広く一般に参加を求め,特定のテーマについての講演会やパネルディスカッションを行ってきた.また,毎年12月には「高温強度シンポジウム」を開催し,この方面の研究の現状について相互の理解を深めつつ,成果の公開に努力してきた.会誌「材料」においては,2年に1回のペースで高温強度特集号を企画・発刊し,この分野の研究のニーズや動向の変化に関連した成果を発信している.さらに,1990年からは貢献賞ならびに躍進賞を,1997年からは高温強度シンポジウムベストプレゼンテーション賞を設け,高温強度研究や委員会活動で優れた貢献をされた方,あるいは,この分野で先駆的・刺激的研究をされた方にこれら賞を贈り,指導的研究者と若手研究者の育成に努めてきた.
 上記の定例委員会やシンポジウム以外にも,その時代の要請に鑑み,1970年より次のようなワーキンググループを設けて共同研究を推進し,各分野の議論を深めてきた(括弧内は設置年).(1) 熱応力と熱疲労 (1970),(2) 高温用材料の組織と強度 (1970),(3) 高温疲労試験のあり方 (1982),(4) 非弾性解析法 (1982),(5) 高温疲労破損のクライテリオン (1986),(6) 金属基複合材料の高温強度 (1991),(7) 寿命・余寿命評価法検討 (1991),(8) 高温材料ミクロ組織・強度特性調査 (1994),(9) はんだの強度評価法 (1997),(10) 超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術 (1997).(11) 損傷評価 (2006),(12) 微小サンプル試験法 (2006),(13) 高温き裂進展法 (2008).これらのうち,(4) ならびに (8) 以降のワーキンググループは現在も活動中である.これらの成果として,本部門委員会委員が中心となり制定した学会標準「高温低サイクル疲労試験法標準  (JSMS-SD-7-03)」(2003年)や,各種ワーキンググループ活動報告書(「大気溶射遮熱コーティング皮膜の基礎物性と密着強度」,「Sn-37PbおよびSn-3.5Agはんだのクリープおよびクリープ疲労データベース」など)を刊行してきた.
 これらのワーキンググループ活動を通じて得られた成果は国際的学術誌や国際会議開催を通じて海外にも発信してきた.具体的には,1992年8月には中国からの要請に応えて,洛陽において第1回日中高温強度シンポジウムを中国高温強度委員会と共同で開催した.その後,第2回(1995年,長岡),第3回(1998年,南京),第4回(2001年,つくば),第5回(2004年,西安),第6回(2007年,仙台)と3年毎に日中交互で開催を重ね,第7回も,2010年8月に大連にて開催されることになっている.また2006年9月には,遮熱コーティングの特性に関する日独ワークショップをドイツ・ダルムシュタットにて開催したのに引き続き,2009年5月にはその第2回が京都にて開催された.
 高温強度に関する研究には,材料のミクロ組織と機械的性質,非弾性挙動の力学,き裂・損傷の発生・進展の予測および非破壊検査やミニチュア試験による損傷評価技術などが含まれるが,それぞれの研究領域の高度化に加えて,複数分野の横断型あるいは境界型の研究が強く要求されている.また,社会に役立つ研究と学術的に価値ある研究の両立も要請されている.発電機器で代表される高温エネルギー機器を例にとると,従来のクリープ設計から,熱疲労設計,クリープ疲労設計へのニーズの変化があり,高効率化に対応するための耐熱材料の開発や,長寿命化も考慮した余寿命評価技術の高度化,非弾性解析の適用や非弾性破壊力学の高度化,超耐熱合金やコーティング適用技術など,ニーズおよびシーズの両面から,高温強度に関する課題が提起されてきた.また情報,通信インフラの発達に伴い,それらの機器を構成する電子部品・材料の信頼性に対する高温強度的なアプローチも要求されている.さらに最近では,地球との共生・適合という新たな要請にも配慮すべき状況になっている.これらの時代的要請を受けて本部門の活動をどのように展開・拡張していくかを明確にするため,2007年5月の公開部門委員会を皮切りにして,本部門のロードマップについての議論を重ね,2008年5月に新たな研究テーマや企画を中心とした方向性をとりまとめるとともに,新しいワーキンググループの設置や若手研究者を対象とした講習会の開催など,これに沿った活動にも着手している.
 本部門は,大学,中立研究機関,素材メーカー,プラントメーカー業,電力会社を中心とするエンドユーザーからなるバランスの良いメンバーで活動が進められており,上述のような課題についての産学官の貴重な意見交換・共同研究の場となっている.また,委託研究や新たなニーズ・シーズに基づくワーキンググループ新設などについてもフレキシブルな対応が可能な組織となっている.しかし,本部門がこれまでの実績を踏まえつつ,引き続き社会の要請に応えられる活動を続けるためには,若い方や他分野の方の入会を通じた新たな刺激が不可欠である.少しでも興味を持たれた方の入会を是非,お願いしたい.入会ご希望の方は,材料学会までお申し出下さい(資料費1組織あたり年間22,000円,ただし,教育機関に属する個人委員は1,000円).
委員会ホームページhttp://hightemp.jsms.jp/index.htm
PC構造部門委員会
本研究委員会は,プレストレストコンクリート(以下PCと略記)構造に関して主に材料的な側面を調査・研究することを目的としている.特に,高強度コンクリートのPC構造への適切な利用法を検討するために,高強度コンクリートの材料としての問題点,および,部材として利用した場合の利点と設計法,さらには,建築構造物として高強度コンクリートを利用する利点および欠点などについて討議している.

●21年度は以下の3回の委員会を開催した.
 第1回
    1. 日 時 : 2009年6月3日(水)14:30〜17:30
    2. 場 所 : 大阪工業大学/大阪センター303号室
    3. 出席者 :15名
       議題 (1) エネルギー消費機構を有する圧着型プレキャストプレストレスト構造
       議題 (2) アルカリ骨材反応により鉄筋破断を生じたRC・PCはり部材の耐荷特性と補強対策
 第2回
    1. 日 時 : 2009年10月7日(水)14:00〜17:00
    2. 場 所 : 大阪工業大学/大阪センター303号室
    3. 出席者 : 17名
       議題 (1) PC鋼材の高温クリープ特性
       議題 (2) プレストレストコンクリート構造の耐火性
 (研究動向)
 第3回
    1. 日 時 : 2010年1月28日(木)14:00〜17:00
    2. 場 所 : 大阪工業大学/大阪センター303号室
    3. 出席者 : 12名
       議題 (1) PC鋼とコンクリートの付着問題
 
今後,PC構造物の耐久性,耐火性,およびこれらの性能の明示方法とその実現方法を調査研究していく予定である.
高分子材料部門委員会
 本委員会は1950年にレオロジー部門委員会として発足し,日本レオロジー学会が設立された後,1983年委員会の名称を高分子材料部門委員会と改め,活動範囲を広げ現在に至っている.本委員会では,広く高分子材料についての諸問題と関連技術の向上に役立つことをまず念頭において活動を行ってきた.現在,大学官公庁50%,企業40%,その他10%で,約31名の委員会となっている.
 高分子は金属および無機材料と並ぶ3大構造材料の1つである.近年,材料としての耐久性・信頼性が飛躍的に改善されたが,まだ多くの未解決の課題を抱えている.この問題の解決は本委員会の中心的関心事項の1つである.さらに,最近では技術の高度化および多様化に伴い,種々の機能をもつ高機能性材料としての高分子の開発が期待されている.また,地球環境保護の観点から,リサイクル高分子やバイオマスプラスチック(生分解性高分子を含む)の開発も進んでいる.本委員会では,構造材料と機能材料という高分子材料の2つの側面を,有機的に関連づけ広く深く討論する場を提供している.

 2009年(平成21年)の活動は以下の通りである(特記のないものは部門委員会を示す).

 ・第151回  第67回高分子材料セミナー「水中における高分子の特性とその応用」,講演3件:猪股克弘氏(名古屋工業大学 物質工学専攻),西田幸次氏(京都大学化学研究所 高分子物質科学領域),佐々木裕氏と森 嘉男氏(東亞合成 )(平成21年6月19日).
 ・第152回  第68回高分子材料セミナー「PP材料の力学物性と物性改良技術の最前線」,講演3件:岡本健三氏(北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科),前 博行氏( 本田技術研究所 四輪R&Dセンター),河村幸伸氏(金沢大学大学院自然科学研究科 高分子材料物性研究室)(平成22年1月15日).
 ・第153回  第69回高分子材料セミナー「高分子材料の力学物性と耐久性評価の最前線」,講演3件:井上正志氏(大阪大学),三谷徹男氏(三菱電機 ),岸 肇氏(兵庫県立大学)(平成22年3月26日).

 また,平成21年11月12日には,「バイオベース材料の開発と応用」と題して5人の講師による講習会を行った.バイオマスの利活用に関する国策について認識を深めると共に,バイオベース材料の開発事例を紹介し,該材料の成長,新材料の創出,より広範な普及に向けた新たな糸口を見出すことを目的して,行政的視点から工業的応用にわたり,各分野の専門家による講習が行われた.
 これらの活動を通じて,高分子材料の製造,構造と機能,物性と加工について情報と討論が深まり且つ広がり,技術の発展に寄与することを願っている.関連分野の研究者・技術者のますますの参加を期待する.
X線材料強度部門委員会
 X線材料強度部門委員会は,1961年(昭和36)にX線応力測定部門委員会として発足し,1965年に現在の委員会の名称に変更して今日まで活動を続けています.本委員会は,X線回折を主とする材料評価手段を通じて材料の強度特性を解明しようとする学術分野,すなわちX線材料強度学に関する学術の発展および技術の向上に寄与することを目的としています.
本委員会は,当初よりX線回折を主要な手法として結晶材料のひずみを測定し,残留応力や微視的変形機構を解明するために研究を続けています.回折面依存性,相応力,3軸応力および集合組織などX線応力測定の優位性を生かしながら,多種多様な材料を対象に研究を広げてきました.さらに,疲労損傷,塑性変形過程などの研究にも取り組んできました.これまでの成果は,「X線応力測定法」(養賢堂,1961年,1981年),「X線材料強度学 ---基礎編・実験法編---」(養賢堂,1973年)にまとめられています.
 X線応力測定の実用化の面では,フェライト・マルテンサイト系鉄鋼材料,オーステナイト系鉄鋼材料,セラミックス材料へと応力測定の方法を適用してきました.1973年以来,これらの成果は「X線応力測定法標準」(鉄鋼編,セラミックス編)日本材料学会の標準としてまとめられています.また,中性子の透過力を生かし深部の応力測定の方法を検討し,その成果を2005年に中性子応力測定標準(X線材料強度部門委員会標準)としてまとめました.さらに,これまでの鉄鋼およびセラミックス材料のX線応力測定法標準を世界に普及し,また国際社会での産業界の活動を支援するために,Standard Method for X-Ray Stress Measurement(英文版X線応力測定法標準)を発行しました.その他,VAMAS-TWA20に参画し,この活動を通して,中性子,高エネルギー放射光およびX線による応力測定の国際標準の策定にも協力しています.
 本委員会は,毎年3回の定例委員会を開催しています.委員会では活動の議論と合意を大切にした研究活動を展開しています.定例委員会では,幅広い研究の動向を吸収し,本来の研究を高めるために積極的に講演会も開催しています.これらの委員会活動により,委員の研究を活性化させるよう努めています.本委員会ではX線材料強度に関する研究および技術を育成するため部門委員会賞を設けています.業績賞および研究・開発賞を新設しました.平成21年度は,研究・開発賞「高エネルギー放射光を用いた材料内部残留応力/ひずみ分布測定法の高度化に関する研究」(日本原子力研究開発機構・菖蒲敬久氏)が受賞対象となりました.
 現在,当委員会内の小委員会として,放射光小委員会,溶接部残留応力測定小委員会,中性子小委員会および回折弾性定数データベース小委員会が活動しています.現在,シンクロトロン放射光および中性子の新しい光源を利用した応力評価がめざましい発展を遂げています.これらの光源は放射光施設や原子炉などの施設を利用するために,各小委員会は積極的に利用の促進・調整を図り,有効に実験を遂行できるように援助しています.今後も,新しい光源としての放射光,中性子源での応力測定の実験ハッチの確保が重要となり,当委員会への多くの支援と協力が求められています.特に,大強度陽子加速器 (J-PARC) では,工学材料回折装置「匠」が稼働を開始し,高輝度の中性子源による新たな応力評価へ期待が寄せられます.溶接部残留応力測定小委員会では,これまで問題となってきた溶接部の残留応力の測定法確立に向けて,ラウンドロビン結果をもとにガイドラインが策定され,産業界に大いに寄与するものと思われます.さらに応力測定に不可欠な回折弾性定数のデータベースを公開することから,部門委員をはじめとして回折法を利用して応力を測定する方のために情報提供を行っております.
 H21年11月10日から12日には,本部門委員会の共催として「X線,放射光,中性子による応力評価国際会議」MECASENS Vが水戸にて開催されました.186名(国外85名)の参加を得て成功裏に閉幕することができました.また,1月にはX線材料強度に関する討論会が開催され昨年で46回となりました.「量子ビームを用いた水素関連材料 評価への取り組み」をテーマに熱心な討論が展開されました.
 本委員会は,大学・学校,研究所,企業などの100余名の個人および会社委員から構成されています.本委員会の活動および最新の動向は,委員会のホームページ (http://x-ray.jsms.jp/) から知ることができます.所属,研究分野を問わず,X線材料強度に興味のある方,またX線応力測定を必要とする方の入会を歓迎しています.ぜひ,現委員または日本材料学会へご連絡ください.
木質材料部門委員会
 木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関する研究の推進と情報の交換を目的として,昭和37年4月に理事会の承認を得て発足し,同年5月には第1回の委員会を開催した.それ以来,47年に亘って活発に活動し続けてきている.
 木材および木材を原料とする木質材料や紙は,古くから建築,家具,楽器,包装や情報・文化の伝達材料として人々の生活を支えてきた.木材は基本的に再生産可能な資源であり,これを有効に利用することによって,永続的な利用が可能な極めて有用な材料になり得る.このような木質材料の利用が,人類の生存にとって極めて重要であるとの認識が近年高まりつつある.
 木材は,人類にとって最も身近な材料の一つである.木材が本来的に持っているヒューマン・フレンドリーな面は,人類との長い関わりによって築かれてきたものであり,今後も決してなくなることはない.一方,地球上で最も豊富なバイオマス資源である木質バイオマスの生物・化学変換による化学品・エネルギー等の生産や高機能性・高耐久性木質複合材料の開発など,以前にもまして多くの異なる分野からの研究開発が必要となってきている.このような状況の中,多様な専門分野の研究者や技術者が集まる本委員会の重要性は極めて高い.
 木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関係の深い大学や研究機関の研究者および企業の研究者・技術者,約65名の会員から構成されている.会員相互の連携の強化による研究・開発の更なる活性化と利便性の向上を図ることを目的として委員会の企画,運営を行っている.これをより円滑に進めるために,本委員会では委員長の下に運営委員会を設け,定例研究会を原則として年3回開催している.研究会には多くの会員の参加を促すとともに,参加できなかった会員には講演要旨集を配布している.
 また,本委員会はその設立目的を達成するために,発足以来,会誌「材料」に特集「木質材料」を企画,発行している.さらに2008年度より木質材料に関する優れた業績に対して,本委員会から木質材料部門委員会業績賞を授与することとした.なお,第270回以降の定例研究会の活動状況は以下の通りである.

