部門・研究委員会

本学会には,以下の部門委員会があります.


☆☆部門委員会制定の賞☆☆

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部門・研究委員会名

委員長(所  属)

活動報告

疲労部門委員会

星出敏彦(京都大学)

高温強度部門委員会

岡崎正和(長岡技術科学大学)

PC構造部門委員会

六車 熙(京都大学名誉教授)

X線材料強度部門委員会

秋庭義明(名古屋大学)

腐食防食部門委員会

杉江他曾宏(兵庫県立大学)

地盤改良部門委員会

嘉門雅史(京都大学)

木質材料部門委員会

湊 和也(京都府立大学)

塑性工学部門委員会

吉田総仁(広島大学)

岩石力学部門委員会

大西有三(京都大学)

コンクリート工事用樹脂部門委員会

宮川豊章(京都大学)

極限環境部門委員会

上野正勝(同志社大学)

コンクリート用骨材部門委員会

西林新蔵

コンクリート用混和材料部門委員会

児島孝之(立命館大学)

複合材料部門委員会

澤田吉裕(大阪市立大学)

フラクトグラフィ部門委員会

村田雅人(大阪大学)

信頼性工学部門委員会

酒井達雄(立命館大学)

セラミック材料部門委員会

中平 敦(大阪大学)

破壊力学部門委員会

服部敏雄(岐阜大学)

高分子材料部門委員会

長谷川喜一(大阪市立工業研究所)

衝撃部門委員会

横山 隆(岡山理科大学)

強度設計・安全性評価部門委員会

堀川 武(龍谷大学)

分子動力学部門委員会

中谷彰宏(大阪大学)

マイクロマテリアル部門委員会

中井善一(神戸大学)

半導体エレクトロニクス部門委員会

藤田静雄(京都大学)

生産科学部門委員会

座古 勝(大阪大学)

エネルギー・環境材料部門委員会

石原慶一(京都大学)

ナノ材料部門委員会

大塚浩二(京都大学)

生体・医療材料部門委員会

井上 望(同志社大学)


《材料学会概要》 
《事務局紹介》 《入会案内》 

部門担当者ページ
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疲労部門委員会
(1)委員会の沿革と活動内容
本委員会の設立は,本学会の前身である日本材料試験協会創立の翌年,昭和28年5月であり,本学会で最も長い歴史を有している.委員会設立以来,既に半世紀を経て,委員も設立当初の30名足らずから,現在では250名を超え,本学会において最大の委員会に発展してきている.
本委員会では,疲労事故の防止と疲労問題の解決に向けて,大学・研究所のみならず,設計の現場において疲労の問題に携わっている幅広い関係諸氏が多数参加され,活発な活動を行っている.活動内容としては,既存の材料のみならず新素材も含め,それらの疲労現象の本質や疲労破壊の機構に関する基礎的研究から,現場における疲労設計技術の開発に関する応用的研究に至るまで,広範な疲労に関する課題を取り上げて情報交換を行うとともに,社会的ニーズにも応えうるような活動を行っている.原則として年5回開催している委員会では,委員会運営や疲労研究に関する諸事項を審議するとともに,最近の話題を取り上げた研究討論会を企画している.また,企業や研究所等における関連施設の見学も随時実施している.なお,本委員会委員以外の方でも,本委員会の研究討論会(演題は本学会の当委員会ホームページhttp://fatigue.jsms.jpで閲覧可能)で配付された資料の入手を希望される方は,本学会事務局にその旨を申し出ることによって,有償で入手できることを付記しておく.
(2)本委員会への加入方法
新委員の委嘱にあたっては,幹事会の議を経て,委員会に諮って承認を得ることになっている.原則として,本委員会委員の推薦によるが,加入希望者は所属・連絡先等を明記した文書により本学会事務局宛に直接申し出られてもよい.ただし,本委員会の委員となるには本学会の正会員または賛助会員でなければならない.また,資料費(委員会費)として,大学・官公庁・企業等から個人委員として加入される場合は年間1,500円を,企業から法人委員として加入される場合は年間25,000円を,それぞれ納入していただくことになっている.
(3)本委員会による企画事業
○疲労シンポジウム
本学会の破壊力学部門委員会と協調し,隔年開催で「疲労シンポジウム」を企画している.なお,疲労シンポジウムを開催しない年には,同じく本学会の強度設計・安全性評価部門委員会と共催で「機械・構造物の強度設計・安全性評価シンポジウム」も実施している.また,疲労シンポジウムでは,特に若手研究者の今後の更なる活躍を奨励するため,当該年度末で37歳未満のシンポジウム講演者のうち審査により優秀と認められた方に「優秀研究発表賞(学術分野,技術分野)」を授与している.詳細については上記ホームページにも掲載しているが,同賞への応募者から講演論文の事前審査により候補者を厳選し,さらに最終的な講演発表の審査を経て,5名程度の受賞者を決定している.授与式は,シンポジウム開催の翌年3月の疲労部門委員会にて行い,受賞者には賞状ならびに副賞として盾を授与している.
○疲労講座
疲労問題に関する啓蒙と疲労の基礎的知識を広く普及することを目的とし,疲労講座を年1回開催している.併せてその時々のトピックスや開催地での地域性も織り込んで,多彩な企画を行い,毎回好評を博している.
○初心者のための疲労設計講習会
本講習会は,疲労問題に直面している若手技術者,あるいはこれから直面すると予想される技術者を対象に企画したものである.本講習会では,疲労の基本現象から実際の設計手法に至るまでの基礎をできるだけわかりやすく講述し,また演習も実施することにより,基礎的な疲労設計について修得いただけるようにしているので,積極にご参加願いたい.
○通常総会・学術講演会併設行事
本学会の通常総会・学術講演会の併設行事として,関連部門委員会とも連携を取りながら公開研究討論会,あるいは学術講演会ではオーガナイズド・セッションやフォーラムも企画担当し,学術講演会活性化に対しても積極的に貢献している.
(4)分科会活動
本委員会には,特定のテーマを集中的に討論できる場を提供するため,分科会を設置している.現在「疲労過程における組織構造変化に関する研究分科会」,「エネルギー・環境負荷低減システム強度研究分科会」,「表面改質材強度研究分科会」および「高輝度放射光による疲労損傷評価技術研究分科会」が設置され,それぞれの研究テーマを中心に活発な活動が推進されている.
(5)出版等事業
○一般図書
本委員会が中心となってこれまでに出版してきた主な書籍としては,「疲労試験便覧」,「金属の疲労」,「金属材料疲労設計便覧」,「CJMR Vol. 1, Current Research on Fatigue Cracks」,「CJMR Vol. 2, Statistical Research on Fatigue and Fracture」,「CJMR Vol. 14, Cyclic Fatigue in Ceramics」,「疲労設計便覧」,ならびに最新刊として「初心者のための疲労設計法」がある.また,後述のデータベースに基づいて「金属材料疲労強度信頼性設計資料集」も発行している.さらに,昭和30年から平成13年にかけて約50年分に及ぶ「材料の疲労に関する研究の趨勢」を,本委員会に設置した編集委員会が中心となって毎年編集・刊行してきた.この書籍の特徴としては疲労研究内容の歴史的推移が明確に把握できるだけでなく,疲労研究の実施に際して関連情報を容易に入手できるというデータベース的な役割も果たしてきた.本書についてはバックナンバーがあるので,疲労研究の動向にご関心のある方は是非これらをご活用いただきたい.
○データベース
本学会の信頼性工学部門委員会による協力のもとで昭和57年に「金属材料疲労強度データ集」(Vol. 1〜Vol. 3) を,平成4年には「同データ集」のVol. 4とVol. 5を,さらに昭和58年には「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」(Vol. 1およびVol. 2)を,それぞれ出版した.これらのうち疲労強度データ集に収録されたデータについては,本委員会に設けられたデータベース管理委員会がその後デバッグ作業を精力的に行い,データ内容の信頼度を大幅に向上させた.それらの成果は,既刊のVol. 1〜Vol. 5を再編集した 「Databook on Fatigue Strength of Metallic Materials」(Vol. 1〜Vol. 3) としてまとめられ,平成8年に本学会とエルゼビア社による共同出版を行った.これにより,頒布も国内のみならず広く海外にも向けて開始し,好評を博している.なお,上記「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」は完売したため,その復刻版を作成し,併せてその頒布価格も求めやすく改定した.また,セラミックス強度に関して収集したデータをもとに,「Ceramics Strength Database」(Vol. 1) も刊行している.なお,上記のいずれのデータ集についても,それに収録された全データはコンピュータ可読のデータベース化がなされており,電磁気媒体による頒布も実施していることを付記する.本件の詳細については,前述の当委員会ホームページで閲覧できるので,そちらをご参照されたい.
○学会標準
本学会の創立50周年記念事業の一環として学会標準の策定も行った.本委員会としては,平成13年に「圧子圧入法によるセラミックスの残留応力測定法」を,また信頼性工学部門委員会と共同で平成14年には「金属材料疲労信頼性評価標準 −S-N曲線回帰法−」をそれぞれ発刊している.なお,後者については改訂版を発行した.多くの方々にご利用いただき,これらの標準に対して貴重なご意見等を賜りたい.
 
