pH調節型現場作液システムによる特殊シリカ系薬液注入技術
(技術評価第1018号)

新規認証された評価証明技術

技術名称:  pH調節型現場作液システムによる特殊シリカ系薬液注入技術
依 頼 者:  大成建設株式会社
東興ジオテック株式会社
株式会社立花マテリアル
認 証 日:  令和2年6月30日(認証期間5年間)

開発の趣旨

地盤の液状化対策・止水対策で広く普及が進む薬液注入工法において,良好な地盤改良効果を得るためには,適切な注入施工に加えて,想定性能を確保した注入材の製造が必要になる。特に,注入材が固化に至るまでの時間(ゲルタイム)は注入の良否を左右する重要な性能であり,その制御には注入材pHを指標とした適切な現場作液管理が求められる。一方,水ガラス系のアルカリ性主材と硫酸系の酸性反応材からなる注入材を対象に,目標pHを確保しながら現場での作液にあたる際,以下のような課題があった。
課題@ 硫酸系酸性反応材のごく少量の差によって,注入材のpHが大きく変動する。
課題A 従来の示方配合に基づく「定量混合」では,注入材構成材料の品質変動や作液に使用する水の水質変動などに起因して,注入材pHが必ずしも目標通りの値とならない。
課題@に対しては,緩衝作用を持つ酸性反応材の使用が対応策となるが,硫酸系材料に比べて高価になる欠点があった。課題Aに対しては,作液結果に基づく配合修正が対応策となるが,見直しに手間と時間がかかる上,修正配合においてもpHのばらつきが生じうる欠点があった。製造バッチごとに注入材pHを監視・調節することも対応策となるが,一般的なプラントではこうした作業をすべて人手に頼らなければならなかった。
これらの背景・課題を踏まえ,酸性反応材に硫酸系材料のみを使用することを念頭に,定量混合を前提とした現場作液プラントに代わるpH調節型現場作液システム,および本システムで作液対象となる特殊シリカ系注入材を開発した。

開発の目標

  1. 作液中の構成材料投入量と注入材pHの推移をリアルタイムで計測・表示しながら,注入材pHを迅速・適切に調節できるよう,先行投入した酸性溶液へのアルカリ溶液投入量・速度を調整できること。
  2. 施工条件に応じて設定する注入材pHを確保した作液が,1バッチ約800Lあたり15分以内の作液時間で実施できること。
  3. 本作液システムで用いる特殊シリカ系注入材について,既存注入材と同水準の耐久性と,豊浦砂を用いた固結砂の一軸圧縮強さで100kN/m2以上が確保できること。

技術評価

技術評価委員会により,評価証明の方法に照らして評価した結果,「pH調節型現場作液システムによる特殊シリカ系薬液注入技術」は開発目標に相応する性能を有することが証明された。詳細については,同技術の技術評価証明報告書に記載されている。

問合せ先

公益社団法人 日本材料学会(TEL:075-761-5321 FAX:075-761-5325 E-mail:jimu@jsms.jp
大成建設株式会社(TEL:045-814-7217 FAX:045-814-7258)
東興ジオテック株式会社(TEL:03-3456-8751 FAX:03-3456-8752)
株式会社立花マテリアル(TEL:048-949-2101 FAX:048-949-2102)