第270回 定例研究会——2009年5月29日:日本材料学会(京都市)
    • 建築構造接合具としての圧縮木材の可能性
        北守顕久 氏(京都大学生存圏研究所)
    • 遺伝子組換えによる林木の育種と基礎研究
        馬場啓一 氏(京都大学生存圏研究所)
第271回 定例研究会——2009年9月11日:近畿大学農学部(奈良市)
    • 水蒸気雰囲気下で熱処理した木材の性能について
        荘保伸一 氏(越井木材工業 )
    • 木質プラスチック複合体 (WPC) の試作
        高谷政広 氏(近畿大学農学部)
第272回 定例研究会——2010年1月22日:宇治おうばくプラザ(宇治市)
    • 高充填セルロース系素材/プラスチック複合材の特性
        伊藤弘和 氏(ヤマハリビングテック )
    • セルロースナノファイバーの製造と利用
        矢野浩之 氏(京都大学生存圏研究所)

 なお,現在の委員長および運営委員会メンバーは下記の通りである.
 委員長:岡本 忠(近畿大学農学部)
 運営委員会委員:
    板倉修司(近畿大学農学部:庶務幹事)
    簗瀬佳之(京都大学大学院農学研究科:会計幹事)
    冬木敏夫(大建工業 )
    村田功二(京都大学大学院農学研究科)
    森 拓郎(京都大学生存圏研究所)
    吉原 浩(島根大学総合理工学部)
腐食防食部門委員会
 腐食防食部門委員会は1961年(昭和36年)10月に第1回例会(公開委員会)を開催し,これまでに273回の例会と58回の研究集会を開催した.環境問題など多くの問題解決のために腐食防食技術が関与する接点は多く,本部門委員会が貢献する度合いはより一層大きくなっている.さらに,部門委員会設立50周年にむけてますます活発に活動を行っていく予定である.
2009年度は6回の例会と1回の研究集会,事例で学ぶ腐食損傷と解析技術出版記念講習会,および兵庫県立工業技術センター,腐食防食協会腐食センター,腐食防食協会関西支部との共催によりセミナー・公開相談会を実施した.概要は以下の通りである.
1. 第268回例会(2009年5月28日,たかつガーデン)
主題「外面腐食の現状と今後の対応」
外面腐食の事例や検査診断技術を含む外面腐食管理の現状および今後の対策に関する5件の講演を行った.参加者は39名であった.
2. 第269回例会(2009年7月28日,たかつガーデン)
主題「インヒビターの現状と最前線」
インヒビターの腐食抑制機構の基礎理論と応用,各種インヒビターの特性や実用面に関する4件の講演を行った.参加者は35名であった.
3. 第270回例会(2009年9月8日,ダイキン工業 ・淀川製作所)
主題「フッ素樹脂の新展開」
フッ素樹脂の基礎から最近の開発状況,フッ素樹脂ライニングやコーティングに関する最近のトピックスに関する4件の講演を行った.併せて,ダイキン工業 ・淀川製作所の見学会を実施した.参加者は30名であった.
4. 第271回例会(2009年11月24日,たかつガーデン)
主題「コンピュータ支援による最近の腐食科学」
シミュレーションよる金属を含む無機物質の種々の環境における熱力学的安定性評価,ならびに電気化学反応の反応速度理論による腐食速度評価とその活用例に関する4件の講演とパネルディスカッションを行った.参加者は38名であった.
5. 第272回例会(2010年1月27日,パナソニック厚生年金基金・松心会館)
主題「電子機器材料・部品の腐食とその評価」
電子機器材料・部品・電子デバイスの腐食損傷とその対策,評価方法に関する5件の講演を行った.参加者は47名であった.
6. 第273回例会(2010年3月9日,たかつガーデン)
主題「海洋構造物の腐食と防食」
海洋環境における材料の劣化と維持管理の現状,腐食メカニズム,重防食の動向,さらに海中部の防食に有効な流電陽極法の新しい工法に関する5件の講演を行った.参加者は44名であった.
7. 第58回研究集会(2009年10月20日,兵庫県民会館)
主題「腐食と吸着」
腐食反応に関与する化学種や中間体の多くは材料表面に吸着しており,それらの濃度によって腐食の進行を律速しているケースも少なくないにもかかわらず,吸着化学の立場から腐食反応を解析・考察した例はほとんど見られない.そこで,吸着の観点から腐食ならびに関連した現象を解析した結果を講演いただき(講演件数:2件),腐食科学や工学の新たな展開について議論した.参加者は23名であった.
8. 事例で学ぶ腐食損傷と解析技術出版記念講習会(2009年7月10日,たかつガーデン)
 腐食防食部門委員会が編集し,2009年5月に出版した「事例で学ぶ腐食損傷と解析技術」の出版を記念して,腐食問題に直面している技術者を対象として,本書を用いて腐食問題を解決するための方策や利用方法に関する6件の講演からなる講習会を行った.参加者は78名であった.
9. 第6回腐食防食セミナーと公開相談会(2009年12月1日,兵庫県立工業技術センター)
 25件の腐食防食に関する事例をもとに,セミナーと相談会を実施した.参加者は88名であった.

 例会,研究集会,セミナー/公開相談会は,腐食防食部門委員会委員にのみに限定して開催しているのではなく,(社)日本材料学会会員以外の一般の方々にも出席していただけることに特徴がある.これらの活動以外についても,2009年5月に腐食・防食に関する事例集(事例で学ぶ腐食損傷と解析技術,(社)日本材料学会・腐食防食部門委員会編,さんえい出版社発行)を発刊するとともに,当部門委員会主催で20年間にわたって開催したデヘマ方式の腐食防食実験講習会で得られた腐食防食の基礎理論と実験に関するノウハウを「実験で学ぶ腐食防食の理論と応用」としてまとめて出版するなど,今までに多数の図書を編集・出版している.また,例会・研究集会の資料を電子媒体 (CD) として取り纏め,部門委員会委員に限って販売している.
 本部門委員会は法人委員(企業所属委員)と個人委員(大学・公的研究機関所属委員)で構成されており,企業と大学・公的機関の密接なつながりをもって,現場における腐食防食技術を中心としているところに特徴がある.例会ごとに作成する委員会資料は,無料で委員に配付しているが,これはA4版で50〜80ページであり,研究の指針のほか現場における防食技術に活用できる極めて有益なものである.企業・個人研究者の方々の積極的な腐食防食部門委員会への参加をお待ちしている.なお,部門委員会のホームページアドレスは
http://fushoku.jsms.jp/index.htm
であり,行事予定や委員会活動について随時更新して広報している.
地盤改良部門委員会
 「地盤」は土木・建築構造物を支える基礎として,さらに,埋立や築堤などの構成材料として不可欠なものである.しかしながら,地域性が顕著に現れ,かつ,工学的特性も千差万別であることから,それを用いるにあたって必ずしも所定の要件を備えているとは限らない.
 「地盤改良」はこのような地盤の使用を可能とし,その状態を維持するために行う物理的,化学的および生物学的な処理である.近年,建設工事に対する制約条件のみならず構造物の立地条件も厳しくなってきたために,より過酷な条件が地盤に要求されることが多く,それに応じて多種多様な特徴ある「地盤改良工法」が開発され,適用に至っている.
 「地盤改良工法」に関連する分野は広範であって構造物の基礎をはじめ,道路や鉄道の路盤・路床,斜面の保護と安定,水利構造物の覆工,トンネル・ダム,埋立・海洋地盤,地盤環境の保全など土木,建築,農業土木,鉱山資源,環境衛生などの学問領域におよぶ.したがって,地盤改良に携わる技術者や研究者は多岐にわたる技術・学術情報を迅速に入手する不断の努力が肝要である.
 「地盤改良部門委員会」は地盤改良を実施する上での種々の間題点について調査,研究を行い,その適正利用の促進を設立の趣意としている.当該部門委員会の源は1962年11月に発足した「土質安定材料委員会」にあり,以後の多様化した地盤環境の創造・保全技術に時宜を得て対応するべく1998年4月に現在の名称に改めた.
 およそ50年の歴史の中で278回の委員会を開催し,このうち2009年度は京都市(学会会議室)で2回のほか,香川県高松市や福井県あわら市で各々1回の計4回開催した.部門委員会では審議や報告に加えて,毎回2ないし3件の調査,施工,研究事例の発表(話題提供と称する)を行っている.2009年度の話題提供は

i. サヌカイト(讃岐岩)の聖地への誘い[第275回部門委員会:高松市]
ii. Compensation Grouting[第275回部門委員会:高松市]
iii. シュレッダー紙片を混合したため池底泥の固化処理[第276回部門委員会:京都市
iv. 土の三軸圧縮試験における不確かさの評価・算定方法[第276回部門委員会:京都市]
v. 流動化砂の圧入による地盤の締固め工法[第277回部門委員会:京都市]
vi. 自然由来の重金属問題の現状について[第277回部門委員会:京都市]
vii. 自然由来の重金属汚染土壌の対策技術の成否事例[第278回部門委員会:あわら市]
viii. 省エネ型ナノ粉体製造装置の研究開発[第278回部門委員会:あわら市]
iv. 自然由来重金属を含有する土への対応と土壌汚染対策法[第278回部門委員会:あわら市]

であり,発表およびそれに続く質疑を通して聴講者は一層の研鑽を積んだ.なお,登壇者は委員に限らず,外部(企業,官公庁,大学等)からも招聘している.
 2000年度以降,当該部門委員会が重きを置いている活動の一つに『地盤改良に関わる技術認証制度』がある.これは学会創立50周年記念事業の一環として設けた制度であり,個々の技術や工法を公平,かつ,適正に評価することで技術開発の活性化に寄与しつつ,それらの建設現場への速やかな普及を図って技術水準の向上に資する旨を目的としている.

評価の対象となる項目は
@ 地盤改良技術に関わる新素材,新材料
A 地盤改良に関わる技術または工法
B 汚染地盤の診断技術,修復技術
C 廃棄物の地盤材料としてのリサイクル技術

であって,これまでに11件の技術を認証している.ここに,評価証明の有効期間は5年であり,大半が1回目の更新を終えている.

 次に,『地盤改良シンポジウム』は隔年に催している研究発表会であり,2010年11月の開催(福井市:福井県民ホール)で第9回を迎える.そのつど委員長,幹事長および幹事委員を核に実行委員会を設けて論文の募集,査読者や座長の選出を担っている.投稿資格に会員,非会員の区別はなく,また,優秀発表者賞の対象にも年齢(35歳未満)以外に特段の制約はない.いわゆる“公益事業”である.なお,座長から高い評価を得た論文の著者には,学会誌『材料』の地盤改良特集号への執筆,投稿を依頼している.

 その他の実効ある活動として,当該部門委員会内に研究分科会や若手研究者部会を設置して図書の出版やワークショップを開催している.その例に,「地盤改良技術と環境問題 ケースヒストリー(1998年1月出版)」や「凍結と凍上現象の地盤改良への適用に関するワークショップ資料(2003年11月出版)」などのほか,最近では「実務者のための戸建住宅の地盤改良・補強工法 −考え方から適用まで−(2010年2月出版)」がある.さらに,次世代の技術者・研究者を継続的に育成することを主たる目的として,2009年10月には『地盤環境研究会』の発足に至った.この研究会は「遮水壁・遮水材の信頼性に関するワーキンググループ」,「自然由来重金属含有土に対する試験・評価手法に関するワーキンググループ」から成り,2012年3月までを取り敢えずの活動期間としている.そして,成果は図書の出版,学会誌『材料』の連載講座への寄稿やワークショップの開催をもって公表する予定にある.
 以上のように,当該部門委員会では学術的,社会的に重要度の高い問題を取り上げて技術者,研究者の立場で慎重に検討を行い,その結果が地盤工学や材料学を含めた建設分野全体への貢献につながるべく,将来にわたり積極的な活動を展開していくことにしている.
 最後に,地盤改良部門委員会への加入について,通常は“当人からの申請”もしくは“委員からの推薦”に拠り,いずれも部門委員会に諮って承認を得る手続きを採っている.なお,委員に配布する資料の作成・印刷費などに賛助会員には年額20,000円を,個人会員には2,000円をご負担いただいている.地盤改良に限定せず,広く地盤や土質材料に直接あるいは間接に関与されている方々のご参加を心待ちにしている次第である.

コンクリート工事用樹脂部門委員会
 建設材料の中で最も多く利用されている材料の一つであるセメントコンクリートは,種種の合成樹脂材料と併せ用いることによって,各々の単独使用では得ることのできない各種の優れた性能を発揮させることができる.
このような試みは世界的にも種々の観点から行われており,これらの成果は“コンクリートにおけるポリマーの利用に関する国際会議”,第1回ロンドン(1976年5月),第2回オースチン(1978年10月),第3回は日本材料学会共催のもと郡山(1981年5月)で,さらに第4回ダルムシュタット(1984年9月),第5回ブライトン(1987年9月),第6回上海(1990年9月),第7回モスクワ(1992年9月),第8回オーステンデ(1995年7月),第9回ボローニア(1998年9月),第10回ハワイ(2001年5月),第11回ベルリン(2004年6月),第12回春川(2007年9月),第13回マデイラ(2010年2月)などで発表されている.また,1989年京都で,日本材料学会共催のもとで開催された“第8回アルカリ骨材反応に関する国際会議”においても,主として補修関係で,種々の成果が紹介されている.
 コンクリートと合成樹脂との使用に当たっての組合せとしては,次のような形態が一般的である.

 (1) レジンコンクリート (REC),ポリマー含浸コンクリート (PIC) あるいはポリマーセメントコンクリート (PCC) としての構造材料への利用.
 (2) 表面処理,ひび割れ注入,鋼板接着,パッチングあるいはオーバーレイなどのコンクリート構造物の補修・補強用材料としての利用.
 (3) 耐久性,遮水・遮塩性,発水性,耐磨耗性等に注目した,含浸,塗装,コーティングあるいはライニング用材料としての利用.
 (4)プレキャスト部材等における構造用接着剤としての利用.
 (5) 建設分野における繊維強化プラスチック,連続繊維補強材としての利用.

 以上のように樹脂は多方面で利用されており,これらの用途のそれぞれで要求される目的・方法に適する樹脂の種類も多い.しかし,細部ではこれらの樹脂の持つ性能は異なる点が多く,しかも,目的・方法に対して必要とされる性能についてもまだ明確にされたとは言い難い面を持っている.このため,コンクリート工事に樹脂を利用するうえでの問題点について調査研究を行い,樹脂の適正利用について検討し,さらにこれら樹脂の用途に応じた試験方法ならびに使用指針の作成を目的として1963年(昭和38年)2月に本委員会は設立された.

 委員会の活動成果として,1967年(昭和42年)には“コンクリート構造用接着剤(エポキシ樹脂)試験方法および施工指針(案)”を作成した.また,ポリマーセメントコンクリート小委員会およびレジンコンクリート小委員会を設け,“試験室におけるポリマーセメントモルタルの作り方”,“ポリエステルレジンコンクリートの強度試験用供試体の作り方”など計10種のJIS原案の作成に協力し,1978年(昭和53年)4月にJIS A 1171〜1174,1181〜1186としてこれらの制定をみている.2000年(平成12年)10月〜2002年(平成14年)3月にはレジンコンクリート関連JIS改定等検討WGを設け,JIS A 1181〜1186の統合改正に協力し,2005年(平成17年)には統合された新たなJIS A 1181が制定された.一方,レジンコンクリート設計(施工)小委員会を設け,1985年(昭和60年)に“ポリエステルレジンコンクリート構造設計計算指針(案)”を,1991年(平成3年)に“ポリエステルレジンコンクリート配合設計の手引き(案)”を作成した.2002年(平成14年)10月〜2005年(平成17年)5月にはレジンコンクリート関連事項検討WGを設け,前者を改訂し“レジンコンクリート構造設計指針(案)”を作成した.なお,本指針(案)については,2008年に英訳版を作成した.