高温強度部門委員会
本部門委員会は,学会の設立とほぼ時を同じくして活動を開始し(1954年2月),今年で50年目を迎えた.当初本部門委員会の名称は「クリープ部門委員会」であったが,テーマを広げクリープに限らず高温疲労,熱疲労など高温強度全般にわたる問題を扱うことになり,1959年より名称を「高温強度部門委員会」と改め,今年度には設立50周年を迎えた.この間,日本を代表する多くの研究者を輩出し,まさに日本における高温強度研究のリーダー的研究会としての役割を果たしてきた.これを記念し,2005年1月18日(火)には,キャンパスプラザ京都において,記念講演会と記念祝賀会を挙行した.この記念講演会には学会会長,歴代部門委員長,歴代委員,現部門委員を始めとする総勢百余名の参加を頂き,全員一丸となって将来に向けたロードマップを討論した.
最近の高温強度に関する研究は,材料のミクロ組織と機械的性質,非弾性挙動の力学,き裂・損傷の発生・進展の予測および非破壊検査技術など,それぞれの研究分野の高度化に加えて,複数分野の横断型あるいは境界型の研究が強く要求されている.また,社会に役立つ研究と学術的に価値ある研究の両立が要請されており,研究ロードマップを明確にして,今後の研究の方向付けを行う時期に来ている.例えば,発電機器で代表される高温エネルギー機器を例に取ると,従来のクリープ設計から,熱疲労設計,クリープ疲労設計へのニーズの変化があり,高効率化に対応するための耐熱材料の開発や,余寿命評価法技術の高度化,非弾性解析の適用や非弾性破壊力学の高度化,超耐熱合金や複合材料,および,コーティング応用技術など,ニーズおよびシーズの両面から,高温強度に関する課題が提起されてきた.電子材料などの小さな構造物・要素に対しても同様の状況にある.さらに最近では,地球との共生・適合という新たな時代的要請にも配慮すべき状況になっている.このような状況に鑑み,現在,部門をあげて「高温強度の基礎・考え方・応用」と題した著書(分2冊,全10章の予定)の編集・執筆を進めており,2005年秋に出版(日本材料学会出版)予定である.この著作は,大学研究者,企業研究者,大学院学生などを始めとする幅広い方々を啓蒙するものと信じている.
本部門委員会の共同研究活動として,1970年より次のようなワーキンググループ活動を実施してきた(括弧内は設置年).
(1) 熱応力と熱疲労 (1970),(2) 高温用材料の組織と強度(1970),(3) 高温疲労試験のあり方 (1982),(4) 非弾性解析法(1982),(5) 高温疲労破損のクライテリオン (1986),(6) 金属基複合材料の高温強度 (1991),(7) 寿命・余寿命評価法検討 (1991),(8) 高温材料ミクロ組織・強度特性調査 (1994),(9) はんだの強度評価法 (1997),(10) 超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術 (1997).また,現在は,「非弾性解析(Phase 6:き裂構造の非弾性挙動)」,「はんだの強度評価法」,「超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術」,「高温材料ミクロ組織・強度特性調査」に関するワーキンググループが活動中であり,近々,「非破壊損傷調査ワーキンググループ(仮称)」も立ちあげ予定である.これらのワーキンググループ成果の詳細は報告書として刊行され,国内での公表はもちろんのこと,国際的学術誌への掲載や国際会議での発表を通じて海外にも情報を発信している.これらの成果の現れとして,本部門委員会委員が中心となり,2003年には,「高温低サイクル疲労試験法標準(JSMS-SD-7-03)」,2004年には,「はんだのクリープ試験法標準(JSMS-SD-8-04)」,「はんだのクリープ疲労試験法標準 (JSMS-SD-9-04)」などの学会標準の制定を行った.
本部門委員会では,定期的に年5回の部門委員会を開催し,時代的な要請にマッチした講演会・討論会を開催している.また,今年で第43回を数える「高温強度シンポジウム」を毎年開催し,この方面の研究の現状について相互の理解を深めつつ,成果の公開に努力してきた.2005年1月には,本部門委員会の創立50周年を記念し,第1回(1959年)から第40回(2002年)までの高温強度シンポジウム講演論文集を収録した記念CDを出版した.さらに,5月の「通常総会・学術講演会」では併設行事として,特定のテーマについての公開講演会やパネルディスカッション等の特別企画を毎年実施している(2005年度も実施予定).
本部門委員会の活動は,国際的にも注目されている.1992年8月には中国からの要請に応えて,洛陽において第1回日中高温強度シンポジウムを中国高温強度委員会と共同で開催し,その後,第2回を1995年8月に新潟の長岡で,第3回を1998年8月に南京で,第4回を2001年6月につくばにおいて,2004年8月には中国の西安で第5回を開催した.第5回目のシンポジウムで特筆すべきは,日中両国のみならず,イギリス,ドイツからの任意参加を得たことである.今後,さらに多くの国からの参加が期待される.さらに,2004年10月には本委員会メンバーが中心となり米国で「超合金コーティングに関する二国間セミナー」を学振の援助で開催した.そして,現在,試験法の開発,標準化を目指して,ドイツとの共同研究や研究交流セミナーも企画中である.
一方,1990年より毎年,厳正な審査の上,高温強度研究・委員会活動に優れた貢献をされた方に貢献賞ならびに躍進賞を贈ることとし,高温強度シンポジウムの席上にて表彰を行い,指導的研究者と若手研究者の育成を行ってきた.
会誌「材料」においては,2年に1回のペースで高温強度特集号も発行し,この分野の研究のニーズや動向の変化に関連し成果を発信している.最新の特集号(2005年2月号)では合金鋼やNi基超合金のミクロ組織と高温疲労・クリープ強度の関連,溶接部の損傷評価や非弾性挙動とき裂伝播挙動,先進複合材料の強度など,幅広いテーマの論文が掲載されている.また,「材料」の英文論文集であるMaterials Science Research International (MSRI) においても高温強度特集号を発刊している(2003年3月号).
本部門は,大学,素材メーカー,重工業,エンドユーザーからなるバランスの良いメンバーから活動が進められており,産学官の貴重な意見交換・共同研究の場となっている.また,委託研究や新たなニーズ・シーズに基づくワーキンググループ新設などについてもフレキシブルな対応が可能な組織となっている.若い方,他分野の方の入会を大いに歓迎している.本部門委員会へ参加ご希望の方は,材料学会までお申し出下さい(資料費年間22,000円,ただし,大学,官公庁委員は無料).
 
PC構造部門委員会
本研究委員会は,プレストレストコンクリート(以下PCと略記)構造に関して主に材料的な側面を調査・研究することを目的としている.特に,高強度コンクリートのPC構造への適切な利用法を検討するために,高強度コンクリートの材料としての問題点,および,部材として利用した場合の利点と設計法,さらには,建築構造物として高強度コンクリートを利用する利点および欠点などについて討議している.
平成16年度に開催された委員会では,圧縮強度が200N/ mm2に達するような超高強度コンクリートの製造と利用,高強度コンクリートを用いた構造物の設計基規準の調査,アンボンド鋼材を用いたPC部材の挙動などについて検討・議論した.
今後は,PC構造物の設計法の性能規定型への移行に伴い必要となる材料レベルでの性能の明示方法とその実現方法(高強度コンクリートの引張強度,許容応力度のとり方など),および,高強度コンクリートを使用した際の利点と欠点,高強度PC鋼材開発の可能性などについて調査研究を行っていく予定である.
 
高分子材料部門委員会
本委員会は1950年にレオロジー部門委員会として発足し,日本レオロジー学会が設立された後,1983年委員会の名称を高分子材料部門委員会と改め,活動範囲を広げ現在に至っている.本委員会では,広く高分子材料についての諸問題と関連技術の向上に役立つことをまず念頭において活動を行ってきた.現在,大学官公庁50%,企業40%,その他10%で,約40名の委員会となっている.
高分子は金属および無機材料と並ぶ3大構造材料の1つである.近年,材料としての耐久性・信頼性が飛躍的に改善されたが,まだ多くの未解決の課題を抱えている.この問題の解決は本委員会の中心的関心事項の1つである.さらに,最近では技術の高度化および多様化に伴い,種々の機能をもつ高機能性材料としての高分子の開発が期待されている.また,地球環境保護の観点から,リサイクル高分子や生分解性高分子の開発も進んでいる.本委員会では,構造材料と機能材料という高分子材料の2つの側面を,有機的に関連づけ広く深く討論する場を提供している.
2004年(平成16年)の活動は以下の通りである(特記のないものは部門委員会を示す).第134回以前および第136回については,前回の活動報告を参照されたい.
135回 第53回高分子材料セミナー「機能性接着剤:リペアブル接着剤の動向」,講演3件:下間澄也(コニシ),奥野辰弥(サンスター技研),西口隆公(ナガセケムテックス)(平成16年4月23日)
137回 第54回高分子材料セミナー「機能性高分子液晶:開発動向と可能性を探る」,講演3件:塩飽俊雄(ポリプラスチックス),矢吹和之(東洋紡績),渡辺順次(東工大院)(平成16年9月3日)
138回 Dr. Tibor Czigany講演会 メBasalt fiber as a reinforcement of polymer compositesモ(平成16年8月11日)
139回 第55回高分子材料セミナー「プラスチックリサイクルの現状と将来」,講演3件:山田 悦(京工繊大),池田裕一郎(帝人ファイバー),佐野慶一朗(山梨県環境科学研)(平成17年2月7日)
また,平成16年6月25日には,「高分子材料の耐久性評価」と題して6人の講師による講習会を行った.劣化の原理,寿命予測,ゴムの耐久性,分解安定性といった基礎的・一般的事項から自動車あるいは電気・電子機器における耐久性評価といった具体的事例にわたり,各分野の専門家による講習が行われた.
さらに,日本材料学会主催の第14回高分子材料シンポジウム(平成16年12月1日)に全面的な協力を行った.このシンポジウムでは,研究発表14件と特別講演1件:南齋征夫(阪市大院)「高分子ガラスの常温成形の可能性」が行われた.
これらの活動を通じて,高分子材料の製造,構造と機能,物性と加工について情報と討論が深まり且つ広がり,技術の発展に寄与することを願っている.関連分野の研究者・技術者のますますの参加を期待する.
 
X線材料強度部門委員会
X線材料強度部門委員会は,1961年(昭和36)にX線応力測定部門委員会として発足し,1965年に現在の委員会の名称に変更して今日まで活動を続けています.本委員会は,X線回折を主とする材料評価手段を通じて材料の強度特性を解明しようとする学術分野,すなわちX線材料強度学に関する学術の発展および技術の向上に寄与することを目的としています.
本委員会は,当初よりX線回折を主要な手法として結晶材料のひずみを測定し,残留応力や微視的変形機構を解明するために研究を続けています.回折面依存性,相応力,3軸応力および集合組織などX線応力測定の優位性を生かしながら,多種多様な材料を対象に研究を広げてきました.さらに,疲労損傷,塑性変形過程などの研究にも取り組んできました.これまでの成果は,「X線応力測定法」(養賢堂,1961年,1981年),「X線材料強度学- −基礎編・実験法編−」(養賢堂,1973年)にまとめられています.
X線応力測定の実用化の面では,フェライト・マルテンサイト系鉄鋼材料,オーステナイト系鉄鋼材料,セラミックス材料へと応力測定の方法を適用してきました.1973年以来,これらの成果は「X線応力測定法標準」(鉄鋼編,セラミックス編)日本材料学会の標準としてまとめられています.また,中性子の透過力を生かし深部の応力測定の方法を検討し,その成果を2005年に中性子応力測定標準(X線材料強度部門委員会標準)としてまとめました.さらに,これまでの鉄鋼およびセラミックス材料のX線応力測定法標準を世界に普及し,また国際社会での産業界の活動を支援するために,Standard Method for X-Ray Stress Measurement(英文版X線応力測定法標準)の発行を予定しています.その他,VAMAS-TWA20に参画し,この活動を通して,中性子,高エネルギー放射光およびX線による応力測定の国際標準の策定にも協力しています.
本委員会は,毎年3回の定例委員会を開催しています.委員会では活動の議論と合意を大切にした研究活動を展開しています.定例委員会では,幅広い研究の動向を吸収し,本来の研究を高めるために積極的に講演会も開催しています.これらの委員会活動により,委員の研究を活性化させるよう努めています.本委員会ではX線材料強度に関する研究および 技術を育成するため部門委員会賞を設けています.業績賞に加え,昨年より研究・開発賞を新設しました.平成16年度は,業績賞「新しい光源の応力評価への応用」(名古屋大学・秋庭義明),研究・開発賞「X線回折による単結晶の残留応力測定理論の構築と応用」(原子力研究所・鈴木裕士)となっています.
当委員会内の小委員会として,放射光小委員会,溶接部残留応力測定小委員会および中性子小委員会が活動しています.現在,シンクロトロン放射光および中性子の新しい光源を利用した応力評価がめざましい発展を遂げています.これらの光源は放射光施設や原子炉などの施設を利用するために,各小委員会は利用の促進・調整を積極的に図り,有効に実験を遂行できるように援助しています.これらの成果の一部は,2005年5月号の講座「新しい光源による応力評価」(4回)として連載されています.今後も,新しい光源としての放射光,中性子源での応力測定の実験ハッチの確保が重要となり,当委員会への多くの支援と協力が求められています.特に,大強度陽子加速器 (J-PARC) の完成により,高輝度の中性子源が実現できることにより,新たな応力評価へ期待を寄せています.溶接部残留応力測定小委員会では栗村隆之(三菱重工)主査を中心に,溶接部の残留応力を測定するための方法確立に向けて,ラウンドロビンを開始しました.この小委員会活動の成果として,溶接部の応力測定法のガイドラインを提案される日が必ず来るものと期待しています.この成果は,産業界に大いに寄与するものと思われます.
委員会による企画として開催されるX線材料強度に関するシンポジウムは今年で40回を迎え,毎年9月に2日間にわたり約40件の発表をもとに,熱心な討論が展開されています.表面改質,単結晶,粗粒,薄膜,集合組織など幅広い対象材料と多様な手法により,研究が展開されています.それらの代表論文は,審査を経てX線材料強度特集号として発刊され,X線材料強度部門委員会の活動の趨勢を知ることができます.また,毎年12月にはX線材料強度に関する討論会が開催され昨年で,41回となりました.昨年は,「溶接残留応力測定の現状とX線応力測定法への期待」をテーマに熱心な討論が展開されました.討論会の参加者数も例年を超えて盛会となりました.しかし,これは,破損,事故の原因の多くが溶接部とも言われながらも,溶接残留応力について十分な研究を継続してこなかった当委員会への警鐘として受け止めるべきと考えています.
本委員会は,大学・学校,研究所,企業などの100余名の個人および会社委員から構成されています.本委員会の活動および最新の動向は,委員会のホームページ (http://x-ray.ed.niigata-u.ac.jp) から知ることができます.所属,研究分野を問わず,X線材料強度に興味のある方,またX線応力測定を必要とする方の入会を歓迎しています.ぜひ,現委員または日本材料学会へご連絡ください.
 
