「地盤改良に関わる技術認証制度」による評価証明技術の更新認証のご紹介

技術認証制度について

日本材料学会では「技術認証制度」を行っています。本制度は材料学に関する広範な技術について、本学会としての客観的な立場から個別技術を公正かつ厳正に評価し、所定の基準を満足する技術についてはこれを本学会として認証し当該技術の社会への応用を支援することで材料学の進歩に寄与することを目的としたものです。
現在、地盤改良部門委員会を中心に「地盤改良に関わる技術認証制度」を行っています。なお、本制度により評価証明された技術は、依頼者の要望があれば、認証期間(5年間)における利用実績等の審査を実施し、その有効期間を更新(延長)することができます。

[地盤改良に関わる技術認証制度]

本認技術認証制度は、「技術、工法について公正かつ適正に評価することで技術開発の活力の向上をはかり、それらの建設現場への迅速な活用普及をはかり、もって技術水準の向上に資する」ことを目的としています。技術評価証明の対象は、@地盤改良技術に関わる新素材、新材料 A地盤改良に関わる技術または工法 B汚染地盤の診断技術、汚染地盤修復材料 C廃棄物の地盤材料としてのリサイクル技術 です。

石膏系中性土質改良材「ジプサンダー」
(技術評価第1009号)

更新認証された評価証明技術

技術名称:  石膏系中性土質改良材「ジプサンダー」
依 頼 者:  石原産業株式会社
認 証 日:  平成21年8月17日
令和元年8月17日(第2回更新)

開発の趣旨

硫酸法酸化チタン製造過程で発生する副産物(硫酸鉄溶液)を有効利用し、石膏系中性土質改良材「ジプサンダー」を開発した。従来の中性土質改良材には無機系固化材、植物繊維系固化材、高分子系固化材などがあり、これらの多くは物理的に吸水して見掛けの状態を改善するだけのものであった。また、化学的に結晶中に水を取り込んで強度を上げるものであっても、材料自体のpHがアルカリ性のために改良土のpHも改良直後はアルカリ性を呈しており、改良土の利用状況によってはpHが中性まで戻らないものもあった。さらに、ジプサンダーと同様に石膏を主成分としたものであっても、原料となる石膏の種類によっては、材料自体からふっ素が環境基準を超えて溶出する場合がある等の問題があった。本開発においては、建設工事等で発生する泥土や軟弱土に対して短時間で適度な強度を発現可能で、原土のpHを大きく変化させることなく土質改良できる環境負荷の低減が可能な材料の提供を目的とした。

開発の目標

  1. 泥土や軟弱土に対して所定の添加量のジプサンダーを混合することにより、第2種改良土〜第4種改良土に改良できること。
  2. 改良土のpHが原土に対して大きな変化がないこと。
  3. 有機物を含む底質土等を改良する際、改良土からのアンモニアガスの発生を抑制できること。
  4. ジプサンダーまたはジプサンダーで処理した改良土から六価クロム、ふっ素が環境基準を超えて溶出しないこと。

技術評価

技術評価委員会により、評価証明の方法に照らして評価した結果、「ジプサンダー」は開発目標に相応する性能を有することが証明された。詳細については、同技術の技術評価証明報告書に記載されている。

重金属吸着不溶化材「フィックスオール」
(技術評価第1010号)

更新認証された評価証明技術

技術名称:  重金属吸着不溶化材「フィックスオール」
依 頼 者:  石原産業株式会社
認 証 日:  平成21年8月17日
令和元年8月17日(第2回更新)

開発の趣旨

硫酸法酸化チタン製造過程で発生する副産物(硫酸鉄溶液)を有効利用し、重金属吸着不溶化材「フィックスオール」を開発した。従来の重金属等不溶化技術にはセメント等の固化による不溶化やキレート樹脂による不溶化等があり、不溶化の効果は認められるものの不溶化後の土壌がアルカリ性を呈したり、不溶化可能な重金属等の範囲が限定される等の問題があった。本開発においては、重金属汚染土壌または汚染地下水や工場排水に対して、pHが中性域で安全且つ容易に吸着・不溶化が可能な材料を提供し、環境汚染の低減を目的とした。また、掘削除去される汚染土壌に対しても処分場への搬出時や搬入後の安全性確保の観点から、安価で高性能な重金属不溶化材を提供することを目的とした。

開発の目標

  1. 汚染地下水や工場排水・汚染土等に含まれる砒素(有機砒素を除く)、セレン、カドミウム、鉛を吸着・不溶化することにより、汚染水の濃度または土壌溶出量を環境基準以下にすること。
  2. フィックスオールから有害重金属等(砒素、セレン、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、ふっ素、ほう素)が土壌環境基準を超えて溶出しないこと。

技術評価

技術評価委員会により、評価証明の方法に照らして評価した結果、「フィックスオール」は開発目標に相応する性能を有することが証明された。詳細については、同技術の技術評価証明報告書に記載されている。

酸化鉄系VOCs分解材「MT-V3」
(技術評価第1011号)

更新認証された評価証明技術

技術名称:  酸化鉄系VOCs分解材「MT-V3」
依 頼 者:  石原産業株式会社
認 証 日:  平成21年8月17日
令和元年8月17日(第2回更新)

開発の趣旨

硫酸法酸化チタン製造過程で発生する副産物(硫酸鉄溶液)を有効利用して生産される酸化鉄「MT-V0」に、金属鉄粉を配合することによりVOCs等分解材「MT-V3」を開発した。従来のVOCs分解技術には金属鉄粉による還元分解や過酸化水素による酸化分解等があり、分解の効果は認められるものの分解後の土壌から赤水が発生したり、分解効果が一時的なものにとどまる等の問題があった。本開発においては、VOCs等汚染土壌または汚染水に対してpHが中性域で安全で且つ容易に分解が可能な材料を提供し、環境汚染の低減を目的とした。また、掘削除去される汚染土壌に対しても処分場への搬出時や搬入後の安全性確保の観点から、安価で高性能なVOCs等分解材を提供することを目的とした。

開発の目標

  1. 汚染地下水・工場排水に含まれるVOCs(四塩化炭素、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン)を分解すること。
  2. 汚染土壌に含まれるテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレンを分解すること。
  3. MT-V3から有害重金属等(砒素、セレン、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、ふっ素、ほう素)が土壌環境基準を超えて溶出しないこと。

技術評価

技術評価委員会により、評価証明の方法に照らして評価した結果、「MT-V3」は開発目標に相応する性能を有することが証明された。詳細については、同技術の技術評価証明報告書に記載されている。

問合せ先

公益社団法人 日本材料学会(TEL:075-761-5321  FAX:075-761-5325 E-mail:jimu@jsms.jp
石原産業株式会社四日市工場(TEL:059-345-6190  FAX:059-345-6138 E-mail:y-hirai@iskweb.co.jp