 補修材料関連としては,1989年(平成元年)3月には,阪神高速道路公団の委託のもとに設けた橋梁用樹脂小委員会によって,“コンクリート構造物の表面保護工便覧(案)・同解説”および“コンクリート床版防水工設計施工指針(案)・同解説”を作成している.さらに,この小委員会を発展的に改組して補修用樹脂小委員会を設け,その成果として,1995年(平成7年)には“コンクリート構造物の診断と補修 —メンテナンスA to Z—”を出版し,これをもとに,翌1996年(平成8年)3月には日本材料学会関西支部との共催で講習会を開催した.さらに,補修材料の性能試験方法に関する土木学会基準の作成に協力し,土木学会において,表面被覆材に関する7種類の試験方法が1997年(平成9年)6月に,ひび割れ注入材・充てん材に関する6種類の試験方法が2000年(平成12年)12月に,断面修復材に関する9種類の試験方法が2003年(平成15年)11月に,それぞれ制定された.これにあわせて,2006年(平成18年)より表面被覆材の共通試験を開始し,現在に至っている.なお,共通試験の一部成果について,第8回高性能・高靭性コンクリートに関するシンポジウム(2008年10月)の技術展示にてポスター発表を行った.
 シンポジウム関連としては,1996年(平成8年)〜2000年(平成12年)の5年間にわたり,日本学術会議材料研究連合会においてコンクリート構造物の補修,補強,アップグレードに関するオーガナイズドセッションを開催したが,これを発展させ,2001年(平成13年)10月に“第1回 コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム”を開催し,以降,毎年継続的に開催している.なお,2003年(平成15年)10月開催の第3回以降は,投稿論文に対して査読を行うことにより,「コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集」として発刊し,内容をさらに深化している.

 本部門委員会では,学校,官公庁関係者,設計および施工技術者,材料および製品メーカーなど,外国からの出席者も含めて参加し,樹脂ばかりでなく,ゴム,繊維,なども視野に入れた活発な活動を行っている.今後の活動としても,コンクリート構造物の計画,設計,施工,維持管理において,合成樹脂,ゴム,繊維の特性を有効に利用した新しい種々の使用方法を検討するとともに,コンクリート・樹脂・ゴム・繊維複合系の耐久性能,変形性能,各種強度の把握など様々な問題を取り上げ,本委員会と小委員会,または他関連委員会との合同委員会活動を適宜組合せて運営する予定である

 本部門委員会への加入に際しては,形式的には本部門委員会開催時に部門委員会の承認を得ることになっている.関心を持たれる会員の加入の申し出をお待ちしている.本部門委員会の年会費として,(社)日本材料学会の年会費(正会員または賛助会員)に加え,20,000円(部門委員会の賛助会員:民間会社から加入する,(社)日本材料学会の賛助会員.1社につき何名でも参加可)または2,000円(部門委員会の正会員:学校・官公庁等から加入する,(社)日本材料学会の正会員)をいただいている.なお,小委員会についても,別途会費を頂いている.
岩石力学部門委員会
 岩石力学の対象とする分野は,土木・資源といった工学から鉱物学・地質学・地球物理学といった理学にまで非常に広い範囲に及んでいる.例えば,ダム,トンネル,地下空洞に代表される岩盤構造物の解析・設計・施工を扱う土木工学分野,石油や近年話題になっているメタンハイドレートといった地下資源の探査・採鉱を含めた資源開発工学分野,鉱物学・地質学分野,あるいは地殻変動や地震発生メカニズムの解明等に代表される地球物理学の分野にまたがっており,その領域や学問体系はこれまで時代のニーズにあわせて常に変化してきた.特に最近では,二酸化炭素の地中貯留あるいは放射性廃棄物の地層処分といった地球環境問題の解決のために必要な学問として貢献していることからも,岩石力学の領域の多様性がうかがえる.
 このような背景から,岩石力学部門委員会は,幅広い分野の研究者・技術者が集まり,岩石力学に関する研究・技術情報の交換および討議の場を提供することを目的として,昭和38年に設置された.以来,現在に至るまで,ほぼ年4回,これまでに合計196回(平成22年1月末現在)の委員会を開催し,活発な活動を続けてきている.また,原則として毎年1回は委員会を兼ねた現場見学会を実施し,岩石力学に関連するサイトを訪問し委員と現地の技術者との意見交換を行っている.本委員会は,地質,地球物理,資源,土木,地盤等の多岐にわたる理工学分野の研究者・技術者が自由に討議できる場として,他の学会に例を見ない非常にユニークなものとなっている.
 また,本部門委員会は,土木学会,資源・素材学会,地盤工学会の各委員会とともに,国際岩の力学会議 (ISRM) の国内委員会である「岩の力学連合会」を組織し,関連する委員会には理事・幹事をはじめ,多くの専門委員を送り出しており,国内および海外における岩の力学分野の研究技術開発に貢献している.さらに,本委員会は国内における岩石力学に関する各種シンポジウムや講演会等の開催にも,共催あるいは協賛の形で協力している.最近では,例えば,第12回岩の力学国内シンポジウム(2008年9月2日〜4日,山口大学)を他学会と共催し,その開催に協力した.
 21年度の岩石力学部門委員会においては,4回の委員会(第193回〜第196回)を開催した.毎回の委員会においては,当委員会活動に関連する様々な分野の話題について2ないし3題の講演会を企画し各委員による活発な質疑応答および意見交換がなされた.以下,21年度の委員会の概略を記述する.

 第193回委員会(平成21年5月11日開催)は見学会を兼ねて開催した.見学先は東京電力  奈川渡ダム,水殿ダム,稲核ダム(長野県松本市).東京電力 松本電力所,中野靖氏のご案内で奈川渡ダム他を見学させていただいた.特に奈川渡ダムでは,監査廊内部,ダム下流面のキャットウォーク他を詳細に案内いただいた.また,見学終了後,梓川総合制御所の会議室をお借りして委員会を開催した.
 第194回委員会(平成21年7月23日開催)では以下の3題の講演が行われた.
(1)「熊野沖南海トラフで見つかった海洋性地殻内断層:2004年紀伊半島南東沖地震との関係」
       京都大学 大学院 工学研究科 社会基盤工学専攻 地質工学分野 助教 辻 健 氏
(2)「山岳トンネルの地震被害メカニズムと耐震性向上に関する研究」
       京都大学大学院 工学研究科 社会基盤工学専攻 教授 朝倉俊弘 氏
(3)「GPSによる斜面のモニタリング −計測変位から安全率は求まるか?−」
       (財)建設工学研究所 理事長 櫻井春輔 氏
 第195回委員会(平成21年10月29日開催)では以下の2題の講演が行われた.
(1)「最近の地熱発電の動向と八丈島における地熱開発について」
       東電設計 土木本部 地熱調査技術専門職 松山一夫 氏
(2)熱帯性豪雨(スコール)に伴う斜面浸透特性に関する原位置モニタリングについて」
        京都大学 経営管理大学院 経営管理研究部 教授 大津宏康 氏
 第196回委員会(平成22年1月6日開催)では以下の2題の講演が行われた.
(1)「大規模斜面災害 −発生原因と崩壊メカニズム−」
        京都大学名誉教授 菊地宏吉 氏
(2)「大土被りの蛇紋岩地山における最善管理型二重支保の設計と施工」
        轄ヲr組大阪本店 土木技術部 部長 山田浩幸 氏

 このように本委員会は,岩石力学はもとより,多岐にわたる幅広い分野でその時々のトピックスを活発に議論する場を提供しており,また,委員にオブリゲイションは無く,毎回の講演題目により自由に参加いただき,委員間の交流の場となっている.会員の皆様にはぜひ本部門委員会への加入をお願いするとともに,周辺の研究室の学生や職場の若手エンジニアに積極的に参加を勧めていただきたい.
塑性工学部門委員会
 塑性工学部門委員会(委員長:志澤一之,慶應義塾大学)は,材料の塑性に関する基礎研究(材料の微視的組織観察,解析,塑性変形のメカニズムの解明・モデリングおよびそれらに基づくマイクロ/メゾ/マクロ塑性力学の構築)からその応用(材料設計・創製技術,塑性加工技術,機器構造物塑性設計,マルチスケールモデリング)にわたる広範囲なテーマについて関心を持つ大学・公設研究機関および企業の研究者,技術者から構成されている(現在の会員数およそ90名).その活動は,4つの分科会:塑性力学分科会(主査:今谷勝次,京都大学),粉末成形分科会(主査:磯西和夫,滋賀大学),材料データベース研究分科会(主査:岡村一男,住友金属工業),地盤力学分科会(主査:岡二三生,京都大学)を中心に進めている.これらの分科会の担当で,第58期(平成21年度)に開催された研究集会は以下の通りである.
第58期第1回塑性工学部門委員会
(材料データベース研究分科会担当)
 日 時:平成21年6月19日(金)13:00〜17:00
 会 場:日本材料学会3階会議室
 参加者:12名
(1) 表面硬化法としての窒化処理技術
財団法人応用科学研究所 桑原秀行 氏
(2) 窒化シミュレーションの現状
アリモテック 有本享三 氏
(3) 最近の窒化・軟窒化系表面硬化法の興味ある特徴
IMST 鮒谷清司 氏

第58期第2回塑性工学部門委員会(塑性力学分科会担当)
 日 時:7月17日(金)13:30〜16:30
 場 所:キャンパスプラザ京都 2F第3会議室
 参加者:8名
(1) ナノレベルにおけるCu原子の析出挙動と刃状転位との相互作用
岡山県立大学 福田忠生 氏
(2) 材料の板厚と箔の力学特性に関する検討
京都大学 今谷勝次 氏
(3) 分子鎖塑性モデルに基づく非晶性ポリマの変形誘起異方性に関するシミュレーション
慶應大学 志澤一之 氏

第58期第3回塑性工学部門委員会(材料データベース研究分科会担当)
 日 時:平成21年10月5日(月)13:00〜17:00
 会 場:日本材料学会3階会議室
 参加者:13名
(1) 鋼円柱の熱処理シミュレーション
住友金属工業 総合技術研究所 山本憲司 氏
(2) 結晶塑性マルチスケール解析による異周速圧延プロセス設計
大阪工業大学 工学部 技術マネジメント学科
倉前宏行 氏
(3)フェライト鋼の応力−ひずみ曲線におよぼす温度・ひずみ速度・結晶粒径の影響とその定式化
兵庫県立大学 工学部 応用物質学科 土田紀之 氏

第58期第4回塑性工学部門委員会(塑性力学分科会担当:学生向け特別企画)
 日 時:12月3日(木),13:30〜17:00
 場 所:住友金属工業  総合技術研究所
 参加者:6名
(1) 塑性分科会主査,材料DB分科会主査の挨拶
(2) 住友金属工業 研究所の概要説明
(3) 自動車車体部品開発への塑性力学の応用
〜クラッシュボックス開発/プレス加工の影響を考慮した衝突 エネルギ吸収部材開発〜
住友金属工業  田村憲司 氏
(4) 研究所見学

第58期第5回塑性工学部門委員会(地盤力学分科会担当)
 日 時:平成22年1月20日(水)13:30〜15:30
 場 所:京都大学桂キャンパス
 参加者:20名
(1) 不飽和土を対象とする室内試験方法とその結果について 〜実務への適用を目指して〜
足利工業大学 西村友良 氏
(2) Numerical analysis for unsaturated soil using a seepage-deformation coupled method
Kyoto university, Edwin Garcia

第58期第6回塑性工学部門委員会(材料データベース研究分科会担当)
 日 時:平成22年 3月5日(金)13:00〜17:00
 会 場:日本材料学会 3階会議室
 参加者:13名
(1) ここまできた,相変態のビジュアル化
大阪大学 接合科学研究所 小溝裕一 氏
(2) MATEQ新バージョンの追加データについて
住友金属工業 総合技術研究所 岡村一男 氏
(3) 鋼円柱の熱処理シミュレーション
神戸製鋼所 機械研究所 堤 一之 氏
(4) 日本刀の焼入れに及ぼす材料の影響
福山大学 工学部 機械システム工学科
井上達雄 氏,伊藤博明 氏

第58期第7回塑性工学部門委員会(材料データベース研究分科会担当)
 日 時:平成22年3月12(金)14:00〜16:00
 会 場:京都大学桂キャンパスC1棟 172講義室
 参加者:30名
(1) X線CTを用いた地盤破壊現象の解明 −3次元落とし土現象を対象としたDEM 解析結果との比較検討−
熊本大学 大谷 順 氏

この他,下記のような講演会に関する活動も合わせて行った.
•第58期学術講演会(平成21年5月22日〜24日,愛媛大学工学部)にてオーガナイズドセッション5「塑性挙動のモデリングとシミュレーション−ナノからマクロまで−」を開催(オーガナイザー:志澤一之(慶應義塾大学),今谷勝次(京都大学),高木知弘(京都工芸繊維大学),講演件数17件,参加者30名).
•地盤工学会主催の国際シンポジウム「Prediction and Simulation Methods for Geohazard Mitigation」(平成21年5月25〜27日,京都国際会議場)に参加し,数編の論文発表を行った.
•第58回理論応用力学講演会(平成21年6月9日〜11日,日本学術会議)においてオーガナイズドセッション16「微視塑性力学モデルの進展」を開催(オーガナイザー:今谷勝次(京都大学),志澤一之(慶應義塾大学)講演件数14件,参加者30名)
•第53回日本学術会議材料工学連合講演会(平成21年10月19日〜21日,京大会館)にてオーガナイズドセッション1「マクロ/ミクロ変形におけるモデリングとシミュレーション」を開催(オーガナイザー:今谷勝次(京都大学),志澤一之(慶應義塾大学),高木知弘(京都工芸繊維大学)講演件数10件,参加者20名)
• 材料データベース研究分科会の特別研究会として,熱処理技術協会「焼入残留応力の数値シミュレーション研究部会」と共催で,日本美術刀剣保存協会のたたら及び キグチテクニクス見学会(平成22年1月29,30日および2月5,6日の2回,島根県仁多郡奥出雲町横田)を開催(オーガナイザー:井上達雄(福山大学),講演件数3件,参加者10名).
• 熱処理シミュレーションのための材料特性データベース「MATEQ」へデータ追加し,バージョンアップを行った.新規データとして,SUJ2のCCT線図,温度−伸びの関係,およびパーライトとマルテンサイトの高温応力−ひずみ関係,SCr450のTTT線図と伸び−時間の関係,炭素鋼および低合金鋼8鋼種のパーライト変態塑性を加えた.
コンクリート用骨材部門委員会
 現在,わが国ににおいては良質の河川産骨材の枯渇とともに,資源的および地域的制約により,コンクリート用骨材はきわめて多様化してきている.すなわち,細骨材では川砂・陸砂・海砂・砕砂がほぼ等量,粗骨材では砕石がほぼ半量で残りを川砂利・陸砂利・山砂利その他が占めているのが全国的な概況である.このような状況の下では良質骨材の入手が必ずしも容易でなく,その結果として,骨材の品質管理がますます重要となり,骨材品質とそれを用いたコンクリートの強度,変形,耐久性などとの関係について,さらに科学的な検討を加えることが必要となる.骨材資源は今後さらに多様化が進行し,いわゆるゼロエミッション達成に向けてコンクリート廃材から得られる再生骨材ならびにスラグ・フライアッシュに代表される産業副産物を利用した新しい骨材の有効利用を図っていくことも重要であることは言うまでもないが,このような骨材の開発のためには,目標とする骨材品質に対して明確な指標を与えることが,コンクリート工学に課せられた重要な課題であると考えられる.
 本委員会は昭和39年人工骨材研究委員会として設立以来,社会的なニーズの方向を反映させて運営されてきた.設立初期より昭和40年代は,各種の人工軽量骨材の利用についての研究が最重要課題として取り組まれ,「施工指針」や「配合設計指針」を発表するなど,その普及に指導的役割を果たした.昭和50年代に入ってからは,研究対象が多角化し,砕砂,スラグ骨材などの新しい骨材の問題点,海砂の適正使用などを取り上げるとともにコンクリート物性の改善法やコンクリートの耐久性能なども研究テーマに組込む方向で運営されている.最近取り上げられているテーマとしては,表面形状を改良した砕石,砕砂の有効利用,高炉スラグやフライアッシュの骨材原料への利用,超軽量骨材の利用によるコンクリートの軽量化,再生骨材の有効利用,外国産骨材の利用に関する諸問題,低品質骨材を使用する際の配合設計や構造設計面における問題点,RCDやRCCP用コンクリート骨材,骨材の品質試験法の改良,反応性骨材の調査試験法や実用骨材の実態調査さらにエココンクリートなども挙げられる.一方,今後の課題としては,より広い視野に立った新しい骨材の開発,未利用資源の有効利用,各種骨材を用いたコンクリートの最適製造法など,骨材の開発,品質改良に直接関連した問題の他に,繊維補強など新しい複合法によるコンクリートの物性改善や連続繊維補強材 (FRP) のコンクリート構造への適用,高温・低温環境,海洋環境など過酷環境下のコンクリートの挙動,これらに適した構造設計法の開発など研究対象を拡大しようと意図している.このような方向性を明確にするために会の名称を平成10年度に「コンクリート用骨材部門委員会」と改めた.
 平成21年度からは,コンクリートの乾燥収縮と骨材との関係を問題として取上げ,地産池消を原則とするコンクリート用骨材の合理的使用法に焦点をあて,日本コンクリート工学協会近畿支部の「性能評価型コンクリートに向けた骨材調査研究委員会」と連携し,調査研究活動を実施している.その活動の一環として,以下のように部門委員会および見学会を開催した.