木質材料部門委員会
木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関する研究の推進と情報の交換を目的として,昭和37年4月に理事会の承認を得て発足し,同年5月には第1回の委員会を開催した.それ以来,40年以上に亘って活発に活動し続けてきている.
木材および木材を原料とする木質材料や紙は,古くから建築,家具,楽器,包装や情報・文化の伝達材料として人々の生活を支えてきた.木材は基本的に再生産可能な資源であり,これを有効に利用することによって,永続的な利用が可能な極めて有用な材料になり得る.このような木質材料の利用が,人類の生存にとって極めて重要であるとの認識が近年高まりつつある.
木材は,人類にとって最も身近な材料の一つである.木材が本来的に持っているヒューマン・フレンドリーな面は,人類との長い関わりによって築かれてきたものであり,今後も決してなくなることはない.一方,地球上で最も豊富なバイオマス資源である木質バイオマスの化学変換によるエネルギー化や高機能性・高耐久性木質複合材料の開発など,以前にもまして多くの異なる分野からの研究開発が必要となってきている.このような状況の中,多様な専門分野の研究者や技術者が集まる本委員会の重要性は極めて高い.
木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関係の深い大学や国公立研究機関の研究者および企業の研究者・技術者,約80名の会員から構成されている.会員相互の連携の強化による研究・開発の更なる活性化と利便性の向上を図ることを目的として委員会の企画,運営を行っている.これをより円滑に進めるために,本委員会では委員長の下に運営委員会を設け,定例研究会を原則として年4回開催している.定例研究会は主に京都地区において開催し,多くの会員の参加を促すとともに,参加できなかった会員には講演要旨集を配布している.
また,本委員会はその設立目的を達成するために,発足以来,会誌「材料」および英文誌「Materials Science Research International」に特集「木質材料」を企画,発行している.なお,第255回以降の定例研究会の活動状況は以下の通りである.
255回 定例研究会――2004年7月21日:6日本材料学会(京都市)
・分化中木部におけるキシランの堆積   粟野達也氏(京都大学大学院農学研究科)
・各種木質炭化物の特性と利用   宮藤久士氏(京都大学大学院エネルギー科学研究科)
256回 定例研究会――2004年11月5日:6日本材料学会(京都市)
・多孔性機能材料の創製と展望  −高分子材料からバイオ材料まで−  八尾 滋 氏(宇部興産株式会社高分子研究所)
・機能化素材としての糖質系高分子のモダン活用   西尾嘉之 氏(京都大学大学院農学研究科)
257回 定例研究会――2005年1月20日:6日本材料学会(京都市)
・抽出成分の生合成と輸送の分子生物学   矢崎一史 氏(京都大学生存圏研究所)
・私の場合のキャンパス外での木材利用の研究   白石信夫 氏(京都大学名誉教授)
なお,現在の委員長および運営委員会メンバーは下記の通りである.
委員長:松本孝芳(京都大学大学院農学研究科)
運営委員会委員:
    巽 大輔(京都大学大学院農学研究科:庶務幹事)
    梅村研二(京都大学生存圏研究所:会計幹事)
    小野克己(宮崎木材工業梶j
    村田功二(京都大学大学院農学研究科)
    吉村 剛(京都大学生存圏研究所)
    古田祐三(京都府立大学大学院農学研究科)
 
腐食防食部門委員会
本部門委員会は1961年(昭和36年)10月に第1回例会を開催して以来,2005年3月まで243回の例会と53回の研究集会を開催した.21世紀の環境問題と資源の維持など多くの問題解決のために腐食防食技術が関与する接点は多く,本部門委員会が貢献する度合いはますます大きくなっている.さらに,委員会設立50周年にむけて今後ますます盛んな活動を行っていく予定である.
平成16年度は6回の例会を開催し,また,腐食防食セミナー,微生物腐食入門セミナーを兵庫県立工業技術センター,腐食防食協会と共同で開催した.第238回例会(2004年5月14日,岡山大学津島キャンパス):「工業材料に含まれる重金属の環境対応」では,第53期学術講演会併設行事として,重金属の環境への影響と腐食防食に関連する分野での重金属削減の取り組みについて,3件の講演を行った.27名の参加者であった.第239回例会(2004年8月6日,兵庫県民会館):「銅ならびに銅合金の腐食とその対策」では,銅・銅合金の腐食の基礎や種々の実用環境中での腐食事例とその対策について6件の講演とパネルディスカッションを行った.44名の参加者であった.第240回例会(2004年9月14日,たかつガーデン):「Workshop「若手技術者による腐食・防食」]U」では,若手研究者の発表の場として6件の発表を行った.また,1件の特別講演を行った.23名の参加であった.第241回例会(2004年11月30日,たかつガーデン):「溶接と腐食」では,溶接部の腐食挙動や腐食事例について,3件の講演と3件の事例紹介を行った.31名の参加者であった.第242回例会(2005年1月20日,たかつガーデン):「鉄鋼の大気腐食」では,鋼構造物の大気腐食の現状や最新の研究アプローチなど,6件の講演を行った.25名の参加者であった.第243回例会(2005年3月15日,たかつガーデン):「有機溶媒中の金属腐食」では,水中と比較した有機溶媒中の腐食のメカニズムや微量水分,各種不純物の影響等について,5件の講演を行った.34名の参加者であった.「腐食防食セミナーと公開相談会」(2004年10月22日,兵庫県立工業技術センター)では,3件の講演と相談会を行った.参加者は111名であった.「微生物腐食入門セミナー」(2004年12月1日,大阪市立大学梅田サテライト)では,8件の講演を行った.参加者は47名であった.
腐食防食に関する教育では,第7回日本材料学会方式「腐食防食実験講習会」を2004年8月17日〜20日に兵庫県立大学工学部で開催した.13名の参加者であった.
本部門委員会では,20年間にわたって開催したデヘマ方式の講習会で得られた腐食防食の基礎理論と実験に関するノウハウを「実験で学ぶ腐食防食の理論と応用」としてまとめて出版しているが,非常にわかりやすく,安価なため大変好評である.また,これまでの例会・研究集会の資料のCD化(資料のPDFファイル化とリンク付き検索表の制作)を行った.これは委員会委員に限って販売している.
本部門委員会は法人委員,大学・公的研究機関等の個人委員で構成されている.本部門委員会の特徴は,企業側と大学・公的機関側の密接なつながりをもっており,現場における腐食防食技術が中心であるところである.例会ごとに作成する委員会資料はA4版で50〜80ページであり,研究の指針のほか現場における防食技術に活用できる非常に有益なものである.企業・個人研究者の方々の積極的な委員会参加をお待ち致しております.また,腐食防食部門委員会のホームページアドレスは「http://fushoku.jsms.jp/index.htm」となっております.
 
地盤改良部門委員会
「地盤」は,構造物を支える基礎(地盤)として,また,埋立や築堤など土構造物の構成材料(地盤材料)として不可欠なものであるが,地域性が強く工学的特性も千差万別であり,使用に当たって必ずしも所要の条件を備えているわけではない.「地盤改良」は,このような地盤を使用可能な状態にし,その状態を維持するために行う物理的,化学的および生物学的な処理のことである.最近では,建設工事に対する制約条件や構造物の立地条件も厳しくなってきたため,より過酷な条件が地盤に要求されることが多く,それに応じて様々な特徴,種類の「地盤改良工法」が開発適用されている.
地盤改良部門委員会は,このような地盤改良を実施する上での種々の問題点について研究調査を行い,その適正な利用を促進することを目的として1962年11月に「土質安定材料委員会」として設立されたもので,1998年1月に昨今の技術的社会的ニーズを鑑みて現在の名称に改称した.地盤改良工法に関連する分野は極めて広く,構造物基礎,道路や鉄道の路床路盤,トンネル・ダム,斜面保護と安定,水利構造物の覆工,埋立・海洋地盤,地盤環境の保全など,土木,建築,農業土木,鉱山資源,環境衛生等の各分野にわたる.さらに,その基礎となる学術・技術分野も上記の応用工学分野のほかに,物理学,化学,力学,生物学,地質鉱物学,造園学など広範囲の基礎知識が必要であるため,本委員会は様々の分野を専門とする委員により構成され,地盤改良に対して多岐にわたる観点から調査,研究を行ってきた.
本委員会の活動は,地盤改良の工法と材料に関する話題提供と研究討議を中心にした「研究委員会」,隔年で開催している「地盤改良シンポジウム」,2001年4月より発足した「若手研究者共同研究」および「新領域研究懇談会」による個別の研究活動,ならびに「地盤改良に関する技術評価事業」の推進から成り立っている.
「研究委員会」の開催は2005年2月時点で256回を数え,2004年度に延べ4回開催した.話題提供のテーマは次の通りで,地盤改良に関わるテーマだけではなく,今後の研究展開の可能性を探るため建設分野全般から広範な話題を取り上げている.
(1)文化遺産を学び,護り,活かす技術
(2)建設発生土・建設汚泥の有効利用
(3)地下水環境の保全
(4)地盤汚染浄化における課題とその解決に向けて
(5)一体型複合遮水シート工法の開発
(6)Malaysia-Japan Symposium on Geohazards and Geoenvironmental Engineering参加報告
「若手研究者共同研究」は委員会メンバーを中心とした,萌芽的要素の強い技術の実用化を目的とする外部機関の研究者も交えた共同研究である.「新領域研究懇談会」は,地盤改良に関わる新たな研究領域・課題の抽出を目的として,工学的・社会的に要求度の高い課題を取り上げ,研究情報の収集ならびに研究委員会において外部の講師を招いた話題提供の企画等を行っている.
これらの活動の成果は刊行物の出版,特集号や講座など会誌への寄与,講演会,シンポジウム,ワークショップの開催などに結実している.過去3年の主要な成果を以下に記す.
(1)第5回地盤改良シンポジウム開催(2002年11月)
(2)凍結と凍上現象の地盤改良への適用に関するワークショップ(2003年11月)
(3)学会誌「材料」  地盤改良小特集号(2004年1月)
(4)日本材料学会第53期学術講演会併設公開部門委員会(2004年5月)
(5)第6回地盤改良シンポジウム開催(2004年9月)
「技術評価事業」は,日本材料学会が実施する技術評価証明制度の最初の試みとして,地盤改良に関する技術を対象として2000年4月より本委員会が中心となって活動開始したものである.本制度は,材料学に関する各種技術に対して学会としての客観的立場から,その有用性や技術レベルを公正に評価し,所定の基準を確保している技術を学会として公式に認証するものである.現在,評価の対象としている材料,技術は以下の通りである.
(1)地盤改良技術に関わる新素材・新材料
(2)地盤改良に関わる技術または工法
(3)汚染地盤の診断技術・汚染地盤修復技術
(4)廃棄物の地盤材料としてのリサイクル技術
本制度により,各種技術開発の活性化・技術水準の向上を促すとともに,ユーザーに対して,信頼できる技術を紹介することにより,技術保有者とユーザーの橋渡し,ならびに優れた技術の普及という観点からも貢献が期待できると考えている.2005年2月現在,7件の技術について審査・認証を完了している.
近年は特に,社会情勢の変化も著しく,また,関連科学技術の進歩はめざましいものがあった.地盤改良技術も,単一機能 (mono-functional) から多機能 (multi-functional) への変化,表層から深層を経て大深度改良への移行,輸入技術から自前技術の開発,さらに輸出技術への発展,理論の拡張から現実対処,さらに環境保全対策への展開,天然材料から人工材料,廃材の再利用へと展開を示している.また,日本各地で頻発している地震や台風における被災状況にみられたように,防災対策としての地盤改良工法の重要性が再認識されている.このような状況を鑑み,今後も工学的・社会的に重要度の高い問題を取り上げ,専門的かつ技術的な調査,研究,討議を経て,地盤改良のみならず広く地盤工学・建設分野の発展に寄与することを目的に委員会活動を推し進める所存である.
本委員会への加入については本人の申し出,現委員の推薦に基づき委員会の承認を得ることになっており,また,委員会運営のための資料作成費として,会社からの加入会員の場合年額20,000円,学校,官公庁からの個人会員には年額2,000円を頂いている.関連分野の研究者,技術者の方々の積極的なご参加ならびにご協力を願う次第である.
 