•平成21年度第1回部門委員会および見学会
 議題:高炉スラグ細骨材の品質と製造プラントの見学
 場所:住金鉱化 和歌山事業所
 日時:平成21年8月7日(金)14時〜
出席者は27名であった.高炉スラグ細骨材は,年々増産体制が整備され,近畿地区において600,000トン/年を越える供給実績となっており,天然骨材の代替骨材として注目されている.このような背景から,高炉スラグ細骨材に関する活発な質疑・応答が行われた.

•平成21年度第2回部門委員会および見学会
 議題:下水汚泥溶融スラグ細骨材の現状と製造プラントの見学
 場所:大阪市舞洲スラッジセンター
 日時:平成22年3月5日(金)13時〜
出席者は29名であった.下水汚泥を溶融して製造されるスラグは,大阪市だけでも年間1万トン以上の発生量となり,その有効利用が課題となっている.下水溶融スラグの品質や,細骨材として使用したモルタルの性能についての報告が行われ,コンクリート用骨材としての適用の可能性について活発な議論が行われた.

 本委員会の特色は,本学会の性格を反映して,その構成メンバーが多彩である点にもある.すなわち,いわゆる土木・建築という縦割りはまったく意識されない運営であり,骨材メーカー,セメント・コンクリート技術者,設計技術者,施工技術者など多方面の関係者が委員として参加している.また,委員会開催に際して,委員以外からも広く適任者をスピーカーに選んで話題提供していただいている.ご関心のある各位の積極的なご参加を希望している.
極限環境部門委員会
極限環境部門委員会  2005年度より名称を高圧力部門委員会から「極限環境部門委員会」に改称した.最近は超高真空,減圧,大気圧,高圧力,超高圧力などの広い圧力範囲を視野に入れた材料開発が盛んになってきており,圧力をパラメータとする科学と技術を包括し,当該分野の研究者・技術者が参加しやすい部門名とすること,および,圧力パラメータのみならず,超高温,極低温,非平衡過程も含めた極限環境下における物質挙動と材料開発に関心のある多数の研究者・技術者が参加しやすい部門名とすることを目的とした.広く会員を募り,現在個人会員25名,法人会員3社の会員数である本部会をさらに魅力的なものに発展させることを目指して活動を続けてきた. 以下に,(旧)高圧力部門委員会を含め,部門委員会の活動を報告する.
(1) 公開シンポジウム
  1973年に「高圧力下における高分子材料」という主題で最初のシンポジウムが開催されて以来,1983年からは公開シンポジウムとして継続して開催されている.これまでの公開シンポジウムの主題は次の通りである.
第 1回(1983年) 「高圧流体,基礎と応用」
第 2回(1985年) 「材料の高圧合成」
第 3回(1987年) 「高圧固体物性」
第 4回(1989年) 「高圧力技術と固体合成・物性」
第 5回(1991年) 「高圧流体物性の新展開」
第 6回(1993年) 「等方圧加工プロセスによる材料開発」
第 7回(1995年) 「水および水溶液の機能開発と利用技術」
第 8回(1997年) 「固体の高圧物性,反応,実験技術」
第 9回(1999年) 「高圧流体の物性測定最前線」
第10回(2000年) 「高圧力と塑性加工」
第11回(2002年) 「高圧の可能性に挑む」

なお,第10回のシンポジウムは高圧力部門委員会と塑性加工部門委員会と共同で開催し,他部門との横断的学術交流も積極的に行ってきた.
(2) オーガナイズドセッション,フォーラム
オーガナイズドセッション,フォーラムと多彩な学術活動を毎年行っている.以下にそれらの主題などを記す.

1) 第53期学術講演会(2004年) 「圧力効果―その理論と応用」(フォーラム)
2) 第54期学術講演会(2005年) 「極限環境下の材料挙動」(フォーラム)
3) 第55期学術講演会(2006年) 「極限環境下の溶液物性と反応」(フォーラム)
4) 第56期学術講演会(2007年) 「極限を利用した材料の創成と物性」(フォーラム)
5) 第57期学術講演会(2008年) 「極限環境における生物・化学の最前線」(フォーラム)
6) 第58期学術講演会(2009年) 「極限環境を利用した材料科学の最前線」(フォーラム)
7) 第59期学術講演会(2010年) 「極限環境下における溶液科学の展望」(フォーラム)
(3) 部門委員会編集の図書出版
1)「高圧力実験技術とその応用」丸善(1969)
2)‘High Pressure Liquids and Solutions’, (Current Japanese Materials Research, Vol.13), Elsevier (1994)
(4) 会誌「材料」での講座や特集の掲載
1) 「講座」(42巻,No.472-476 (1993))
2) 「特集」(33巻,No.365 (1984)),(37巻,No.413 (1988)),(41巻,No.462 (1992)),(43巻,No.486 (1994)),(45巻,No.3 (1996)),(47巻,No.10 (1998)),(55巻,No.3 (2005)),(58巻,No. 6 (2009)など.なお,2012年度にも特集を計画している.
(5) 部門委員会での講演会
  毎年数回開催される定例の部門委員会では,情報交換と話題提供の場として広範な学術領域にわたる講演会が開催されており,最近4回の講演会では下記の講演が行われた.
第13回
1) 水熱合成法による新規磁性体,電気伝導体の探索(中央大・佐藤博彦)
2) 遍歴磁性体の低温物性 −コバルト酸化物超伝導体の物性を中心に−(京都大・道岡千城)

第14回(第58期学術講演会・フォーラム)
1) 量子細線と面発光レーザ(愛媛大・下村 哲)
2) 高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドの超高圧合成とその特徴(住友電工・角谷 均,愛媛大・入舩徹男)
3) HIP合成したダイヤモンド・SiC複合アンビルを用いた高温高圧X線実験(大阪大・大高 理,龍谷大・下埜 勝)

第15回
1) 非対称リン脂質二分子膜の構造転移と相安定性(徳島大・松木 均)
2) 極限環境(高圧,高温高圧,微少重力)下での金属材料の実験(徳島大・海江田義也)

第16回
1) ガスハイドレートにおけるフリーラジカルの挙動(大阪大学・谷 篤史)
2) 高温液体メタノールおよびエタノール中における1価イオンの電気伝導度(同志社大・伊吹和康)

 このように,本委員会では,これまで高圧力の静的・動的発生,圧力測定,高圧装置,高圧下の固体・流体物性と反応,高圧加工技術など,圧力をパラメータとする極限環境を利用する材料科学,工学,理学のすべての学術分野や技術開発に多大なる貢献をしてきた.今後,さらに広い視点から新しい科学技術の創成・発展を理念とする極限環境部門委員会活動を発展させるため,圧力パラメータのみならず,超高真空,超高温,極低温,非平衡過程も含めた極限環境下における物質挙動と材料開発を学術領域とし,これらに関心のある多くの研究者や技術者の方々の委員会活動への参加を積極的に働きかけている.入会ご希望の方は,材料学会までお申し出下さい(年会費2,000円).
複合材料部門委員会
(1) 委員会の沿革と活動の概要
 本委員会は,複合材料および関連する材料・構造の複合化・機能化・知能化に関連する諸問題を取り扱い,これを解決するため幅広い研究者,技術者の方々の参加をえて,活発な調査・研究活動を行っている.本委員会は1965年7月に「強化プラスチックス部門委員会」として設立された我が国最初の複合材料に関する学術組織であり,1997年12月に現在の名称に改称されている.すなわち,本委員会活動の歴史は我が国の複合材料研究と開発の発展を先導する足跡でもある.2009年12月には炭素繊維強化樹脂複合材料 (CFRP) の利用を主翼や胴体にまで拡大し,複合材料が構造重量の50%を占めることになった中型旅客機B787が初飛行し,今年度末に我が国で初就航することが期待されている.「複合材料」は従来の金属や高分子材料を単純に置換するものでなく,微視的な構成素材から構造までのいろんな階層での「複合化」「機能化」「知能化」が可能な新しい材料・構造の「概念」であり,その可能性は非常に広く深い.現在のフロンティアとして,スマートコンポジット,グリーンコンポジット,ナノコンポジットなどの分野での研究が展開されている.このような状況の中,本委員会の果たす役割はますます重要になると考えられる.現在の登録委員数は127名であり,内訳は団体7社,個人120名である.
(2) 委員会の主な活動

1) 定例委員会:
 定例委員会は,主に複合材料に関する先端的トピックスの紹介や解説,関連分野を含めた特定のテーマについて情報交換することを目的とし,委員および委員外の各専門分野で活躍されている方々による研究討論会として年4〜5回開催している.定例委員会は委員会の基本的な活動の場であり,研究討論の他,運営に関してもビジネスミーティングの時間をとって忌憚のない意見交換を促進している.委員会の開催にあたっては,他の部門委員会や学協会との連携にも努めている.2009年度には,
第220回 公開委員会「複合材料に関する最新の研究と技術開発」
(通常総会・講演会併設行事,東レ愛媛工場見学会を併設,日本複合材料学会西部支部と共催)
第221回 定例委員会「JCOM-38シンポジウム賞受賞論文講演会」
第222回 定例委員会「複合材料の破壊」(第14回破壊力学シンポジウムに併設,破壊力学部門委員会と共催)
第223回 定例委員会「複合材料と衝撃」(衝撃部門委員会および日本複合材料学会関西支部と共催)
をテーマとする研究討論会を開催した.詳細については末尾に示す部門委員会ホームページを参照されたい.

2) 日本複合材料合同会議(JCCM)の創設:
 シンポジウムは当委員会の最大の企画事業であり,旧称「FRPシンポジウム」として1972年より毎年3月に開催している.近年は単に「FRP」という材料の視点だけでなく,「複合」の思想や概念をもとに新たな発展が見られ,JCOM:JSMS COMPOSITESのサブタイトルを付し,2007年3月より正式名称を「JCOM」に改称した.今回,JCOMをさらに発展させて「日本を代表する複合材料の会議」とするため,日本複合材料学会が毎年5〜6月に開催してきた研究発表講演会と統合し,両組織が共同で主催する「日本複合材料合同会議 (Japan Joint Conference on Composite Materials)」として新たなスタートを切ることにした.第1回は2010年3月にキャンパスプラザ京都で開催し,以後毎年3月に東京と関西地区で交互に開催する予定となっている.また,JCOM-39等の副題を付し,FRPシンポジウムからの歴史も引継いでいる.両学会の長所を融合して相乗効果を発揮し,研究活動の一層の活発化とともにより広い分野への発展を目指して,実りの多い講演会にし発展させることを切に願っている.幸いこの試みは,国内の全複合材料研究者に受け入れられ,第1回は「グリーンコンポジット」,「生体・医療材料」,「量産車用コンポジット」,「マテリアルデザイン(設計解析技術)」,「革新成形技術」,「スマートコンポジット」,「耐久性・環境劣化」,「ナノコンポジット」のOSをはじめ約175件の多数の研究発表と375名の多くの参加者を得た.活発な討論がなされるとともに,「日本を代表する会議」という当初目標が達成されたとともに,特に若手の研究者への情報発信という観点からも大きな意義のある会議になったと考える.また,これまでと同様,生体・医療材料部門委員会部門委員会との協力体制も維持した.本会議では,若手研究者の研究の活性を期待して,優秀講演賞が設けられている.来年度以降も皆様の積極的な参加を期待している.


3) 論文賞,奨励賞,技術賞:
JCCMの創設とともに,従来シンポジウム賞として設けていた論文賞,奨励賞は,内容を見直し新たに出発する予定である.また,複合材料技術の振興のため企業,団体あるいはそれに属する技術者に授与する技術賞は,従来どおり継続して設けている.詳細は部門委員会ホームページを参照されたい.

4) 研究ワ一キング・グループ (WG) 活動:
 複合材料の種々の分野で特定のテーマを集中的に討論する場を提供するため,研究WGを設置している.WG活動は1年毎に見直している.2009年度は前年度に引続き「グリーンコンポジット」と「量産車用コンポジットの開発」をテーマとする研究WGが活動した.グリーンコンポジットWGでは9月に講演会(青森県),10月に見学会(沖縄県)を実施した.量産車用コンポジットWGでは4月に講演会(見学会併設,京都府),10月に講演会(大分県)を実施するとともに,12月に第1回自動車用途コンポジットシンポジウムを同志社大学で開催し,当該分野の研究の盛んなことが示された.

5) 国際学術交流:
 今年度は,2009年10月7〜9日に第3回日中グリーンコンポジット交流セミナーを東華大学(中国,上海市)で開催した.48名(日本から18名)の参加者と18件(日本から12件)の論文発表があった.東華大学は旧中国紡績大学でかつ重点大学の一つであり,本交流セミナーは2005年の第1回,2007年の第2回とも東華大学において開催されている.また,この交流セミナーに併設して,2009年10月5〜6日に本部門委員会の国際交流行事として浙江理工大学−JCOM合同研究会(中国,杭州市)を開催した.約20名(日本から10名)の参加者と,6件(日本から3件)の論文発表があった.