コンクリート工事用樹脂部門委員会
建設材料の中で最も多く利用されている材料の一つであるセメントコンクリートは,種種の合成樹脂材料と併せ用いることによって,各々の単独使用では得ることのできない各種の優れた性能を発揮させることができる.
このような試みは世界的にも種種の観点から行われており,これらの成果は“コンクリートにおけるポリマーの利用に関する国際会議”,第1回ロンドン(1976年5月),第2回オースチン(1978年10月),第3回は日本材料学会共催のもと郡山(1981年5月)で,さらに第4回ダルムシュタット(1984年9月),第5回ブライトン(1987年9月),第6回上海(1990年9月),第7回モスクワ(1992年9月),第8回オーステンデ(1995年7月),第9回ボローニア(1998年9月),第10回ハワイ(2001年5月),第11回ベルリン(2004年6月)などで発表されている.なお,第12回は韓国で2007年に開催される予定である.また,1989年京都で,日本材料学会共催のもとで開催された“第8回アルカリ骨材反応に関する国際会議”においても,主として補修関係で,種々の成果が紹介されている. コンクリートと合成樹脂との使用に当たっての組合せとしては,次のような形態が一般的である.
(1)レジンコンクリート (REC) ポリマー含浸コンクリート(PIC) あるいはポリマーセメントコンクリート(PCC)としての構造材料への利用.
(2)表面処理,ひび割れ注入,銅版接着,パッチングあるいはオーバーレイなどのコンクリート構造物の補修・補強用材料としての利用.
(3)耐久性,遮水・遮塩性,発水性,耐磨耗性等に注目した,含浸,塗装,コーティングあるいはライニング用材料としての利用.
(4)プレキャスト部材等における構造用接着剤としての利用.
(5)建設分野における繊維強化プラスチック,連続繊維補強材としての利用.
以上のように樹脂は多方面で利用されており,これらの用途のそれぞれで要求される目的・方法に適する樹脂の種類も多い.しかし,細部ではこれらの樹脂の持つ性能は異なる点が多く,しかも,目的・方法に対して必要とされる性能についてもまだ明確にされたとは言い難い面を持っている.このため,コンクリート工事に樹脂を利用するうえでの問題点について調査研究を行い,樹脂の適正利用について検討し,さらにこれら樹脂の用途に応じた試験方法ならびに使用指針の作成を目的として昭和38年2月に本委員会は設立された.
委員会の活動成果として,昭和42年には“コンクリート構造用接着剤(エポキシ樹脂)試験方法および施工指針(案)”を作成した.また,ポリマーセメントコンクリート小委員会およびレジンコンクリート小委員会を設け,“試験室におけるポリマーセメントモルタルの作り方”,“ポリエステルレジンコンクリートの強度試験用供試体の作り方”など計10種のJIS原案の作成に協力し,昭和53年4月にJIS A 1171〜1174,1181〜1186としてこれらの制定をみている.さらに,レジンコンクリート設計(施工)小委員会を設け,昭和60年に“ポリエステルレジンコンクリート構造設計計算指針(案)”を,平成3年に“ポリエステルレジンコンクリート配合設計の手引き(案)”を作成している.また,平成12年10月〜平成14年3月にはレジンコンクリート関連JIS改定等検討WGを設け,JIS A 1181〜1186の統合改正に協力し,平成17年には統合された新たなJIS A 1181が制定される予定である.平成14年10月にはレジンコンクリート関連事項検討WGを設け,“ポリエステルレジンコンクリート構造設計計算指針(案)”の改訂等に取り組んでいる.
補修材料関連としては,平成元年3月には,阪神高速道路公団の委託のもとに設けた橋梁用樹脂小委員会によって,“コンクリート構造物の表面保護工便(案)・同解説”および“コンクリート床版防水工設計施工指針(案)・同解説”を作成している.さらに,この小委員会を発展的に改組して補修用樹脂小委員会を設け,その成果として,平成7年には“コンクリート構造物の診断と補修 ―メンテナンスA to Z―”を出版し,これをもとに,平成8年3月には日本材料学会関西支部との共催で講習会を開催した.さらに,補修材料の性能試験方法に関する土木学会基準の作成に協力し,土木学会において,表面被覆材に関する7種類の試験方法(平成9年6月),ひび割れ注入材・充てん材に関する6種類の試験方法(平成12年12月),断面修復材に関する9種類の試験方法(平成15年11月)が,それぞれ制定された.
シンポジウム関連としては,平成8年〜12年の5年間にわたり,日本学術会議材料研究連合会においてオーガナイズド
セッションを開催したが,これを発展させ,平成13年10月に“コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム”を開催した.本シンポジウムは,毎年継続的に開催する予定である.なお,平成15年10月以降は本シンポジウムで用いる論文報告集の査読を行うことで,内容を深化している.
本部門委員会では,学校,官公庁関係者,設計および施工技術者,材料および製品メーカーなど,外国からの出席者も含めて参加し,樹脂ばかりでなく,ゴム,繊維,なども視野に入れた活発な活動を行っている.今後の活動としても,コンクリート構造物の設計,施工,維持,管理において,合成樹脂,ゴム,繊維の特性を有効に利用した新しい種種の使用方法を検討するとともに,コンクリート・樹脂・ゴム・繊維複合系の耐久性能,変形性能,各種強度の把握など様々な問題を取り上げ,本委員会と小委員会,または他関連委員会との合同委員会活動を適宜組合せて運営する予定である.
本委員会への加入は,形式的には本委員会開催時に委員会の承認を得ることになっている.関心を持たれる会員の加入の申し出をお待ちしている.会費として会社からの加入会員の場合年額20,000円,学校・官公庁からの個人会員の場合年額2,000円をいただいている.なお,小委員会についても,別途会費を頂いている.
 
岩石力学部門委員会
岩石力学の対象とする分野は,土木・資源といった工学から鉱物学・地質学・地球物理学といった理学にまで非常に広い範囲に及んでおり,例えば,ダム,トンネル,地下空洞に代表される岩盤構造物の解析・設計・施工を扱う土木工学分野,石油や近年話題になっているメタンハイドレートといった地下資源の探査・採鉱を含めた資源開発工学分野,鉱物学・地質学分野,あるいは地殻変動や地震発生メカニズムの解明等に代表される地球物理学の分野にまたがっており,その領域や学問体系はこれまで時代のニーズにあわせて常に変化してきました.特に最近では,二酸化炭素の地中貯留あるいは放射性廃棄物の地層処分といった地球環境問題の解決のために必要な学問として貢献していることからも,本学問領域の多様性がうかがえます.
このような背景から,岩石力学部門委員会は,幅広い分野の研究者・技術者が集まり,岩石力学に関する研究・技術情報の交換および討議の場を提供することを目的として,昭和38年に設置されました.以来,現在に至るまで,ほぼ年4回,これまでに175回(平成17年1月現在)の委員会を開催し,活発な活動を続けてきています.本委員会は,地質,地球物理,資源,土木,地盤等の多岐に渡る理工学分野の研究者・技術者が自由に討議できる場として,他の学会に例を見ない非常にユニークなものとなっています.
また,本委員会は,土木学会,資源・素材学会,地盤工学会の各委員会とともに,岩の力学連合会を組織し,国際岩の力学会議 (ISRM) の国内委員会として,関連する委員会には理事・幹事をはじめ,多くの専門委員を送り出しており,国内および海外における岩の力学分野の研究技術開発に貢献しております.さらに,本委員会は国内における岩石力学に関する各種シンポジウムや講演会等の開催にも,共催あるいは協賛の形で協力しています.例えば,本年度は第3回アジア地域岩盤力学シンポジウム (3rd ARMS) および第34回岩盤力学に関するシンポジウムに共催の形でその開催に協力しました.
本年度の岩石力学部門委員会においても,4回の委員会(第172回〜第175回)および特別講演会が開催され,当委員会活動に関連する様々な分野の話題についての講演会および現場見学会が実施され,次に記述するように各委員による活発な質疑応答および意見交換がなされました.
172回委員会(平成15年4月23日開催)では,岩石力学関連の研究事例紹介として,Ben Gurion University of the NegevのDov Bahat博士による特別講演:「Electromagnetic radiation induced by rock fracture」が開催され,引き続き当委員会に関連する研究に関する現場からの報告として,「高瀬ダムの堆砂と土砂の発生源について」および「北海道襟裳地域における斜面崩壊について」の2題の講演が行われました.
173回委員会(平成15年7月16日開催)では,理学分野における研究紹介として,「地震と断層とトライボロジー」および「奈良県上川村白屋地区の地すべりと豊中−柏原断層」の2題についての講演が行われました.
174回委員会(平成15年10月28〜29日開催)では,現地見学会を兼ねた委員会が開催され,核燃料サイクル機構瑞浪・東濃地科学センターおよび日本道路公団飛騨トンネルを見学し,活発な質疑応答および意見交換がなされました.
175回委員会(平成15年1月14日開催)では,最新のトピックスとして中越地震関連特集の意見交換がなされ,講演も「新潟県中越地震の地震動の概要と被害状況について」「長岡県妙見−小千谷市浦柄地区で発生した斜面崩壊」および「新潟県中越地震による鉄道トンネルの被災状況」の3題がなされま
した.
このように本委員会は,防災から環境問題までその時々のトピックスを活発に議論する場を提供し続けてきており,本学会員に当議論の場を開放し,岩石力学とその応用に興味のある方の積極的な参加で構成されています.本委員会への加入をご希望の方は,事務局まで申し出てください.多くの方の参加をお待ちしています.
 
塑性工学部門委員会
塑性工学部門委員会(委員長:大野信忠,名古屋大学)は,材料の塑性に関する基礎研究(材料の微視的組織観察,解析,塑性変形のメカニズムの解明・モデリング,およびそれらに基づくマイクロ,メゾ,マクロ塑性力学の構築)からその応用(材料設計・創製技術,塑性加工技術,機器構造物塑性設計,マルチスケールモデリング)にわたる広範囲なテーマについて関心を持つ大学・公設研究機関および企業の研究者,技術者から構成されている(現在およそ120名).その活動は,4つの分科会:塑性力学分科会(主査:志澤一之,慶應義塾大学),粉末成形分科会(主査:磯西和夫,滋賀大学),材料データベース研究分科会(主査:岡村一男,住友金属工業),地盤力学分科会(主査:岡二三生,京都大学)を中心に進めている.これらの分科会の担当で,第53期(平成16年度)に開催された研究集会は以下の通りである.
52期第1回塑性工学部門委員会
(塑性力学分科会担当,平成16年8月30日,慶応義塾大学理工学部キャンパス,出席者14名)
協賛:日本機械学会計算力学部門A-TS01-15研究会
議題:「GN転位の正しい使い方を考える」
(1)GN転位依存性Mean Free Pathと寸法効果
(北見工大 大橋鉄也)
(2)GNBの誘起と結晶粒の大角化
(慶大 志澤一之)
(3)非局所結晶塑性を考慮した均質化理論の構築と有限要素離散化
(名大 奥村 大,大野信忠)
53期第2回塑性工学部門委員会
(材料データベース研究分科会担当,平成16年10月1日,京都,出席者15名)
(1)鋳造欠陥対策のための知識整理
(金沢学院大学 阿手雅博)
(2)熱処理データベースの構築 とシミュレーションの利用
(コマツ 七野 勇人)
53期第3回塑性工学部門委員会
(粉末成形分科会担当,平成16年11月19日,京都,出席者19名)
議題:MIMを用いた超小型(マイクロ)精密機器部品への挑戦
(1)金属粉末射出成形技術の現状と今後について
(モールドリサーチ 寒川喜光)
(2)マイクロ金属粉末射出成形品の製造とその高品質化
(太盛工業 長田稔子,田中茂雄)
(3)水アトマイズによる球状微粉末の製造と特性
(福田金属箔粉工業 菊川真利)
(4)見学会 福田金属箔粉工業株式会社、本社・京都工場
53期第4回塑性工学部門委員会
(塑性力学分科会担当,平成16年11月21日,仙台,出席者11名)
協賛:日本機械学会計算力学部門A-TS01-15研究会
議題:「相変態を伴う材料に おける組織形成と変形挙動のマルチスケール解析」
(1)フェーズフィールドモデルによる相変態解析と力学問題への適用
(名古屋大 上原拓也)
(2)Phase-field法を用いた磁性材料にける組織形成のモデル化
(物材機構 小山敏幸)
(3)TRIP鋼の変形挙動のマルチスケール解析  −実験と計算の両側面から−
(広島大 岩本 剛)
(4)自由討論「日本のマルチスケールを世界のトップにする戦略とは?」
53期第5回塑性工学部門委員会
(材料データベース研究分科会担当,平成16年12月6日,京都,出席者15名)
(1)データベース作成技術
(サイエンス ソリューションズ 房枝茂樹)
(2)磁場解析技術
(サイエンス ソリューションズ 亀有昭久)
(3)TRIP鋼のマルチスケールメカニクス
(広島大学 岩本 剛)
53期第6回塑性工学部門委員会
(地盤力学分科会担当,平成16年12月13日,京都,出席者15名)
(1)粗粒材の不飽和弾塑性特性とそのモデル化
(独立行政法人 農業工学研究所 向後雄二)
(2)不飽和シルトの三軸圧縮試験と弾粘塑性構成式によるシミュレーション」
(京都大学大学院 金 栄錫)
この他,下記のような活動を行ってきた.
53期学術講演会
オーガナイズドセッション5(オーガナイザー:志澤一之(慶應義塾大学),長谷部忠司(同志社大学),吉田総仁(広島大学),平成16年5月15日,16日,岡山大学津島キャンパス,出席者44名)
テーマ:塑性挙動のモデリングとシミュレーション −ナノからマクロまで−
結晶塑性:座長 長谷部忠司(神戸大)
(1)対称双結晶の不均一変形とGN転位の結晶塑性解析
(北見工大 近藤了嗣,大橋鉄也)
(2)くり返し変形にともなうGN転位の発達と消衰に関する結晶塑性解析
(北見工大 大橋鉄也,北見工大院 地代所清貴)
(3)Fe-3%Si薄板合金単結晶の応力−歪み曲線と転位組織の反応拡散方程式によるシュミレーション
(元・岡山大 飛田守孝,岡山大院 栗岡宏幸,岡山大 榊原 精,竹元嘉利)
(4)多結晶モデルの有限要素解析における境界条件の影響
(名大 大野信忠,奥村 大,名大院 中根和彦,東芝 川上 崇,高橋浩之)
(5)超微細サブグレインの自己組織化に関する転位−結晶塑性シミュレーション
(慶大 志澤一之.慶大院 青柳吉輝,藤本 敦)
(6)GN結晶欠陥および動的回復を考慮した超微細粒生成に関する転位−結晶塑性シミュレーション
(慶大院 青柳吉輝,池田哲秀,慶大 志澤一之)
結晶塑性実解析とマルチスケールモデリング:
座長 志澤一之(慶應大)
(7)シリコン結晶の亀裂先端近傍の塑性変形挙動のAFM観察
(九大 東田賢二,九大院 田中将己)
(8)EBSD法による多結晶銅の引張りにおける結晶粒の3次元的塑性変形の評価
(北見工大 近藤了嗣,岡山大 多田直哉,津山高専 阿部 武治)
(9)EBSP法による塑性変形挙動のマイクロ定量計測
(名大 木村英彦,秋庭義明,名大院 王  ,名大 田中啓介)
(10)マルチスケール多結晶塑性モデリングにおける結晶粒の集団挙動の取り扱いに関する一考察
(神戸大院 藤田武孝,現シャープ 中村達彦,神戸大 長谷部忠司,冨田佳宏)
(11)Quasicontinuum法における異なるスケールを持つ領域の結合方法に関する研究
(金沢大 下川智嗣,デンマーク工科大 SchiotzJakob,Jacobsen Karsten W.)
弾(粘)塑性構成式:座長 長岐 滋(東農工大)
(12)Green関数とSelf-consistent近似を用いたTRIP鋼の巨視的構成式の導出
(広島大 岩本剛,広島大院 佐々木理洋)
(13)パーライト変態における変態塑性係数の応力依存性
(福山大 井上達雄,遠藤悠作,皿田 彰)
(14)高次勾配を考慮した構成式モデルによる寸法効果の記述
(京大 今谷勝次,京大院 畑田康二郎)
(15)非線形移動硬化を有する時間依存構成式のSn-3.0Ag-0.5Cuへの適用
(名大院 赤松聖文,名大 大野信忠,東芝 高橋浩之,川上 崇)
(16)鋼の降伏点現象を記述する弾粘塑性構成モデルと数値シミュレーション
(広島大 吉田総仁,広島大院 金田佑也,広島大 上森 武)
座屈,損傷,高分子材料および土の変形解析:座長 今谷勝次(京大)
(17)均質化理論に基づく正方形ハニカムの微視的座屈解析
(名大 奥村 大,大野信忠,名大院 新川岳史)
(18)空孔が不規則に分布した薄板の2軸応力下における損傷評価
(東農工大 長岐 滋,鈴木慎介,大下賢一,東農工大院 吉江大理)
(19)メゾ領域における結晶性 高分子材料の変形挙動のモデル化
(神戸大院 内田 真,神戸大 冨田佳宏)
(20)メタンハイドレート分解に伴う多相地盤の有限要素変形解析
(京大 岡二三生,木元小百合,NTT西日本 藤田裕司,京大院 高田直明)
(21)粘性土の非排水三軸圧縮試験の3次元数値シミュレーション −ひずみ速度の影響−
(地域地盤環境研 肥後陽介,京大 岡二三生,小高猛司,木元小百合,市之瀬知子)
(22)軟弱粘性土地盤に対する土留めアンカー工法の開発
(日特建設 伏屋行雄,大阪市交通局 塩谷智弘,飛島建設 牧野博文,日野宣隆,新井勝明)
・第48回日本学術会議材料研究連合講演会
オーガナイズドセッション8(オーガナイザー:今谷勝次(京大),河井昌道(茨城大),小高猛司(京大),平成16年10月20日,日本学術会議,出席者30名)
テーマ:複雑固体に関する連続体力学的アプローチ −ひずみ勾配からマルチスケールまで−
基調講演:座長 河井昌道(筑波大)
(1)弾粘塑性土のひずみの局所化解析における透水性と不均一性の効果
(京大 岡二三生)
非局所性とモデル化:座長 河井昌道(筑波大)
(2)固体粒子系の連続体近似としてのひずみ勾配理論
(筑波大 松島亘志)
(3)寸法依存性に関するひずみ勾配モデルの適用と数値解法
(京大 今谷勝次,京大院 藤原大祐)
(4)均質化理論に基づく非局所結晶塑性の有限要素解析手法の構築
(名大 奥村 大,大野信忠,名大院 東洋 一)
(5)形状記憶合金素子の2次元超弾性変形挙動の有限要素解析
(東大院 李 宗賓,東大 都井 裕)
ミクロ挙動の解析:座長 今谷勝次(京大)
(6)転位飛行距離と硬化則に動的回復を導入したGN転位− 結晶塑性シミュレーション
(慶大院 青柳吉輝,大石真吾,慶大 志澤一之)
(7)複屈折顕微鏡を用いた集合組織変形過程の細胞内ひずみ分布の観察
(農工大院 佐久間淳,大谷幸利,金廣精一,海老澤瑞枝,長岐 滋)
(8)粒子強化複合材料の局所変形挙動のその場観察
(物材機構 田中義久,香川 豊,坂本正雄)
(9)CFRP積層板の非主軸疲労挙動とプライベース疲労解析
(筑波大 河井昌道,筑波大院 本田稔彦)
土・岩における複雑固体解析:座長 小高猛司(京大)
(10)骨格構造の発展を考慮した砂の締固め挙動と液状化挙動の記述
(名大 中井健太郎,浅岡 顕,中野正樹,野田利弘)
(11)Smoothed Particle Dynamics法による固・液・気相三相相互作用を考慮した粒状材料の浸透破壊解析
(名工大 前田健一,坂井 守,坂井隆宏)
(12)SYSカムクレイモデルを用いた常磐粘土の力学特性の考察
(名大院 田代むつみ,野田利弘,中野正樹,浅岡 顕)
(13)平面ひずみ状態における堆積軟岩の圧縮・クリープ試験及び理論分析
(岐阜大 張  鋒,内藤清和,地域・地盤・環境研 叶 冠林,岐阜大 八嶋厚)
・日本熱処理技術協会「焼入れとシミュレーション研究部会」と「材料データベース研究分科会」との研究成果合同発表会
(平成16年7月20日,京都キャンパスプラザ,出席者63名)
(1)熱処理シミュレーションのベンチマークに使用する材料特性値について
(住友金属 岡村一男)
(2)熱伝達率の同定について
(宇都宮大学 奈良崎道治)
(3)ベンチマークのための焼入れ実験について
(日産自動車 渡辺陽一)
(4)金属組織毎の高温引張特性
(住友金属 岡村一男)
(5)ジョミニー一端焼入れの解析結果と実測値との比較による材料特性データの検証
(宇都宮大学 奈良崎道治)
(6)SCr420鋼円柱の高周波焼入れシミュレーション 
(高周波熱錬 生田文昭氏)
(7)ABAQUSユーザーサブルーチンを用いた焼入れ解析−円筒 
(神戸製鋼所 堤 一之氏)
(8)GRANTASによるベンチマークシミュレーション結果(2次元回転体モデル)
(コマツ 七野勇人)
(9)COSMAPによるSCr420材の浸炭焼入れシミュレーションとその検証
(埼玉工大 巨 東英,福山大学 井上達雄)
(10)SYSWELDによる浸炭焼入れシミュレーションとその検証 
(日本ESI 両角克之)
(11)QUESSによるベンチマークシミュレーション結果
(住友金属 岡村一男)
(12)DEFORM-HTによる浸炭焼入れ歯車のシミュレーションとその検証 
(日産自動車 杉本 剛)
・第231回塑性加工シンポジウム「粉末法による3次元造形加工への挑戦」
(粉末成形分科会企画担当・日本塑性加工学会主催,平成16年7月23日,京都キャンパスプラザ,出席者29名)
(1)環境調和型木質粉末の成形技術
(京都工芸繊維大学 三木恒久)
(2)半固形モールド静水圧成形法(BIP法)によるニアネットシェイプ粉体成形
(京都大学 津守不二夫)
(3)粉末射出成形技術の現状と実用化事例
(キャステム 戸田拓夫)
(4)粉末積層法による金属モデルの3次元造形
(大阪大学 塩見誠規)
(5)レーザを用いた金属粉末の3次元ラピッドプロトタイピング
(茨城大学 前川克廣)
(6)光造形法によるフォ トニックフラクタルの開発
(大阪大学 桐原聡秀)
(7)P/M-Al合金製品の成形技術
(住友電気工業 徳岡輝和)
(8)金属ガラス粉末の成形加工
(熊本大学 河村能人)
・第54期学術講演会(平成16年5月21日・22日,仙台市民会館)にてオーガナイズドセッション5(テーマ:塑性挙動のモデリングとシミュレーション−ナノからマクロまで−,オーガナイザー:長谷部忠司(同志社大学),志澤一之(慶應義塾大学),大野信忠(名古屋大学))を開催する予定である.
・第49回日本学術会議材料研究連合講演会(平成17年9月15日・16日,京大会館)にてオーガナイズドセッション(テーマ:微視構造から観た非弾性挙動のモデル化とシミュレーション,オーガナイザー:上原拓也(名大),今谷勝次(京大),長谷部忠司(神戸大))を開催する予定である.
 