6) 学術講演会および会誌特集号:
 第58期通常総会・学術講演会(2009年5月22日,東レ)において,公開部門委員会を開催し,3件の発表と見学を実施した.また,会誌「材料」2009年5月号(第58巻5号)にて複合材料小特集号を企画し,8件の論文を掲載した.
7) 今後の取組み:
 持続可能な社会の構築に向け,地球温暖化防止はすべての学術分野で取組むべき課題であるが,その中で複合材料および当部門委員会の果たす役割は非常に大きい.「軽量化」の観点においては,複合材料は既に普及の段階にある航空機のみならず,自動車分野においても重点的に研究が進んでいる.また,材料そのものをカーボンニュートラルにする「グリーンコンポジット」においても,当部門委員会は日本の研究の牽引力を担っている.本年度創設したJCCMの今後の発展を含め,今後とも,本委員会では,日本の複合材料研究の中心として,新たな研究展開の提案と情報の提供を続けていく予定である.
(3) 本委員会への加入方法
新しい委員の委嘱は,定例委員会に諮って承認を得ることになっている.加入希望者は所属・連絡先などを明記した文書を添えて本部門委員会事務局(末尾に示すホームページを参照されたい)あるいは本学会事務局に直接申し出られたい.当委員会では,特に若い方の増強を図りたいと考えている.複合材料に関心をお持ちになる会員諸氏の入会と委員会活動へのご参加をここにお願いする次第である.
本委員会ホームページ:http://compo.jsms.jp/index.html
コンクリート用混和材料部門委員会
 本委員会は,1965年7月にAE剤および減水剤の基準と試験法を確立し,フレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートの品質向上に寄与することを目的に発足し,今年で46年目に入る.発足以来現在に至るまで,研究発表と討議を中心に74回の委員会を開催するともに,講演会の開催,共通試験の実施など精力的な活動を実施してきた.1967年は「構造用コンクリートに用いる化学混和剤基準(案)」の作成,1969年には「コンクリート用化学混和剤」編集を開始し,1972年に刊行した.化学混和材に関する我が国で初めての専門書であった.この書籍はその後30年間近いロングセラーで,多くの研究者・実務者のバイブル的な存在になった.また,1984年に「コンクリート混和剤の化学」,1994年に「混和材料の進歩とコンクリート品質」の題名で会誌「材料」への連載として活動結果を取りまとめた.他の建設系部門委員会と合同で,会誌「材料」の特集号(例年8月号)刊行にも協力をしている.
 本委員会は1999年度に化学混和剤小委員会と混和材小委員会の二つの小委員会を設け,コンクリートの構造用材料としての将来像を展望しつつ,コンクリート用混和材料の品質,それらを用いたコンクリート品質,施工規準,適用方法,配合に用いる化学混和剤基準(調合)設計法などを取り上げて,より実用的な動きになることを図った.これらの成果は,A4版・475頁からなる「日本材料学会編・コンクリート混和材料ハンドブック・児島孝之(立命館大学)監修」として2004年4月に刊行された.執筆者には,二つの小委員会の構成委員のみならず外部から最前線で活躍する研究者も加わり総勢54名もの方々が3年余りの時間をかけた.言わば,1972年刊行の「コンクリート用化学混和剤」の大幅な改訂版であり,これまでの混和剤に加えて混和材の項が新たに設定されている.刊行から丸6年になるが評判がよい.
 本委員会への加入は,委員会開催時に委員会から承認を得ることになっている.2009年度は以下のテーマで委員会を開催した.当初,2回の委員会開催(うち1回は見学会も兼ねて)予定であったが,下記に示すように突如のA型インフルエンザ神戸地区流行が報じられ大事を取り中断した.よって,2009年度は,第74回コンクリート混和材料委員会のみ実施した.

【第74回委員会(兼)見学会 ⇒新型インフルエンザ近畿地区・蔓延兆候のため中止】
日 時:平成21年5月26日(月)
午前10時〜午後8時(予定)
見学場所・委員会:神戸視察(㈰外国人居留地,㈪下水渠,㈫布引ダム,布引五本松堰堤,分水堰堤など)と第74回委員会開催予定.

【第74回委員会】
日 時:平成21年12月7日(月)
午後2時30分〜午後4時30分
(なお,午後6時前より懇親会)
場所・出席者:日本材料学会館にて,17名
参加者:講演会(17名参加),懇親会(15名参加)
進 行:
14:30−16:30  講演会(日本材料学会・コンクリート混和材料委員会・WGによる講演)
(1) 河野広隆氏(京都大学:「セメントの非エネルギー起源CO2対策に関する話題」)
【概要】 セメント産業における非エネルギー起源二酸化炭素対策に関する調査結果(経済産業省版)<混合セメントの一層の普及拡大に向けて>の活動報告がされた.高炉セメントの現状を述べ,今後の普及拡販の方向を示した.混合セメントの長所・短所の両面からの意見交換がされた.
(2) 伊達重之氏(日本シーカ :「環境対策における混和剤(材)の取り組み」)
【概要】混和剤の現状に関して,環境にも配慮した研究成果が分かり易く報告された.特に,現在普及しつつあるポリカルボン酸塩系の混和剤のスランプ保持および減水のメカニズムが分かりやいモデルで示され,好評であった.
(3) 岡本享久氏(立命館大学:「コンクリートの学際領域へのチャレンジ」)
【概要】 セメント硬化体の学際領域の研究,すなわち,植物・生物共存型コンクリートの実用化実験,楽音としてのセメント硬化体の性能について述べた.「コンクリートから人へ」が強調される現在,新しい切り口からの研究の必要性が強調された.
17:30−19:30  懇親会(京都駅地下1階にて・会費制)

 なお,2010年度は5月,12月,3月の3回開催で進める予定である.うち1回は見学会も兼ねた委員会を開催し,「近畿地区コンクリート構造物に注目,強度・耐久性・維持管理に特徴的な現場見学」を実施予定である.12月と3月は最新情報を各界の代表者に講演していただき,会員相互の情報交換を行い,全員の技術の向上を図る.
フラクトグラフィ部門委員会
 材料の破壊に対して種々の解析手段があるが,中でも破断面の詳細解析を行うフラクトグラフィは破壊過程のもっとも如実な観察が可能であり,各方面においてますます浸透,活用されつつある.とくに,近年の電子顕微鏡の進歩とともにフラクトグラフィは飛躍的な発展を遂げ,破壊事故解析においては事故原因の重要な証拠を提供し,また,破壊の研究に際して,ミクロとマクロの谷間を埋めるべく,破壊力学の今後の展開の最重要情報提供源の一つとして重視されている.
本委員会は,フラクトグラフィを主要な手段とする破壊の研究ならびに破壊事故解析技術のより一層の発展を推進することを目的とし,かねてより活動中であったフラクトグラフィ研究会を母体として,昭和50年10月22日に設置された.同研究委員会は,昭和44年11月,当時国内におけるフラクトグラフィの研究,応用が緒についたばかりで,この種の研究グループがなく,関係者相互間の連絡が乏しかったのに鑑み,日本機械学会フラクトグラフィ分科会として発足し,情報交換,共同研究ならびにその成果の普及活動を実施し,3年間の会期を所期の成果を挙げて満了した.その後,引き続いて,会員数を増大,フラクトグラフィ研究会として活動を継続し,本委員会に引き継がれた.得られた成果は第1回から第9回フラクトグラフィシンポジウム(昭和52年5月,54年10月,57年6月,59年6月,61年6月,63年6月,平成2年6月,5年6月,8年6月,12年11月)および「材料」フラクトグラフィ特集(昭和53年1月,55年6月,58年4月,60年6月,62年5月,平成元年5月,3年6月,6年5月,9年6月,13年11月)として公表されている.
平成21年度委員会での講演内容は以下の通りである.

第97回部門委員会 平成21年7月3日(金)
東京にて開催
報告資料
487.  レーザー顕微鏡を用いた疲労破断面の三次元形状の解析例
労働安全衛生総合研究所 ○山際謙太
東京電機大学大学院  宮本昌幸
488.  強加工部材の損傷事例 
日立造船  技術研究所 ○田中智大
489.  SiC粒子及びAl2O3ウィスカで強化されたAl鋳造合金の疲労強度のウィスカ方位依存性とフラクトグラフィ
埼玉大学 ○荒居善雄,新井康夫,荒木稚子
第98回部門委員会 平成21年12月9日(水)
大阪にて開催
報告資料
490.  エキスパートシステムによる航空機ランディングギアの事例解析
大阪大学工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻
○川副健策,村田雅人
491.  金属材料の210MPa水素中における引張破面 
独立行政法人産業技術総合研究所
○福山誠司,今出政明,横川清志
492.  冷間鍛造金型用鋼の静的,動的および疲労破面の特徴について
広島工業大学 江原隆一郎
第99回部門委員会 平成22年3月16日(火)
東京にて開催
報告資料
493.  エポキシ樹脂および粒子充填複合材料の破壊特性
埼玉大学 ○荒木稚子
豊橋技術科学大学  足立忠晴
494.  Fatigue Crack Growth Behavior of Silica Particle Reinforced Epoxy Resin Composite
長岡技術科学大学 ○武藤睦治
Alisa Boonyapookana,永田晃則
495.  鉄鋼・非鉄金属の腐食と破壊に関する微視的考察
 ミツワハイテック ○山下正人
兵庫県立大学 花木  聡,内田 仁
信頼性工学部門委員会
 近年,各種工業製品において多様化・高度化・知能化が複合的かつ重層的に進んでいる.こうした状況では,製品がシステムとして複雑化するほど,ひとたびシステムの一部に損傷や破壊が発生すると,その被害が従来以上に拡大される.このため,関連するシステム全体の信頼性を保証する必要がある.さらにICT化が進んだ現代社会では,いずれかの機器の細部の損傷や不具合により,瞬時に地球的規模の混乱が発生することもありうる.このような被害を最小限にするため,人間の生命や社会の安全を保証するための基盤技術の確立が強く望まれている.
 信頼性工学部門委員会は,こうした広い観点から「材料」を介して種々の工学分野を横断的に結び付けながら,我国において信頼性工学を確立・普及させることを目的に設立され,本学会の他の部門委員会は言うに及ばず他の学会とも連携して幅広い委員会活動を展開している.
 平成21年度の委員会活動としては,年3回の定例委員会(2009年4月22日/東京,2009年9月18−19日/熊本,2009年12月12日/大阪)を開催し,毎回研究討論会を設けて当該分野の最先端の諸課題に関する活発な研究討論を行うとともに,年1回の幹事会(2009年9月9日/京都)を材料学会本部で開催して次年度の活動計画を討議した.また,2009年5月23日から24日に松山で開催された第58期総会学術講演会において,オーガナイズド・セッション6「材料・機械・構造物の安全性と信頼性」として,[材料・部材の疲労特性],[材料・部材の損傷評価],[構造部材の信頼性評価] の3つのセッションを企画し,11件の講演と活発な討論が行われた.また,総会併設行事として「低炭素社会構築とクリーンエネルギーへの期待」と題した以下のような信頼性フォーラムを企画し,大変活発で有意義な研究討論会となった.

【信頼性フォーラム:低炭素社会構築とクリーンエネルギーへの期待】
基調講演  低炭素社会に向けた技術開発の方向性と実現への課題
7地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ
グループリーダー 秋元 圭吾
一般講演1 万有引力によるクリーンエネルギー創出技術の開発
立命館大学 ○酒井達雄
立命館大学院 廉 本寧,高松高専 岡田憲司
一般講演2 高純度シリコン原料技術の開発動向−太陽電池用シリコンの革新的製造プロセスへの期待−
文部科学省・科学技術政策研究所 河本 洋
一般講演3 結晶シリコン太陽電池の技術開発動向
京セラ ソーラーエネルギー事業本部
研究開発事業部長 白澤勝彦

 さらに,2009年12月10〜11日には第24回信頼性シンポジウムを大阪(中之島プラザ)で開催し,(独)産業技術総合研究所(兼任 九州大学 大学院総合理工学府)徐 超男 氏による特別講演「応力発光体を用いた安全管理システム」のほか,材料信頼性,構造信頼性,検査・管理技術の諸課題およびオーガナイズセッションとした「リスク・危機管理」,「防災シミュレーションと安全性」について,広範な研究討論が行われた.なお,委員会活動の国際化と活性化の両面から,International Workshopを企画することも恒例化しており,今回はとくにmaterials databeseの国際化を中心テーマに設定して,海外から当該分野の第一線の研究者を招聘し,以下のような国際研究討論会を企画した結果,大変活発で有意義な研究討論会となった.

【International Workshop: International Prospects and Present Situation of Materials Database】
T. Present Situation and Prospect of NIMS Materials Database
Dr. Yibin Xu
(National Institute for Materials Science)>
U. Prospect of Material Database in Information Technological Advance
Dr. Toshio Shuto, Dr. Yutaka Oyatsu
(Mitsubishi Research Institute, Inc.)
V. Establishment of Web-based Materials Database in Korea
Dr. Kwang-Jin Kim, Seong-Min Jeon
(Ceramics Bank, Korea Institute of Ceramic
Engineering and Technology)

 平成22年度の計画としては,年3回の定例委員会および年1回の幹事会の他に,5月に北海道で開催される第59期総会学術講演会でオーガナイズド・セッション「材料・機械・構造物の安全性と信頼性」を企画した.さらに,総会併設行事として本部門委員会の企画により信頼性フォーラム「宇宙構造物・宇宙用材料の安全性と信頼性」を開催した.また,本年12月には第25回信頼性シンポジウムを名古屋市内で開催することになっている.最近の信頼性シンポジウムの企画は実行委員会を編成してシンポジウムの一層の活性化を図ることになり,会誌会告等にて別途案内のとおり,材料・構造・システムの信頼性,災害事故解析,社会基盤技術等の信頼性関連課題について,幅広く研究討論ならびに研究交流・情報交換を促進することになっている.なお,前回から,本シンポジウムにおける研究発表を対象にした優秀研究発表賞を新たに設け,本部門委員会が選定し,贈賞することになっており,多数の応募を期待している.
 次に,疲労部門委員会と本部門委員会の合同企画として日本材料学会標準 (JSMS-SD-6-04) 金属材料疲労信頼性評価標準【S-N曲線回帰法】改訂版が発行された.またこの基準の国際的な普及を進めるため,その英文版の出版企画が始まり刊行のための準備が進んでいる.本標準が一つのGlobal Standardとして国際的に普及・定着することが期待される.また,本組織を改組して新規疲労強度データを収集・整理してデータ集およびデータベースの再構築が始まっている.
 本委員会では,平成17年度より「軽量航空機信頼性分科会」を発足させ,災害救援用の各種軽量航空機の開発に取り組むことになり,2006年2月18日に第1回分科会が草津(立命館大学)で開催された.そこで基本方針と担当課題等が審議されて以来,3ヶ月ごとに年間4回の頻度で研究討論会を開催して当該企画の推進に当たっている.第2回以降は疲労部門委員会に設置された軽量航空機疲労設計分科会や材料強度確率モデル研究会との合同研究会として企画・開催されている.平成21年度は第13,14,15回の軽量航空機信頼性分科会が開催された.こうして関連組織の合同研究会として本プロジェクトが年次的に着実に推進されている.
 さらに,平成22年度の会誌「材料」の特集号企画として,5月号に7編の論文から構成される信頼性小特集号を刊行した.掲載された論文は材料信頼性,構造信頼性,材料データベース,環境適応材料の信頼性,リスク・危機管理,社会基盤等に関連する先端的な研究成果を公表したものであり,この分野の今後の発展に大いに寄与するものと期待される.
 信頼性工学の守備範囲は極めて広く,人間の安全で快適な生活を保証し社会の持続的発展を可能ならしめる基盤技術として社会に定着させる必要がある.このためには,広範な分野における産・官・学の一層の連携が重要である.この観点から,種々の立場から本委員会へのご参加を期待している.ご参加については,主として本委員会委員の推薦によるが,参加希望の方は日本材料学会宛に直接申し込まれると,幹事会審議を経て本委員会の承認を得た上で委員に委嘱される.ただし,企業から参加される場合は,委員会資料費として年間15,000円を納付して頂き,その他の個人会員の参加者については,1,000円の年会費を徴収させて頂くことになっている.最後に,信頼性工学が,今後,ますます有用な学問として成長し,社会に広く普及・浸透することを期待する次第である.
破壊力学部門委員会
 本委員会は,破壊力学という特徴ある力学体系と,それに基づくき裂材の強度評価体系を中心に,広く材料の破壊現象ならびにそれに関連した諸問題を取り扱う委員会としてスタートした.最近は,それに派生した接着端,接触端等の応力特異場問題にも展開している.破壊現象を取り扱うという点では,疲労,高温強度,腐食防食などの諸部門委員会と,また,強度問題一般という点では,マイクロマテリアル,信頼性工学など諸部門委員会とも共通する部分をもっている.本部門委員会が昭和54年に発足して以来,すでに四半世紀を経た.この間,産・官・学の各委員に興味をもたれている先端技術や新素材などの先端情報の紹介や解説を行い,講演会や討論を通じて委員相互の情報交換を行うため,年3回または4回の委員会と2年に1回のシンポジウムを開催してきた.また,本委員会は,幹事会で立案した各種議案や会の運営に関わる基本的諸問題を審議・決定する機関として機能している.
 平成21年度には,第14回破壊力学シンポジウム(10月23日,24日,大濱信泉記念館)ならびに以下に示す3回の委員会を開催した.