コンクリート用骨材部門委員会
現在,わが国ににおいては良質の河川産骨材の枯渇とともに,資源的および地域的制約により,コンクリート用骨材はきわめて多様化してきている.すなわち,細骨材では川砂・陸砂・海砂・砕砂がほぼ等量,粗骨材では砕石がほぼ半量で残りを川砂利・陸砂利・山砂利その他が占めているのが全国的な概況である.このような状況の下では良質骨材の入手が必ずしも容易でなく,その結果として,骨材の品質管理がますます重要となり,骨材品質とそれを用いたコンクリートの強度,変形,耐久性などとの関係について,さらに科学的な検討を加えることが必要となる.骨材資源は今後さらに多様化が進行し,いわゆるゼロエミッション達成に向けてコンクリート廃材から得られる再生骨材ならびにスラグ・フライアッシュに代表される産業副産物を利用した新しい骨材の有効利用を図っていくことも重要であることは言うまでもないが,このような骨材の開発のためには,目標とする骨材品質に対して明確な指標を与えることが,コンクリート工学に課せられた重要な課題であると考えられる.本委員会は昭和39年人工骨材研究委員会として設立以来,社会的なニーズの方向を反映させて運営されてきた.設立初期より昭和40年代は,各種の人工軽量骨材の利用についての研究が最重要課題として取り組まれ,「施工指針」や「配合設計指針」を発表するなど,その普及に指導的役割を果たした.昭和50年代に入ってからは,研究対象が多角化し,砕砂,スラグ骨材などの新しい骨材の問題点,海砂の適正使用などを取り上げるとともにコンクリート物性の改善法やコンクリートの耐久性能なども研究テーマに組込む方向で運営されている.
最近取り上げられているテーマとしては,表面形状を改良した砕石,砕砂の有効利用,高炉スラグやフライアッシュの骨材原料への利用,超軽量骨材の利用によるコンクリートの軽量化,再生骨材の有効利用,外国産骨材の利用に関する諸問題,低品質骨材を使用する際の配合設計や構造設計面における問題点,RCDやRCCP用コンクリート骨材,骨材の品質試験法の改良,反応性骨材の調査試験法や実用骨材の実態調査さらにエココンクリートなども挙げられる.一方,今後の課題としては,より広い視野に立った新しい骨材の開発,未利用資源の有効利用,各種骨材を用いたコンクリートの最適製造法など,骨材の開発,品質改良に直接関連した問題の他に,繊維補強など新しい複合法によるコンクリートの物性改善や連続繊維補強材 (FRP) のコンクリート構造への適用,高温・低温環境,海洋環境など過酷環境下のコンクリートの挙動,これらに適した構造設計法の開発など研究対象を拡大しようと意図している.このような方向性を明確にするために会の名称を平成10年度に「コンクリート用骨材部門委員会」と改めた.
本委員会の特色は,本学会の性格を反映して,その構成メンバーが多彩である点にもある.すなわち,いわゆる土木・建築という縦割りはまったく意識されない運営であり,骨材メーカー,セメント・コンクリート技術者,設計技術者,施工技術者など多方面の関係者が委員として参加している.また,委員会開催に際して,委員以外からも広く適任者をスピーカーに選んで話題提供していただくほか,委員以外からの希望があれば自由に参加していただくなど,きわめてオープンに運営されている.ご関心のある各位の積極的なご参加を希望している.
 
極限環境部門委員会(旧  高圧力部門委員会)
高圧力部門委員会は,物質の状態を決定する重要なパラメータである圧力に着目し,特に,学術的・工業的応用の可能性が大きい高圧力・超高圧力の極限環境下での物質の振る舞いに関係した問題に携わる研究者や技術者が会員となって昭和39年5月に発足した.以来,相互の知識や技術の向上,情報の交換,さらには研究協力をめざして,幅広い活動を行ってきている.現在の会員数は,個人会員35名,法人会員4社である.これまで160回以上におよぶ委員会を継続的に開催し,公開シンポジウム,講演会やフォーラムを通して高圧力研究に関する活発な発表および討論を行ってきた.また,会誌「材料」において,「講座」(42巻,No. 472-476 (1993))や「特集」(50巻,No. 6 (2001))として成果発表を行い,さらに啓蒙のための書籍出版なども行ってきた.
昭和48年に「高圧力下における高分子材料」という主題で最初のシンポジウムが開催されて以来,昭和58年からは公開シンポジウムとして継続して開催されている.これまでの公開シンポジウムの主題は次のとおりである.
1回(1983年)「高圧流体,基礎と応用」
2回(1985年)「材料の高圧合成」
3回(1987年)「高圧固体物性」
4回(1989年)「高圧力技術と固体合成・物性」
5回(1991年)「高圧流体物性の新展開」
6回(1993年)「等方圧加工プロセスによる材料開発」
7回(1995年)「水および水溶液の機能開発と利用技術」
8回 (1997年)「固体の高圧物性,反応,実験技術」
9回 (1999年)「高圧流体の物性測定最前線」
10回(2000年)「高圧力と塑性加工」
11回(2002年)「高圧の可能性に挑む」
なお,第10回のシンポジウムは高圧力部門委員会と塑性加工部門委員会と共同で開催し,他部門との横断的学術交流も積極的に行ってきた.また,オーガナイズドセッション,フォーラムと多彩な学術活動を行い,第52期の学術講演会(2003年)ではオーガナイズドセッション「圧力による影響・処理・変化」として10件の講演,第53期学術講演会(2004年)ではフォーラム「圧力効果―その理論と応用」として5件の講演が行われ,多数の参加者のもと活発な討論を行った.さらに,本年5月の第54期学術講演会ではフォーラム「極限環境下の材料挙動」を開催した.
さらに,高圧力部門委員会の編集で,下記の図書を出版している.
1)「高圧力実験技術とその応用」丸善(1969)
2)「High Pressure Liquids and Solutions」,(Current Japanese Materials Research, Vol. 13), Elsevier (1994).
高圧力研究に関する最新の研究成果を公開するため,2006年には会誌「材料」に「高圧力」大特集の編集を予定している.
毎年数回の定例の委員会では,情報交換と話題提供の場として広範な学術領域にわたる講演会が開催されており,過去4回の講演会では次の講演が行われた.
159回
1)高圧法および電気化学的手法による高原子価化合物の合成
(三重大・武田保雄)
2)爆薬類を用いた超高圧による物質創製とその周辺について
(日本油脂・太田俊彦)
160回
1)レーザー分光による超臨界流体中の溶媒和と分子ダイナミックスの研究
(京大・木村佳文)
2)高圧合成高純度ダイヤモンドによる超高圧発生
(住友電工・角谷 均)
161回
1)超臨界水の化学:ミクロ物性と無触媒反応
(京大・松林伸幸)
2)超臨界フルオロフォルムの溶媒和ダイナミックス
(大阪市立大・米谷紀嗣)
162回(第54期学術講演会・フォーラム)
1)超臨界流体技術の現状と課題
((独)産総研・鈴木 明)
2)亜臨界水熱処理による超硬合金からの資源回収
(名大・伊藤秀章)
3)非晶性高分子の衝撃波頭における応力・ひずみ特性
(東北学院大・佐藤裕久) 
4)極限環境を利用した新規機械材料の創成
(名大・松室昭仁)
5)高圧力下核磁気共鳴法によるウラン酸化物の研究
(原研・酒井宏典)
6)ピストン・シリンダー型高圧装置を用いた準安定単斜晶ジルコニア高密度セラミックスの作製
(同志社大・廣田 健)
7)準安定g-Al2O3セラミックスの低温高圧焼結
○廣田 健,倉内貴司,高岡勝哉,加藤将樹,山口 修
(同志社大・廣田 健)
8)超高圧下における高純度合成ダイヤモンド結晶の変形挙動
(住友電工・角谷 均)
9)Diamond/SiC複合体のHIP合成と超高圧アンビルへの応用
(阪大・大高 理)
10)機械加工の限界を探る
(大阪電気通信大・島田尚一) 
このように,高圧力部門委員会では,高圧力の静的・動的発生,圧力測定,高圧装置,高圧下の固体・流体物性と反応,高圧加工技術など,圧力をパラメータとする極限環境を利用する材料科学,工学,理学のすべての学術分野や技術開発に多大なる貢献をしてきた.さらに,広い視点で本委員会活動の趣旨を発展させるため,平成17年度から圧力パラメータのみならず,超高真空,超高温,極低温,非平衡過程も含めた極限環境下における物質挙動と材料開発を学術領域とする「極限環境部門委員会」に名称を変更して,この分野に関心のある多くの研究者や技術者の参加を積極的に働きかけている.
 