第130回平成21年5月22日,愛媛県県民文化会館
  主題「自動車および鉄道車両における破壊の問題」 
第131回  平成21年9月1日,名古屋大学VBL
  主題「鋼構造の損傷に関する最近の話題」
第132回  平成22年3月26日,慶応大学日吉キャンパス
  主題「若手研究者による最近の破壊力学研究」
 これらの講演会資料は,小冊子にまとめ,各委員に無料で配布している.

 第14回破壊力学シンポジウムの講演件数は64件,参加者は91名であった.またシンポジウムにおいてOhji-Ohtsuka-Okamura Award奨励賞を田邉裕貴氏,西村尚哉氏に贈賞した.
本委員会では小委員会を設け,以下のようなテーマを絞った活動も行っている.
FMニュース小委員会では,破壊力学に関連する国際会議や規格の制定・改正などの破壊力学関連のニュースを集録編集し,「FMニュース」として委員会およびシンポジウムの開催ごとに配布している.より広範囲かつ迅速にこれらの情報を集めることが可能となるよう,他の学会との連携も視野に入れている.
 K値小委員会では,これまでの活動によって,応力拡大係数に関するハンドブックとして,STRESS INTENSITY FACTORS HANDBOOK, Vol. 1〜5を発行してきた.このハンドブックは,国内に限らず国外でも広く活用されており,国外を含め研究者からの精度などに関する問合せに対して,委員会として対応している.また,世界中の研究者から要望があったVol. 1, 2の携帯版も発行し,好評を得ている.要望の多いVol. 1, 2については,現在,電子版ハンドブックの出版のため電子出版WGが活動中であり,平成22年度中に出版予定である.
 また界面強度評価小委員会が平成18年度より設置され,界面強度評価(接合強度評価および皮膜はく離強度評価)に必要な試験法の具体例を収録するとともに,K値小委員会の成果を活用した新たな評価法の提案に取り組んでいる.これらの成果をまとめた「界面強度評価ハンドブック」を平成22年度中に出版予定である.
 現在,本委員会は,法人会員数十社,名誉委員4名を含め,産・官・学約200名の委員により構成されている.本委員会の存在価値は破壊力学の実機構造物の設計など,実際面に活用されることにあるため,特に会社関係の方々の参加を強く希望している.委員会への加入は,委員会の承認を得ることになっている.加入希望者は日本材料学会事務局に直接申し出られたい.なお,会社委員には,原則として本会の賛助会員で,年間20,000円の資料費(全資料配布),その他の個人会員には年間2,000円の連絡・整理費をご負担いただいている.また法人会員は,代表者以外に4名まで本委員会のメンバーとして登録でき,登録されたメンバーは委員会へ自由に参加できる.
セラミック材料部門委員会
 本委員会は,昭和54年6月に,セラミック材料の諸問題を扱う委員会として発足し現在に至っている.セラミックスの合成,製造,加工などの各種プロセス技術ならびに機械的,熱的,電子・磁気・光学的,化学的性質などの設計と評価技術に関する諸問題を対象に,産・官・学の研究者の情報交換・討論の場として,有用な機会を提供してきている.
 本委員会の構成員には法人委員と個人委員がある.委員会への加入は,主として現委員の推薦によることが多いが,日本材料学会事務局に,加入希望する旨を直接申し出ていただいてもよい.幹事会と委員会の了承を得て,委員となって頂くことになる.なお,会の運営維持のため,法人会員には年間15,000円を,委員会での講演会や見学会の資料代等(欠席の場合も毎回送付される.各回参加費は無料)として,また個人会員には,委員会への出席各回毎に1,000円の費用負担をお願いしている.
 平成21年度期には3回の委員会が開催された.委員会でのテーマ,講演,講演者,日時,場所などの内容は以下のようである.7月の委員会では,学術講演会「セラミックスの合成と評価」を行い,活発な研究発表と討論が行われた.これらの研究発表の一部は「材料」誌に寄稿され,小特集の論文として掲載される.委員会での識者による講演会と同時に,各方面の協力を得て,セラミックス技術の研鑚に役立つ貴重な施設の見学会を行っており,好評を得ている.また,本部企画の学術講演講演会などの併設行事として,オーガナイズドセッションを積極的に開催している.来期にも,意義ある委員会活動をめざして,講演会,公開討論会,見学会を計画しており,委員ならびに会員各位の一層のご支援をお願いする次第である.
第131回委員会(学術講演会)
平成21年7月16日(木)
京都工芸繊維大学 工繊会館 多目的室
テーマ「セラミックスの合成と評価」
Fe含有層状チタン酸化合物の合成と評価
○田尻駿介,杉本圭次郎,小野木伯薫,中平 敦
(大阪府立大)
佐藤充孝,中平 敦
(東北大金材研附属研究施設大阪センター)
Sr4Al14O25 : Eu2+, Dy3+長残光蛍光体の光学的性質に及ぼす合成条件の影響
○竹内信行・小笠原圭佑・山田卓矢・小林久芳
(京都工繊大)
酸化銅アルミナ触媒の高温安定性と活性に及ぼすランタン添加効果
○小澤正邦・加藤 修
(名工業大セラミックス基盤工学研究センター)
低融点銀ロウ材の機械的性質とNi添加の効果
○東 泰助,小野木伯薫,中平 敦
(大阪府立大)
井上 誠,横田 勝,村田安規
( 中村超硬)
中平 敦
(東北大金材研附属研究施設大阪センター)
超塑性能向上を目的とした個別要素法による燒結体微細構造設計
○村田航平,河村 剛,松田厚範,逆井基次
(豊橋技術科学大学)
武藤浩行
(久留米工業高等専門学校)
ZrO2靱性強化不定形耐火物
○津田秀行,村上角一
(黒崎播磨  不定形耐火物技術センター)
微量添加物が耐火物の特性に及ぼす影響
○阿比留祐二,関根 昇
( ヨータイ 新材料研究部)
種々のガラスへのイオン交換による銀の導入と再熱処理による着色挙動
○野宮佑介,若杉 隆,西井準治,角野広平
(京都工繊大,産総研)
Na2O-SiO2ガラス融液中のOH基による赤外吸収の温度依存性
〇白川寒宇,松岡 純,吉田 智,菅原 透
(滋賀県立大)
水熱法を利用したセラミックス上へのゼオライトコーティング
○森口太郎,小野木伯薫,中平 敦
(大阪府立大)
佐藤充孝,中平 敦
(東北大金材研附属研究施設大阪センター)
酸化チタン皮膜の大気中高速形成と光触媒特性評価
○山田基宏,砂金寛昭,中野裕美,福本昌宏
(豊橋技術科学大)
ランタノイドで修飾したニッケル・チタン酸ビスマス系薄膜の作製とその成長機構
○田村昭裕,小舟正文,大島尚士,大幸裕介,
嶺重 温,矢澤哲夫(兵庫県立大)
a/b軸配向Bi4Ti3O12系薄膜の作製とメモリ特性評価
○今川一輝,小舟正文,田村昭裕,大島尚士
大幸裕介,嶺 重温,矢澤哲夫(兵庫県立大)
エピタキシャルEuTiO3薄膜の合成と物性の評価
○若杉直樹,藤田晃司,村井俊介,田中勝久
(京都大)

第132回委員会
平成22年1月22日(金)
滋賀県立大学 地域産学連携センター
テーマ『ガラスの物性評価』
• 「ガラスの破壊挙動と応力誘起構造変化」
滋賀県立大学 工学部 材料科学科 松岡 純 氏
• 「顕微インデンテーション法による弾性・弾塑性・粘弾性特性評価」
産業技術総合研究所 中部センター 宮島達也 氏
講演会終了後,滋賀県立大学工学部 ガラス工学研究センターと材料科学科セラミックス材料分野を見学

第133回委員会
平成22年3月3日(水)
三重県工業研究所
テーマ『陶磁器の高機能化』
• 「急須の表面改質」
三重県工業研究所 窯業研究室 稲垣順一 氏
• 委員の研究紹介
• 「無鉛釉薬の開発」,「自己硬化型ゼオライト硬化体の合成」など
京都工芸繊維大学 物質工学部門 塩野剛司 氏
講演会終了後,講演会終了後,三重県工業研究所窯業研究室を見学

第58通常総会・学術講演会 オーガナイズドセッション(セラミック材料の創成と評価)
平成21年年5月24日(日)
愛媛大学工学部
[機械的性質]
• 廃瓦を利用した新規瓦の作製とその機械的特性評価
○塩野剛司(京工繊大)
浅田晶久(浅田製瓦工場)
岡本泰則(京工繊大)
• ガラスと金属の密着強度の評価
○若杉 隆,八木優紀,角野広平(京工繊大)
• セラミックスの変動荷重破壊に対する統一的累積損傷モデル
○松田伸也(沼津高専)
• セラミックスの接触強度特性に対する自己き裂治癒効果
○高橋啓太(横浜国大院)
西尾嘉唯,高橋宏治(横浜国大)
安藤 柱
[触媒]
• アルミナ系セラミック触媒の耐熱性向上と組織制御
○小澤正邦,西尾吉豊(名工大)
• TPD-MS法によるゼオライト上のVOC吸着脱離挙動解析
○山田祐貴,小澤正邦(名工大)
• 中和共沈法セリアジルコニアの昇温脱離挙動と酸素貯蔵能
○木村健志,坂本明徳,小澤正邦(名工大)
[光触媒・生体機能]
• 陽極酸化による新規酸化チタンの構造と特性
○山本真矢(阪府大院工)
久保 敬,小野木伯薫,竹内雅人,松岡雅也
安保正一,小野寺宏(東北大医)
中平 敦(阪府大院工)
• 水熱合成法による金属チタン誘導ナノ材料の合成と評価
○杉本圭次郎,久保 敬,田尻駿介,竹内雅人br> 松岡雅也,安保正一,中平 敦
• ハイドロキンアパタイトセラミックスの生体親和性に及ぼすZn添加の影響
○小野木伯薫,中田健太郎,中村敏樹
中平 敦(大阪府立大)
[光・磁気機能]
•   セラミック顔料と釉薬の反応が反射スペクトルに及ぼす影響
○松村崇義,若杉 隆,角野広平(京工繊大)
•   スピントロニクスデバイス応用を目指したFeTiO3-Fe2O3固溶体秩序相薄膜の合成と特性評価
○的場智彦,藤田晃司,村井俊介
田中勝久(京大院・工)
•   チタン酸ユウロピウム薄膜の合成と強磁性的挙動
若杉直樹,赤松寛文,竹本直紘,ZongYanhua
藤田晃司,村井俊介,○田中勝久(京大院工)

第53回日本学術会議材料工学連合講演会でもオーガナイズドセッション(ナノ材料の創製と解析)をナノ材料部門委員会と共催し,22件の研究発表があった
平成21年10月19日(月)
京大会館
衝撃部門委員会
 衝撃下における材料・構造の変形,破壊現象は車の衝突や地震による動的破損といった問題から,逆にこれを積極的に利用する破砕や加工の問題まで広い分野でしばしば見られる.しかし,こうした現象は材料自身の動的性質と材料中を伝ぱする応力波などの力学的問題が絡み合い一般に複雑である.これらを解明するためには単に材料の物性面からのみならず,解析方法や装置・実験法,計測法などのいろいろな視点から議論し検討する必要があるが,従来そうした機会は少なかった.この点に鑑み,関連の諸分野の研究者・技術者が一堂に会して衝撃問題を議論し情報交換できる場として,本部門委員会が1981年(昭和56年)2月に設立された.それ以来,ほぼ年3〜5回の定例の委員会(研究会)のほかに,3年ごとの「材料の衝撃問題シンポジウム」を開催し,またそれらを基に学会誌「材料」に衝撃特集号を刊行し,さらに衝撃問題の基礎と最近の問題を解説した連載講座を掲載するなどの,活発な活動を続けている.また,学会活動成果を社会へ還元し,産業社会へ貢献するため,初心者向けの技術講習会「衝撃工学フォーラム(初心者のための衝撃工学入門)」を,2002年より毎年開催している.さらに,2006年の11月には,ご要望の多い産業界からの衝撃関連問題の解決への支援の方策として,技術相談窓口を開設(ホームページアドレス:http://impactmb.jsms.jp/soudan.html)した.
平成21年度の活動としては4回の部門委員会研究会を開催した.下記の講演がなされ,いずれも多数の参加者により活発な討論が行われた.

平成21年度の研究会
第116回衝撃部門委員会研究会(参加者:13名)
日 時:平成21年 6月19日(金)14:00〜17:00
場 所:東京工業大学 すずかけホール セミナー室第一 
(1) 複合材料構造の衝撃吸収特性
日本大学理工学部 上田政人 
(2) 微細組織から観察する衝撃超高圧による物質変化
東京工業大学 応用セラミックス研究所 阿藤敏行
(3) 衝撃実験施設見学会

第117回衝撃部門委員会研究会(未来をめざす若手「衝撃」研究者の集い)(参加者:20名)
日 時:平成21年10月2日(火)14:00〜17:00
場 所:豊橋技術科学大学 豊橋駅前 サテライト・オフィス
(1) 軸圧縮を受ける板の塑性座屈後の挙動について 
−有効幅の概念に基づく検討を中心に− 
横浜国立大学大学院 工学研究院 尾崎伸吾
(2) 環境から水素を導入したアルミニウム合金の衝撃引張特性 
大阪大学 大学院 基礎工学研究科 堀川敬太郎
(3) 輸送貯蔵キャスクの落下試験の結果に基づく構造健全性評価 
三菱重工  高砂研究所 北田明夫 
(4) 電磁シーム圧接とその変形シミュレーション
長野工業高等専門学校 機械工学科 宮崎 忠
(5) 冷間鍛造用鋼のひずみ速度依存性とミクロ組織変化
神戸製鋼所 技術開発本部 材料研究所 増田智一 

第118回衝撃部門委員会研究会(複合材料部門委員会,日本複合材料学会関西支部共催)(参加者:46名)
日 時:平成21年12月18日(金)13:00〜17:30
場 所:日本材料学会大会議室
(1) 自動車搭載用FRP製クラッシュボックスの開発
京都工芸繊維大学 横山敦士
(2) 超高速時間分解計測でみる衝撃状態のミクロダイナミクス
東京工業大学 中村一隆 
(3) CFRP構造の衝撃荷重同定と構造ヘルスモニタリング
産業技術総合研究所 津田 浩
(4) 複合材破壊の高時間分解能観察
島津製作所 草野英昭

第119回衝撃部門委員会研究会 + 部門賞授与式(参加者:20名)
日 時:平成22年 3月16日(火)14:00〜17:00
場 所: 島津製作所関西支社マルチホール 
(1) 平成21年度衝撃部門委員会 部門賞 授与式
(2) 【功労賞受賞記念講演】
“学びはじめ”と“学びほぐし”
東京工業大学名誉教授,東京工業高等専門学校名誉教授 松本浩之 
(3) 【業績賞受賞記念講演】
衝撃問題に携わって
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 教授 伊達秀文 
(4) 【奨励賞受賞記念講演】
ホプキンソン棒法を用いた生分解性プラスチックの衝撃圧縮特性評価
名古屋工業大学 大学院 機能工学専攻 准教授 西田政弘
 研究会以外の活動として,平成21年11月13日(金)には,東京理科大学 神楽坂キャンパス森戸記念館で「第8回衝撃工学フォーラム」を開催し,46名の参加者があった.次年度も引き続きフォーラムを開催する予定である.委員は平成22年2月現在,97名(うち法人委員9名)で,運営分担金として法人20,000円,個人2,000円を納入して頂いている.年度始めには,前年度の委員会の講演資料集を委員全員に配布している.衝撃問題に関心のある方々のご参加をお待ちしている.
強度設計・安全性評価部門委員会
 機械,構造物には,その機能面に対する要求(例えば省エネルギー,環境適合,性能等)と共に強度と安全性に対する保証が強く求められることは,昨今の様々な損傷事例,殊に人身事故を伴った事例の報告からも明らかである.また,報告されないまでも様々な損傷事例を設計者や製造者は経験し,その対策を行う時に判断資料が不十分であることも経験していることと思われる.更に,関連する事柄に対する経験者の話は非常に役立つ場合がある.このような機械と構造物に関する安全の問題を議論する場として本部門委員会は活動している.機械や構造物の経年変化による材料劣化や予想外の外力,あるいは結果的に人為的な間違い等が原因で損傷や事故が発生している.特に強度設計とその評価は経験的なことがらも含むことから,学理と実機の情報を総合的に議論することは重要である.
 本部門委員会では,材料強度,振動・応力解析,実機の強度評価,事例解析などに関する話題を取り上げて議論し,また,研究成果の報告としてのシンポジウムを二年に一回開催している.
 平成21年度は実例を中心にして,関連する要素技術の研究等に関して討論を実施した.具体的には1) 最新の高周波焼き入れ技術,2) トロイダルCVT,3) ガスタービン翼振動強度設計,4) 人工股関節用PEEK樹脂CFRPの微少滑り疲労強度のテーマに関して議論した.また,第12回「機械,構造物の強度設計・安全性評価に関するシンポジウム」を平成22年2月25日(木)に日本材料学会会議室で開催した.
 本部門委員会の活動は地味であるが,機械・構造物の破損事故を未然に防止することにつながると確信しています.ご関心をお持ちの会員諸氏のご入会をお待ちしています.
分子動力学部門委員会
 分子動力学部門委員会は平成6年(1994年)8月に理事会承認を得て発足した.「分子動力学」は,狭義には物質系を原子/分子モデルとして表現し,その力学応答ならびに構造を動力学法則に従って追跡するシミュレーション手法を指す.しかしながら,現在の分子動力学部門委員会の活動は,そのような狭義の領域にとどまることなく,従来の材料研究を一歩掘り下げてミクロな視点から捉えようとする研究者や,マルチスケール・トランススケール的な見方を通じてマクロ特性を予測しようとする研究者なども集い,計算・実験,ミクロ・マクロの枠を超えた領域横断的なものを目指している.設立時の理念「材料工学の広い分野において,物質系の特性を原子/分子レベルの構造とその挙動を考慮したミクロな視点から明らかにするため」「計算機シミュレーションを中心とした研究分野の発展を目的とし,従来の研究分野の垣根にとらわれず,様々な分野における横断的な情報交換の場となることを目指す」が,十余年を経た現在,色褪せるどころかますます重みをましており,国際的な材料研究の趨勢にも合致している.その具体的なテーマは多岐にわたり,たとえば
第一原理分子静力学/動力学による物性予測
実空間第一原理計算手法の開発
原子間ポテンシャルの作成・評価,ハイブリッドポテンシャル等の高速化手法の提案
並列計算などのソフトウェア技法,数値解法
モンテカルロ法,セルオートマトン
原子構造最適化,反応座標解析,鞍点解析
時間・空間マルチスケール分子動力学や準連続体法,均質化法
個別要素法,転位動力学法,粒子法,フェーズフィールド法
非線形力学,カオス
マイクロマシン,ミクロスケールの各種現象の実験計測
 などがある.いずれも,従来の研究分野のカテゴリーにとらわれず,積極的に情報を交換し相互交流を深め,この研究分野の発展を図ることを目的としている.また,気鋭の若手研究者の活躍が目覚ましく,毎回の委員会では常に新しいトピックが議論の対象となっているのも大きな特徴である.
 第58期(平成21年度)は,まず5月22日に愛媛県県民文化会館にて,日本材料学会総会の部門企画併設行事として第14回分子動力学シンポジウム・第57期第5回部門委員会(公開)を開催した.第57期に引き続きポスター発表のセッションを設け,口頭発表18件,ポスター発表18件と盛会にて終了した.優秀講演に対し,以下のとおりMD賞とMD部門若手奨励賞を授与した.
• MD賞
君塚 肇(大阪大学)
「有限温度におけるα鉄中の水素挙動の量子ダイナミクス解析」
• MD部門若手奨励賞
牛田裕己(大阪大学)
「メタダイナミクス法による材料中の熱力学的局所安定性の評価」
春別府佑(大阪大学)
「金属表面および界面からの原子レベル不安定変形解析」
 また,9月7,8両日に東京大学にて「第6回ノートパソコンで出来る原子レベルのシミュレーション入門講習会 〜分子動力学計算と電子状態計算〜」を開催した.第55期から導入しているパソコンによる実習形式を今年度も踏襲し,参加者22名の盛会となった.
 本期はこれまでに北陸信越支部との共催部門委員会,計算材料科学分野での教育をテーマにした公開部門委員会を含む4回の部門委員会を開催し,部門内外の講師に講演いただくなどして,活発な討論・意見交換を行った.
第1回(7/3,金沢大学)
※北陸信越支部との共催
「高速AFMによる生体分子挙動のその場観察」
安藤敏夫 氏(金沢大学)
「拡張アンサンブル法によるナノシミュレーション 〜蛋白質分子の立体構造予測〜」
岡本祐幸 氏(名古屋大学)
「TEMナノインデンテーション法による転位と粒界相互作用のその場観察」
大村孝仁 氏(物質・材料研究機構)
「原子シミュレーションによる転位と粒界の相互作用とその粒界構造依存性」
下川智嗣 氏(金沢大学)

第2回(9/17,岩手大学)
「生体分子の分子動力学シミュレーション:ハードウエア構築,ソフトウエア開発と高速化,いろいろな応用」
斎藤 稔 氏(弘前大学)
「微生物溶液のバイオメカニクス」
石川拓司 氏(東北大学)

第3回(11/27,名古屋大学)
※公開部門委員会
「大学院GP「大学連合による計算科学の最先端人材育成」の活動報告」
賀谷信幸 氏(神戸大学),青柳 睦 氏(九州大学)
長尾秀実 氏(金沢大学)
村田健史 氏(愛媛大学,現:情報通信研究機構)
「質の高い大学教育推進プログラムにおける一授業(材料試験・CAE・分子シミュレーション教育)の紹介」
石鍋雅夫 氏(中部大学),岡崎明彦 氏(中部大学)
佐伯守彦 氏(中部大学),細川健治 氏(中部大学)
「金沢大学の計算科学を冠した学部・大学院教育の紹介」
小田竜樹 氏(金沢大学)
「計算理工学専攻での教育の紹介」
大野信忠 氏(名古屋大学)

第4回(12/22,東京大学 生産技術研究所)
※第58期分子動力学部門幹事会を併設

さらに,5月21には札幌コンベンションセンターにて第58期第5回部門委員会(公開)を開催する予定である.

本部門委員会は,次世代を担う若手研究者・技術者が集っていることも大きな特徴のひとつである.老若男女問わず様々な分野の学生・研究者・技術者の参加を期待する.正会員・賛助会員ともに,参加ご希望の方は下記のメールアドレスまで.
e-mail:md@md.jsms.jp
URL:http://md.jsms.jp/
マイクロマテリアル部門委員会
 半導体素子の微細加工技術と機械工学を結集したMEMSは,航空・宇宙から携帯電話やビデオゲームなど広い分野の基盤技術であり,新しい産業分野として世界的に活発な研究・開発競争が行われている.
 このMEMS研究において,微小機能機械要素や加工技術についてはかなりの研究が行われているが,今後の発展には新たなMEMS用微小材料の開発とともに耐久性と信頼性および総合的なMEMS機能の計測・評価および設計に必要な材料定数データーベースが求められている.この材料は従来のバルクの材料定数ではなく,材料寸法がµmからサブµmと微小かつ薄膜製造技術に基づく材料定数でもある.従って材料科学,加工法,評価法等を含んだ総合的な立場からの製造・加工技術も含めて検討する必要がある.
 この機能材料はカーボンナノチュウブやシリコン,純金属,合金などから金属間化合物,金属ガラスなどのナノワイヤーが電子部品に応用されはじめ,その微細化・複合化と新機能発掘・創生は日進月歩である.また,それらの製造・加工法や計測・評価法も同様である.しかし,これらのほとんどが世界的なコンセンサスを得ておらず,引張や曲試験法すらもここ数年に国際標準化されたものである.材料・機能の開発と実用化の今後の発展には計測・評価技術の系統的な整理と国際的なコンセンサスの確立が緊急の課題でもある.
 当マイクロマテリアル部門委員会は,以上に述べた理由から以下の5分野に重点を置いて活動を展開している.ここで言うマイクロマテリアル,マイクロエレメントとは,その最小寸法がマイクロメートルあるいはナノメートルオーダーのものを指し,寸法の微小化と薄膜製造方法に基づく未知の材料の問題点と機能を解明するとともに,その応用・展開の知識と可能性を研究することが目的である.

(1) 微小材料理論
  微小材料の製造理論,物性・強度評価に対する従来の材料力学や破壊力学の適用範囲,分子動力学法等のシュミレーション理論の適用研究
(2) 微小材料加工法
  スパッタリング,メッキ,マスキング,リソグラフィなどのプロセスと電子ビーム,集束イオンビーム (FIB)等の加工法の研究
(3) 微小材料計測法
  ナノインデンター,スキャニングプローブ顕微鏡,ラマン散乱,イオン顕微鏡,FESEMによるEBSDやEDX,微小材料試験機などの最新の試験・計測・分析手法および種々の試験環境境による影響,AFMナノフラクトグラフィなどの研究
(4) 微小材料評価法
  微小材料の計測法を用いた微小材料の機能・機械的特性や耐久性・剥離強度評価法,および材料特性のデーターの集積,設計基準等に関する研究
(5) 微小材料,マイクロエレメント応用技術
  微小材料の成型・集積・積層による機能と耐久性創製などによる実MEMSデバイスへの展開

の分野が研究対象となる.
活動は年2〜4回の委員会を開催し,上記5分野にまたがる話題提供と研究討論,研究設備見学を行っている.2009年度の委員会の講演内容を参考のため,下記に示しておく.

第43回委員会 
1 MEMS用マイクロ材料の耐久性評価
立命館大学 安藤妙子 氏
2 ピエゾインクジェット 高精細化,高密度化のアプ
ローチ
セイコーエプソン 酒井真理 氏
3 強ひずみ加工により作製した超微細粒Cuの繰り返し変形挙動
東京工業大学 藤居俊之 氏
4 東京工業大学 精密工学研究所 関連施設見学

第44回委員会
 第3回MEMS/MST用材料の問題点国際ワークショップ (The 3rd International Workshop on Materials Issues for MEMS/MST Devices) および第60回東京工業大学 精密工学研究所シンポジュウムと共催
1 Opening Address
Yakichi Higo
Tokyo Institute of Technology, Japan
2 Investigation of PDMS as MEMS material and microfluidics
Prof. Dr. Sekwang Park
Kyunpook National University, Koria.
3 Towards the Standardization of Mechanical Characterization Techniques for MEMS
João Gaspar and Oliver Paul, (MML),
University of Freiburg, Germany
4 Mechanical Properties in Nanoimprint Lithography Process
Hak Joo Lee,
Korea Institute of Machinery & Materials, Korea
5 Deformation and Fracture Modes of Metallic Multilayered Films
Guang-Ping Zhang, Yuan-Ping Li
Shenyang National Laboratory for Materials Science
Bin Zhang
Key Laboratory for Anisotropy and Texture of Materials of Ministry of Education, Northeastern University, Shenyang, P. R. China
6 Investigation of Deformation and Fracture at Small Scales
Oliver Kraft, Reiner Mönig,
Andreas Sedlmayr, Daniel Gianola,
Karlsruhe Institute of Technology, Germany
7 Study on Fatigue Damage of Micro/Nano Scale Silicon
Yoshitada Isono
Kobe University, Japan
 マイクロマテリアル研究は,材料の製造即ち組み立てであり,製造プロセスによっても同じ組成でも従来の材料学研究とは一線を画した新規の考え方,アプローチを必要とし,従来の材料学の常識を覆す新材料,新機能の発見にもつながる未知の分野でもある.また,計測・評価法も従来材料にも適用できる新たな手法が次々と提案されている他分野にも展開できる情報が得られる分野でもある.関心の向きは是非とも当部門委員会に参加されることを切望する.なお,部門委員会委員に対しての資料・通信費の負担はない.また,事務連絡,議事録送付等は原則として電子メールおよびホームページ (http://micromat.jsms.jp/)で行っている.
半導体エレクトロニクス部門委員会
 本部門委員会は1998年10月に発足し,大学,企業,公立研究所から多くの研究者が集まり半導体エレクトロニクス研究に関する活動を行っている.目的としては,半導体エレクトロニクスに関する研究を通じて学術的交流・人的交流を促進し,本分野の発展を図ることにある.
 福祉,高齢化,環境における様々な問題点を克服し,今後とも社会が発展していくためには高度情報化の実現が是非とも必要である.これらの高度情報化をハードウェアサイドから担うのが,大容量の情報を高速かつ簡便に処理できる電子機器・素子技術の発展である.これらの電子機器・素子はシリコン,ガリウム砒素など,多様な半導体のもつエレクトロニクスの発展によってより高性能化してきており,今後も更なる発展が期待されている.このなかで,半導体,金属,超伝導体,誘電体,磁性体などの電子材料の作製・加工・物性解析の研究が重要な役割を果たしているのはいうまでもない.
 このような半導体エレクトロニクス分野の材料に関する研究について,さまざまな学会での報告・討論がなされている.その中で本委員会では,幅広い材料に対する総合的な観点から自由な雰囲気で話し合える機会を与えてきた.とくに,バイオテクノロジーやナノテクノロジーの講演会と共催して新しい分野への取り組みを進めるような企画にも力を入れてきた.しかしながら,時代の流れがあわただしくなり,情報発信の源が各所にある現状から,委員会および研究会への参加者数が減少する傾向のあることも事実である.
 そこで平成17年度より,今後の材料学会における本委員会の特徴を際立たせ,活性化を図るための施策の一つとして,大学院生が参加しやすい形での研究会を企画し,大学院生に対して発表・参加を強く呼びかけている.大学院生は,実際上大学の研究室における研究成果の中核を担っているが,自分たちの専門以外のことになると思いのほか知らない.また学会に参加しても自分たちの専門分野のセッションにのみ出席し,専門外である材料についての発表には参加しない(というより,大きな学会では専門以外の分野に出席する時間的余裕がない).
 そこで,大学と専門の枠を越えて交流することで,人的かつ知的な融合を深めることができると考えるのである.また一般の研究者,技術者にとっても,このクラスの学生の講演は学術的に最先端であるとともに,研究に深く従事していることからより内容に密接しており,詳細かつ技術的な知識を得ることができる.他方大学院生にとっては,多くの研究者の意見を聞くことで自己の研究の意義を再認識し,論文の完成に向けての大きな指針を得ることができる.平成21年度には,さらに学生優秀講演賞と講演奨励賞を設けて若手研究者のモティベーションを高めることを目指し,また研究会ではチュートリアルの観点で分野の著名な研究者から招待講演をいただくことにした.
 これら新しい試みを含めた研究会は12月19日に大阪工業大学において開催され,招待講演として權田俊一氏(大阪工業大学教授)から「半導体レーザ・生い立ちと働きぶり」と題した有意義な講演をいただくとともに,一般講演として20件の発表があり活発な討論がなされた.
 また3名の学生優秀講演賞を授与した.
 今後,より多くの会員を得てそのご協力により特徴ある活動を目指してゆきたい.
生産科学部門委員会
 地球温暖化防止に向けた産業の取り組みが一層進む中,省エネ,省資源と持続可能な生産は,環境,情報,バイオ,ナノと共に現在の我が国の工業界におけるキーテクノロジーの一つである.本部門委員会は,生産を科学的に捉え,材料をキーワードに生産を取り巻く問題解決を研究目的として平成13年5月に設立された委員会である.
 我が国の生産に関わる技術は,戦後の復興並びにその後の発展に大きく寄与したことは言及するまでもない.しかし,現在は,経済構造変革による「ものづくり」の形態変化,研究開発から製品への問題,後継者育成や技術継承などの問題,次世代への生産戦略の欠落や学生の理科離れなど多くの指摘があり,今後の我が国のものづくりが危ぶまれている.21世紀における「ものづくり」について,その創成コンセプトの創出を主眼に,地球環境などを視野に入れて,「生産」の科学技術を発展させることが,我が国の経済を支え,社会の安定的発展には不可欠である.このような趣旨に基づき,生産科学部門委員会では,定例委員会,研究討論会などの活動を行っている.
 平成21年度の委員会活動として,以下に示す4回の研究討論会を行った.