複合材料部門委員会
(1)委員会の沿革と活動の概要
本委員会は,複合材料に関連する諸問題を取り扱い,これを解決するため幅広い研究者,技術者の方々の参加をえて,活発な調査/研究活動を行っている.本委員会は「強化プラスチック部門委員会」を前身として1965年7月に設立された.その間の本部門委員会活動の歴史はわが国の高分子系複合材料技術の発展を先導する足跡でもある.近年,複合材料に対するニーズの広がりと研究の多様化に対応するため1989年10月に「複合材料(高分子系)部門委員会」と名称を改め,1997年12月に現在の複合材料部門委員会へと発展してきた.近年,高分子系複合材料のみならず,金属系およびセラミックス系複合材料も広く委員会の活動の対象として取り上げている.現在,委員数は企業系23名.大学・高専・国公立研究機関関係117名,構成委員の年代バランスは良好であるが.遺憾ながら.ここ数年の深刻な経済状況を反映して企業会員が減少している.
(2)委員会の主な活動
本委員会の主な活動には定例委員会,FRPシンポジウム,研究ワーキング・グループ,国際学術交流などがある.
1)定例委員会:
定例委員会は,おもに複合材料に関する先端のトピックスの紹介や解説,特定のテーマについて情報交換するため,各専門分野で活躍されている方々による講演・討論を年5回程度開催している.定例委員会は委員会の基本的な活動の場であり,忌憚のない意見交換を促進し,2004年12月で200回を数え,記念例会を開催した.委員会の開催にあたっては,他の部門委員会や他学・協会との連携にも努めている.委員会では運営に関する事項の検討のほか,海外視察報告や年1回程度の企業見学を実施し.より実際的な技術に触れる機会としている.2004年度には,
197回 定例部門委員会 「スマート材料」
198回 定例部門委員会 「複合材料の土木分野への応用と寿命制御」
199回 定例部門委員会 「複合材料応用における最近の話題と成形加工技術の動向」
(見学会を併催)
200回定例部門委員会(記念例会)
「複合材料の今後を考える」
企画T:「若手技術者の研究動向と今後の展開」
企画U:  招待講演
企画V:「企業訪問紀行」
201回定例部門委員会 「接着・接合」
などをテーマとする委員会を開催した.詳細については末尾に示すホームページを参照されたい
2)FRPシンポジウム:
FRPシンポジウムは当部門委員会の最大の年中企画であり,毎年3月中旬に開催している.近年,JCOM (JSMSCOMPOS-ITES) の名で親しまれ,90年代後半からは毎年100件以上の講演が発表されている.複合材料の全分野をカバーし,わが国この分野関連では最大規模の.中心的シンポジウムとなっている.第34回FRPシンポジウムは平成17年3月17日〜19日,同志社大学寒梅館(京都市)において開催した.「天然繊維強化複合材料」「民間ジェット機の複合材料構造の開発」をテーマに,2件の特別講演,97件の研究発表があり,活発な討論が行なわれた.参加登録者240名で,盛会裏に終えることができた. 本シンポジウムでは.より高度な研究発表を期待すべく部門委員会賞として論文賞と奨励賞が設けられている.また,複合材料技術の振興のため企業に技術賞が,若手研究者の複合材料研究への奨励と今後の活躍を奨励するため学生会貝に優秀講演賞が設けられている.詳細は委員会ホームページを参照されたい.これを励みとして企業技術者の方々や若手複合材料研究者の方々には積極的に参加されたい.
3)研究ワ一キング・グループ (WG) 活動:
主担当者が中心となって複合材料の種々の分野で独自の研究を進め,特定のテーマを集中的に討論する場を提供するため,研究WGを設置している.WGの活動期間は1年間としている.2004年度には「成形・加工」,「寿命制御コンクリート」.「グリーンコンポジット」が活動した.
4)国際学術交流および国際会議開催;
1992年より近隣諸国を中心に,「アジア複合材料会議」の開催の礎として学術交流に取り組まれた.部門委員会を代表して10人前後が各国を訪問し,複合材料セミナーの開催,各地の大学,研究所あるいは企業の見学を通じて,複合材料関連の研究者や技術者との学術交流を深めている,これまでに.韓国(92年),台湾(93年),中国(94年),英国(95年).香港(96年),シンガポール(97年)を訪れ,その成果は1998年大阪で第1回アジアーオーストラリア地域複合材料会議 (ACCM-T) として実らせた.その後も,ベトナム(2000年).タイ(2001年)訪問.ACCM-U(韓国,2000年),ACCM-V(ニュージーランド,2002年)への積極的な参加を続けている.一方,新しい活動として,グリーンコンポジットをキーワードにした国際ワークショッフ (IWGC) を国内において2002,2003,2004年に開催し,また,2003年度には,「竹資源と複合材料に関する日越ジョイントシンポジウム」(ハノイ)の共催に取り組んだ.本年は再度台湾を訪れた.10年前の様子とは違い,実生産の主体を中国本土に移す傾向が見られた.
2004年9月には第3回の複合材料の疲労に関する国際会議 (ICFC3) を同志社大学(京都市)で開催した.
5)その他の活動と今後の取組み;
本学会の通常総会・学術講演会の併設行事として公開部門委員会の開催や講演会のOSあるいはフォーラムを企画担当し,学術講演会の活性化に対して積極的に貢献している.2005年度は生体医療材料部門委員会と共催でフォーラム「生体・医療分野における複合材料の役割」を,OSでは「複合材料の成形・加工最前線」を担当する.
複合材料の技術的環境は成熟期に入り,実用化の時代である.複合材料はますます過酷な仕様と信頼性の向上が求められている.一方で,持続可能な社会の構築に向け,いわゆる環境との調和を視座に入れた複合材料のリサイクル,リユースに対する社会的要請が今日の重要な課題である.今後,複合材料の研究/開発はさらに高度化.多様化するとともに.新たな技術展開が求められている.委員会では若手研究者の増強と新たな研究展開を模索している.
(3)本委員会への加入方法
新らしい委員の委嘱にあったっては.幹事会の議を経て,委員会に諮って承認を得ることになっている.原則として,本委員会委員の推薦によるが,加入希望者は所属・連絡先などを明記した文書を添えて本部門委員会事務局(末尾ホームページを参照されたい)あるいは本学会事務局に直接申し出られてもよい.当委員会では,特に若い方の増強を図りたいと考えている.複合材料に関心をお持ちになる会員諸氏の入会と委員会活動へのご参加をここにお願いする次第である.
なお.本委員会の委員となるには本学会の正会員または賛助会員でなければならない.また,上記活動に必要な資料費として,企業から法人委員として加入される場合は25,000円を,大学・官公庁・企業などから個人会員として加入される場合は年間3,000円を,それぞれ納めていただいている.法人委員にはすべての定例委員会資料の無料送付サービスや研究WGの成果など刊行物の一部無料配布などの特典がある.
本委員会ホームページ:http://compo.jsms.jp/index.html
 
コンクリート用混和材料部門委員会
1948年にAE剤,1950年に減水剤がともにアメリカから導入され,1950年にはAEコンクリートが生コンクリート工場から初めて出荷されて,わが国における化学混和剤の本格的な使用が始まった.1982年のJIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)の制定により,化学混和剤がコンクリート用材料であるセメント,水,細骨材,粗骨材に次ぐ第5番目の材料として認知された.
第一世代のAE剤,第二世代の減水剤とAE減水剤の使用目的は,コンクリートの作業性改善,凍結融解に対する抵抗性の向上,減水効果によるセメント量の低減および強度増進であった.1960年代に開発された高性能減水剤および1970年代に開発された流動化剤は,第三世代に相当する.高性能減水剤はスランプロスが大きいために主にコンクリート二次製品に,流動化剤硬練りコンクリートの施工性改善に使用されてきた.しかし,流動化剤の現場添加に伴う人員の確保と騒音問題,ベースコンクリートと流動化コンクリート双方の品質管理の実施,流動化コンクリートがJIS A 5308に適合しないことなどから,流動化剤は現在に限られた一部でしか使用されていない.1980年代中頃には,練混ぜ水と同時添加ができ,高い減水性能,適切な空気連行性およびスランプ保持性能を有する高性能AE減水剤が第四世代の化学混和剤としてわが国で開発され,1995年には高性能AE減水剤の品質規定を盛り込んだJIS A 6204が改正された.この他にも,水中不分離性混和剤,収縮低減剤,硬化促進剤,超遅延剤をはじめとする多種類の化学混和剤が現在使用されている.また,1996年制定の土木学会「コンクリート標準示方書(施工編)」では,“コンクリートは,原則としてAEコンクリートとしなければならない.”と規定された.化学混和剤がコンクリートの製造に果たす役割は益々増大しており,今日必要不可欠な材料となった.
一方,高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカフュームなどのコンクリート用混和材は,製造技術の進歩による高品質化,JISあるいは関連学協会による品質規格および(設計)施工指針の制定などにより,コンクリートの高流動化,高強度化,高耐久性化を目的として近年多く使用されるようになった.コンクリートの高性能化を達成するために,これからの混和材は一般に高性能AE減水剤と併用されることが多い.
以上のように,戦後約60年の間に混和材料(化学混和剤,混和材)は,著しい進歩を遂げてきた.コンクリートの高強度化,高耐久性化,高流動化など,コンクリートの高性能化および高機能化が要求される今日,混和材料の果たす役割は非常に大きい.
本委員会は,1965年7月にAE剤および減水剤の基準と試験法を確立し,フレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートの品質向上に寄与することを目的として発足した.発足以来現在に至るまで,研究発表と討議を中心として63回の委員会を開催するとともに,講演会の開催,共通試験の実施など精力的な活動を行ってきた.1967年に「構造用コンクリートに用いる化学混和剤規準(案)」の作成,1969年に「コンクリート用化学混和剤」の編集を行った.また,1984年に「コンクリート混和剤の化学」,1994年に「混和材料の進歩とコンクリートの品質」の題名で,会誌「材料」への連載として活動成果を取りまとめた.他の建設系部門委員会と合同で,会誌「材料」の特集号の刊行にも協力している.
本委員会は,1999年度に化学混和剤小委員会と混和材小委員会の二つの小委員会を設け,コンクリートの構造材料としての将来像を展望しつつ,コンクリート用混和材料の品質,それらを用いたコンクリートの品質,施工規準,適用方法,配合設計法などの問題を取り上げて検討してきた.これらの成果は,コンクリート混和材料ハンドブックとして昨年4月23日発刊された.
本委員会への加入は,本委員会開催時に委員会の承認を得ることになっている.コンクリート用混和材料に関心を持たれる会員の積極的な加入をお待ちしている.
 
フラクトグラフィ部門委員会
材料の破壊に対して種々の解析手段があるが,中でも破断面の詳細解析を行うフラクトグラフィは破壊過程のもっとも如実な観察が可能であり,各方面においてますます浸透,活用されつつある.とくに,近年の電子顕微鏡の進歩とともにフラクトグラフィは飛躍的な発展を遂げ,破壊事故解析においては事故原因の重要な証拠を提供し,また,破壊の研究に際して,ミクロとマクロの谷間を埋めるべく,破壊力学の今後の展開の最重要情報提供源の一つとして重視されている.
本委員会は,フラクトグラフィを主要な手段とする破壊の研究ならびに破壊事故解析技術のより一層の発展を推進することを目的とし,かねてより活動中であったフラクトグラフィ研究会を母体として,昭和50年10月22日に設置された.同研究委員会は,昭和44年11月,当時国内におけるフラクトグラフィの研究,応用が緒についたばかりで,この種の研究グループがなく,関係者相互間の連絡が乏しかったのに鑑み,日本機械学会フラクトグラフィ分科会として発足し,情報交換,共同研究ならびにその成果の普及活動を実施し,3年間の会期を所期の成果を挙げて満了した.その後,引き続いて,会員数を増大,フラクトグラフィ研究会として活動を継続し,本委員会に引き継がれた.得られた成果は第1回から第9回フラクトグラフィシンポジウム(昭和52年5月,54年10月,57年6月,59年6月,61年6月,63年6月,平成2年6月,5年6月,8年6月,12年11月)および「材料」フラクトグラフィ特集(昭和53年1月,55年6月,58年4月,60年6月,62年5月,平成元年5月,3年6月,6年5月,9年6月,13年11月)として公表されている.平成16年度委員会での講演内容は以下の通りである.
88回部門委員会,平成16年7月28日
  大阪にて開催,報告資料
459.インコネル718溶接部の高温割れ事例の紹介
日立造船梶@友野 裕,○田中智大
460.鉄道車両用ブレーキディスクの損傷事例と片状黒鉛鋳鉄揆基地部における各破壊形態下での微視的様相観察
川重テクノサービス梶@○山中光一,
川重葛Z術開発 大岸秀之,
川重且ヤ両カンパニー,奥 保政
461.科学捜査の現場におけるクラフトグラフィー技術の活用V
−ホイール支持部品の破損事故調査事例
三重県警察本部 ○戸田 均、
岐阜県警本部 福山邦男
89回委員会,平成16年11月29日
  埼玉大学にて開催,報告資料
462.ポリアセタール成形品の破面パターンと高次構造の関係
ポリプラスチック梶@テクニカルサービスセンター
○尾関康宏、池田義正
463.SiC粒子強化Al鋳造合金の繰り返し応力−歪応答とフラクトグラフィー
埼玉大学工学部 荒井善雄、土田栄一郎
埼玉大学大学院 陳安 竜
464.スーパー二相ステンレス鋼溶接部のぜい性破壊
○黒田敏雄
 