平成21年度第1回生産科学部門研究討論会
(2009年6月26日)
∗ 工作機械の保守機能
ヤマザキマザック 執行役員
制御設計部部長 棚橋 誠 氏
∗ 森精機におけるモニタリングシステムの取り組み
森精機製作所 開発本部制御ソフト ハード開発部
西川裕一 氏
∗ 工作機械の監視・保全を支援する技術動向
オークマ  ソフト製品部 ソフトQC課 暮石雅巳 氏
平成21年度第2回生産科学部門研究討論会
(2009年9月29日)
∗ 鉄道におけるスケジューリング問題 −乗務員や車両の運用計画を中心に−
東洋大学 経営学部 経営学科 教授 今泉 淳 氏
∗ 我が国中小製造企業の生き残りのための生産管理システム
アスコット 代表取締役 森井義雄 氏
∗ 切出し・詰込み問題に対する最適化手法
大阪大学 大学院情報科学研究科 情報数理学専攻
准教授 梅谷俊治 氏
平成21年度第3回生産科学部門研究討論会
∗ 産学連携によるプラズマディスプレイ (PDP) の研究開発
大阪大学 大学院工学研究科 パナソニック共同研究講座
特任准教授 森田幸弘 氏
∗ システムデザイン・インテグレーション手法と次世代半導体デバイスのシステムデザインへの適用 −日本学術振興会 産学協力研究委員会 第177委員会での事例−
大阪大学 先端科学イノベーションセンター
准教授 岩田剛治 氏
∗ エコ・ナノ・バイオ境界領域の開拓を目指して
兵庫県立大学 大学院工学研究科 物質系工学専攻
教授 根来誠司 氏
平成21年度第4回生産科学部門研究討論会
(2010年1月15日)
∗ 持続可能なものづくりに向けたシナリオ研究
大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻
教授 梅田 靖 氏
∗ パナソニック電工におけるSCMの取組
パナソニック電工  IS企画部 工場 海外システムグループ
沖汐良和 氏
∗ 年産1億台を超えるHDD大規模量産に貢献する生産システム技術
 日立製作所 生産技術研究所 野中洋一 氏

いずれの討論会も,大学関係者だけでなく,産業界から多数の参加者があり,活発な議論が交わされた.また,上記討論会は他学会の研究分科会との共催としたため,産と学の垣根はもちろんのこと,学の中の枠をも超えて,日本のものづくりの現状に関する情報共有と意見交換ができたものと考える.
 平成22年度の委員会活動としては,引き続き,研究討論会など積極的な活動を計画している.特に,生産システムや今後の我が国のものづくりのあり方に関する研究テーマを中心に委員会活動を計画している.このような活動を通じ,技術者・研究者の人的能力を結集して,我が国のものづくりが抱える問題の解決に向けた具体策を提案できたらと考えている.当委員会への入会は無料のため,興味のある会員の方は是非入会をお願いしたい.
ナノ材料部門委員会
本委員会は2003年(平成15年)2月に発足した.

[設立の趣旨]
 近年のナノテクノロジーの進展にともない,ナノスケール領域における材料の特性に関する情報の必要性とともに,ナノスケールレベルにおいて活用され得る新しい材料の開発に対する要求が急速に高まっている.これらのニーズに応えるべく,ナノスケール分析を核とし,有機・無機・高分子化学,機械工学,金属工学および物質情報工学を中心に,ナノをキーワードとする材料に関する総合的な研究を推進することを目標として,本部門委員会が設立された.本委員会は,本学会員に広く門戸を開放し,ナノ材料全般にわたる最新の情報収集・情報交換の場を提供しようとするもので,関心ある研究者・技術者の参加を期待している.

2009年度(平成21年度)の委員会活動は以下の通りである.


2009年度 第1回(通算第12回)ナノ材料部門委員会講演会(2010年1月20日,京都大学桂キャンパス)
※ 京都大学グローバルCOE「統合物質科学」セミナーとの合同開催
New Developments in Capillary Electrophoresis for Metabolomics : Nanolitre-sampling and Multivariate Strategies for Biological Paradigms : Prof. Philip Britz-McKibbin
(Department of Chemistry, McMaster University, Canada)

2009年度 第2回(通算第13回)ナノ材料部門委員会講演会(2010年2月17日,京都大学桂キャンパス)
1) ありふれた物質の機能を融合して創るスマートハイブリッド材料:片桐清文(名大院工)
2) 生体に刺激を与える生体親和性セラミックスの創生にむけて:田中優実(九大院工)

第53回日本学術会議材料工学連合講演会
オーガナイズドセッション「ナノ材料の創製と解析」(セラミック材料部門委員会と共催)
2009年10月19日,20日 京大会館
基調講演: 梅谷重夫(京大化研)「イオン鋳型法による金属イオンの有機−無機ハイブリッド吸着剤」
一般講演:31件
ナノ材料の合成・プロセス,解析・分析,理論計算による評価,物性と機能に関する発表と質疑応答が行われた.
生体・医療材料部門委員会
 近年,医学・医療分野と材料科学・機械工学分野を結合した学際領域の研究が大きく前進し,生体機能に関する基礎的研究から患者の治療を中心にした臨床的な応用研究まで,多くの異なる専門領域にまたがる共同研究や研究交流が積極的に展開されている.整形外科,外科,歯科など医学分野では人工の置換材が用いられることが多くなってきた.また,X線透視,CT,MRIなどを用いた低侵襲治療の普及・開発に伴うX線透過性や非磁性などを有する医療器具,車椅子などの補助・福祉機材,義手・義足などの義肢装具等,生体・医療分野においてそれぞれの要求に合った材料開発や利用技術の確立の必要性が叫ばれている.
 これらの生体材料・医療材料については,比強度・比剛性に優れた材料,耐環境性に優れた材料,生体適合性に優れた材料,成形性に優れた材料など,多種多様な機能や特性が要求されるので,材料科学・医学・生物学・化学・機械工学などさまざまな分野の研究者,技術者を旬合した研究開発システムの構築が不可欠となっている.また,このような分野の材料は直接人間の生命に直結するので,十分な機能と高い安全性・信頼性を保証する必要があり,そのための技術の確立,ならびにその標準化に対する要求が一段と強くなっている.
 この部門委員会は,2004年4月に発足した比較的新しい委員会であり,このように「材料学」を共通の土俵にして,種々の分野の研究者・技術者が分野横断的に参集し,活発な学会活動を展開している点が本学会の一つの特徴である.とくに,本年度は,若手の研究者を中心として活動を活発化している.
 2009年度の活動は以下のとおりである.

1. 第58期学術講演会オーガナイズドセッション「生体・医療材料」
(2009年5月23〜24日,松山)
2. 生体・医療材料部門委員会例会・企業見学交流会
(2009年8月10日,岡山リサーチパーク)
「部門委員による研究紹介」
慶應義塾大学理工学部機械工学科教授  小茂鳥潤 委員
上智大学理工学部機械工学科助教  久森紀之 委員
金沢工業大学工学部航空システム工学科講師
田中基嗣 委員
慶應義塾大学理工学部機械工学科専任講師
宮田昌悟 委員
「日本ステントテクノロジーにおける研究開発の紹介」
日本ステントテクノロジー 山下修蔵 氏
「日本ステントテクノロジーおよび岡山県工業技術センターの設備見学会」
日本ステントテクノロジー,岡山県工業技術センター
3. 生体・医療材料部門委員会例会・研究交流会
(2009年11月5〜6日,金沢)
「金沢工大ものづくり研究所の新谷・加藤研究室におけるステムの超精密オーダーメイド加工に関する見学会」
金沢工業大学工学部機械工学科教授 加藤秀治 氏
「医用イメージングによる計算バイオメカニクス解析とその応用」
 金沢大学工学部人間・機械工学科教授  坂本二郎 委員
4. 第11回SAMPE先端材料技術国際会議・展示会オーガナイズドセッション「Bio and medical applications of advanced materials」
(2009年11月25〜27日,東京)
5. 第1回日本複合材料合同会議オーガナイズドセッション「生体・医療材料」
(2010年3月9〜11日,京都)  次年度からは,新たに部門内に若手研究者を奨励することを目的とした賞を設けることを企画している.本委員会の委員になるには,学会本部事務局に申し込まれるか,生体・医療材料部門委員会事務局までご連絡いただきたい.
金属ガラス部門委員会
 我が国では,これまで鉄鋼材料を中心とした社会基盤構造材料が多種多様な産業界の発展に多大な貢献を果たしてきた.今後さらなる産業界の持続的発展を維持するためには,超高強度材料,超長寿命材料や超軽量材料などの革新的先進構造材料の普及が必須である.現在,注目されている革新的先進材料の一つとして,我が国が最も世界的にリードし,かつ社会基盤構造材料として将来性の高い「金属ガラス」がある.
 本部門委員会では,「金属ガラス」を実用化するために必要な材料的・機械的特性の信頼性確保のため,基礎的な機械的性質(引張り・圧縮変形,曲げ・ねじり変形,破壊靭性,疲労特性,腐食,衝撃特性など)の理解や,材料科学の分野で精力的に研究されているガラス形成能に関する知見との融合を計り,金属ガラスの材料・機械的特性の体系化を目的とする.今後,本部門委員会が取り組む重点的研究課題として,以下の2つを掲げる.

(1)金属ガラスの構造材料としての信頼性確保に向けた課題研究
(2)金属ガラスの実用化のための課題研究

これらの課題研究進展を目標に,本部門委員会では以下の4つの事業を展開する.
(1)金属ガラスに関する材料特性・機械特性の調査および研究
(2)金属ガラスに関する研究討論会,見学会,シンポジウム,講演会および講習会
(3) 金属ガラスに関する研究成果の公表
(4) その他,金属ガラスに関する啓発のための事業等

本部門委員会は,2007年1月19日に第1回委員会を開催し,本部門委員会の方針について討議し,活動を開始した.
2009年度に行った活動は,以下の通りである.

 2009年6月3日(水)京都工芸繊維大学で開催された粉体粉末冶金学会における「金属ガラスの最近の研究」と題された講演特集では,本部門委員会の松原英一郎(京大),渋谷陽二(阪大),東 健司(大阪府大)らが招待講演者として招かれ,本部門が取り組む研究について講演し,本部門活動の広報に大いに貢献した.
 第8回定例研究会を,2009年6月19日に大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(堺市)で開催した.この研究会では,三重大学吉川高正准教授による「金属ガラスの基本的力学特性」に関する講演があった.特にせん断変形によって金属ガラスの圧縮延びが誘起される研究成果など,多くの議論がなされた.それ以外にも,金属ガラスの粘性挙動の精密な解析や,構造緩和などについても議論がなされ,全部で3つの講演が行われ,極めて有意義な議論がなされた.
 第53回日本学術会議材料工学連合講演会では,「金属ガラスのメタラジーとメカニクス」という課題で,微視構造と緩和,内部微細構造と変形能,強度と変形,せん断帯などのテーマについて,米国ベル研究所のH. S. Chen博士による基調講演「Multi-Structural Relaxations and Dynamics of Metallic Glasses in the Sub and Glass Transition Region」を含む13件の講演がなされ,活発な議論が行われた.ここでの議論を受けて,構造緩和についての議論をさらに深めるために,第9回定例研究会を平成21年11月23日(月)に仙台で開催した.講演は,招待者であるH. S. Chen博士に加え,松原英一郎(京大),渋谷陽二(阪大),向井敏司(物材機構),才田淳治(東北大)らが金属ガラスに関する様々な話題を提供する形で,8時間以上にわたり議論が行われた.
 本年度は,これらに加え,金属ガラス小特集を実施した.ここでは,実用化への問題点の洗い出しを目的に,変形破壊挙動についての研究成果をまとめた.
 本部門委員会は,このような活動を通して金属ガラスの材料特性とメカニクスに関する活発な議論の場を提供し,できるだけ多くの人にその問題点を明らかにし,解決に向けた取り組みを促進させたいと考えている.金属ガラスの構造材料としての信頼性確保や実用化に興味がある数多くの方々の積極的な参加を期待している.なお,本委員会への問い合わせは,事務局まで申し出ていただきたい.

 なお,現在の本部門委員会の委員長および運営委員会メンバーは以下の通りである.
  委員長:松原英一郎(京都大学工学研究科)
  運営委員会委員:
    向井 敏司 ((独)物質・材料研究機構新構造材料センター,庶務幹事(編集担当))
    市坪  哲 (京都大学工学研究科,庶務幹事(将来構想・企画事業担当))
    渋谷 陽二 (大阪大学工学研究科)
    中井 善一 (神戸大学工学研究科)
    早乙女康典 (東北大学金属材料研究所)