信頼性工学部門委員会
科学技術の進歩・発達は,21世紀を迎えその速度がますます高まりつつあり,工業製品の大型化・マイクロ化・情報化等が複合的かつ重層的に進んでいる.このような世界動向の中で,分野を問わず各種システムの損傷や破壊が発生すると甚大な被害に直結することとなり,この被害を最小限に留め,人間の生命や社会の安全を保証するために,信頼性工学の果たすべき役割が一段と大きくなっている.本学会の信頼性工学部門委員会は,この観点から「材料」を介して種々の工学分野を横断的に結び付けながら,我国にこの信頼性工学を確立・普及させることを目的に設立され,本学会の他の部門委員会は言うに及ばず他の学会とも連携して幅広い委員会活動を展開している.
平成16年度の委員会活動としては,年3回の定例委員会(2004年9月29日/京都,2004年12月15日/東京,2005年4月22日/名古屋)を開催し,毎回研究討論会を設けて当該分野の最先端の諸課題に関する活発な研究討論を行うとともに,年1回の幹事会(2004年8月24日/山口)を山口大学で開催して次年度の活動計画を討議した.また,岡山大学で開催された第53期総会学術講演会でオーガナイズド・セッション「機械・構造物の信頼性評価」を企画するとともに,総会併設行事として信頼性フォーラム「産業界における信頼性工学応用の現状と課題」を企画し,いずれも大盛況であった.また,昨年12月2〜3日には第20回材料・構造信頼性シンポジウムが京都(芝蘭会館)で開催され,材料信頼性,構造信頼性,破壊事故解析,社会基盤技術等の諸課題について,広範な研究討論が行われた.本シンポジウムで発表された講演論文を対象にして会誌「材料」の信頼性工学特集号 (Vol. 54, No. 1) が組まれ,信頼性理論,機械構造物や部材の信頼性評価,土木・建築構造物や化学プラントの信頼性評価等に関する最新の論文が掲載されている.また,本学会疲労部門委員会と本部門委員会の合同企画として実現した日本材料学会標準 (JSMS-SD-6-04) 金属材料疲労信頼性評価標準【S-N曲線回帰法】改訂版の発行と解析例についても詳細な報告が掲載されている.
さらに,本委員会の企画として会誌「材料」に連載講座「産業界における信頼性工学応用の現状と課題」を掲載することとなり,以下のとおり,自動車産業,建設・建築産業,情報産業,原子力産業の4つの代表的な分野における興味深い講座が掲載された.
1)自動車部材の強度と信頼性保証
トヨタ自動車梶@河本 洋 氏
2)建設業における信頼性工学応用の現状と課題
清水建設梶@鈴木 誠 氏
香川大学工学部 白木 渡 氏
3)情報産業における信頼性工学の急速な発展・普及について
湘南工科大学 加藤肇彦 氏
4)原子力産業における信頼性工学応用の現状と課題
鞄立製作所 
織田伸吾 氏,佐藤憲一 氏,服部成雄 氏
本連載講座について読者からの反響が大きく,現在,これをもとに他の産業分野も含めた我国の信頼性工学応用の現状と課題を集大成し,これを単行本として出版する企画が立案されている.
平成17年度の計画としては,年3回の定例委員会および年1回の幹事会の開催の他に,5月に仙台で開催される第54期総会学術講演会でオーガナイズド・セッション「材料・構造物の信頼性評価」を企画するとともに,総会併設行事として信頼性フォーラム「機械・構造物の保守・点検と安全性確保のあり方」を企画した.また,12月には第21回材料・構造信頼性シンポジウムを開催する計画であり,今回はとくに海外研究者との研究交流を促進する観点から,何らかのInternational Sessionを盛り込んだ企画を検討している.
次に,疲労部門委員会と本部門委員会の合同企画として日本材料学会標準 (JSMS-SD-6-04) 金属材料疲労信頼性評価標準【S-N曲線回帰法】改訂版が発行されたことを述べたが,現在,その英文版を編集し海外へサーキュレートする計画が確認され,準備が進められている.さらに,本標準により本学会出版の金属材料疲労強度データベースに収録された全データを解析し,材種別に最適S-N曲線モデルを選定するための企画が進捗しており,将来的に金属材料を用いた機械構造物の疲労信頼性設計法の標準化に繋げる計画である.
なお,信頼性工学の守備範囲は極めて広く,人間の安全で快適な生活を保証し,かつ人間社会の持続的発展を可能ならしめる基盤技術として社会に定着させるためには,広範な分野における産・官・学の連携が必要である.この観点から,種々の立場から本委員会へのご参加を期待している.本委員会へのご参加については,主として本委員会委員の推薦によるが,参加希望の方は日本材料学会宛に直接申し込まれると,幹事会審議を経て本委員会の承認を得た上で委員に委嘱される.ただし,企業から参加される場合は,委員会資料費として年間15,000円を納付して頂き,その他の個人会員の参加者については,1,000円の会費を徴収させて頂くことになっている.最後に,信頼性工学が,今後,ますます有用な学問として成長し,社会に広く普及・浸透することを期待する次第である.
 
破壊力学部門委員会
本委員会は,破壊力学という特徴ある力学体系と,それに基づくき裂材の強度評価体系を中心に,広く材料の破壊現象ならびにそれに関連した諸問題を取り扱う委員会である.破壊現象を取り扱うという点では,疲労,高温強度,腐食防食などの諸部門委員会と,また,強度問題一般という点では,マイクロマテリアル,信頼性工学など諸部門委員会とも共通 する部分をもっている.本部門委員会が昭和54年に発足して以来,すでに四半世紀を経た.この間,産・官・学の各委員に興味をもたれている先端技術や新素材などの先端情報の紹介や解説を行い,講演会や討論を通じて委員相互の情報交換を行うため,年4回の委員会と2年に1回のシンポジウムを開催してきた.また,本委員会は,幹事会で立案した各種議案や会の運営に関 わる基本的諸問題を審議・決定する機関として機能している.
平成16年度には,以下に示す4回の委員会を開催した.
112回 5月14日,岡山大学津島キャンパス,主題 「表面・界面の強度評価」
113回 7月15日,且O弘 本社営業部ビル,主題 「乗り物」
114回 12月16日,大阪大学コンベンションセンター,主題 「評価・診断」
115回 3月14日,鞄立製作所 日立事業所,主題 「締結・接合」
これらの講演会資料は,小冊子にまとめ,各委員に無料で配布している.
本委員会では小委員会を設け,以下のようなテーマを絞った活動も行っている.
FMニュース小委員会では,破壊力学に関連する国際会議や規格の制定・改正などの破壊力学関連のニュースを集録編集し,「FMニュース」として委員会およびシンポジウムの開催ごとに配布している.より広範囲かつ迅速にこれらの情報を集めることが可能となるよう,他の学会との連携も視野に入れている.
K値小委員会では,これまでの活動によって,応力拡大係数に関するハンドブックとして,STRESS INTENSITY FACTORS HANDBOOK, Vol.1〜5を発行してきた.このハンドブックは,国内に限らず国外でも広く活用されており,国外を含め研究者からの精度などに関する問合せに対して,委員会として対応している.また,世界中の研究者から要望があったVol. 1, 2の携帯版も発行し,好評を得ている.
トライボロジー小委員会では,「トライボロジーと破壊力学」を課題に年2回程度の小委員会を開催し,大学と企業の研究者約30名で研究活動を進め,共同研究成果をまとめている.
現在,本委員会は,法人会員数十社,名誉委員4名を含め,産・官・学約200名の委員により構成されている.本委員会の存在価値は破壊力学の実機構造物の設計など,実際面に活用されることにあるため,特に会社関係の方々の参加を強く希望している.委員会への加入は,委員会の承認を得ることになっている.加入希望者は日本材料学会事務局に直接申し出られたい.なお,会社委員には,原則として本会の賛助会員で,年間20,000円の資料費(全資料配布),その他の個人会員には年間2,000円の連絡・整理費をご負担いただいている.また法人会員は,代表者以外に4名まで本委員会のメンバーとして登録でき,登録されたメンバーは委員会へ自由に参加できる.
 
セラミック材料部門委員会
本委員会は,昭和54年6月に,セラミック材料の諸問題を扱う委員会として発足し現在に至っている.セラミックスの合成,製造,加工などの各種プロセス技術ならびに機械的,熱的,電子・磁気・光学的,化学的性質などの設計と評価技術に関する諸問題を対象に,産・官・学の研究者の情報交換・討論の場として,有用な機会を提供してきている.
本委員会の構成員には法人委員と個人委員がある.委員会への加入は,主として現委員の推薦によることが多いが,日本材料学会事務局に,加入希望する旨を直接申し出ていただいてもよい.幹事会と委員会の了承を得て,委員となって頂くことになる.なお,会の運営維持のため,法人会員には年間15,000円を,委員会での講演会や見学会の資料代等(欠席の場合も毎回送付される.各回参加費は無料)として,また個人会員には,委員会への出席各回毎に1,000円の費用負担をお願いしている.
平成16年度期には4回の委員会が開催された.委員会でのテーマ,講演,講演者,日時,場所などの内容は以下のようである.7月の委員会では,公開討論会「セラミックスの合成と評価」を行い,活発な研究発表と討論が行われた.これらの研究発表の一部は「材料」誌に寄稿され,小特集の論文として掲載されている.委員会での識者による講演会と同時に,各方面の協力を得て,セラミックス技術の研鑚に役立つ貴重な施設の見学会を行っており,好評を得ている.来期にも,意義ある委員会活動をめざして,講演会,公開討論会,見学会を計画しており,委員ならびに会員各位の一層のご支援をお願いする次第である.
113回委員会(公開討論会)
平成16年7月13日(火) 京都工芸繊維大学 工繊会館
テーマ「セラミックスの合成と評価」
加水分解法によるジルコニア合成における界面活性剤添加の影響
○長谷川 亨,塩見治久(京工繊大)
微粒・高純度AlN粉末の燃焼合成と反応制御
○桜井利隆,宮本欽生(阪大接合研)
竹炭を出発材料としたSiCセラミックスの作製 ―反応速度論的考察―
○永瀬隆行,永本郁子,塩野剛司,西田俊彦(京工繊大)
粉体系焼却灰を原料とする溶融ガラスパウダーの生成機構
○若杉 隆(京工繊大),曽田光洋(中外炉工業),佐々木 肇(間組),大田陸夫(京工繊大)
Advanced ceramic nanocomposites by supercritical drying technique
A. Yamuna, K. Tajiri*, S. Honda, and H. Awaji
(NIT, *AIST Nagoya)
ガンマアルミナ溶液浸漬法によるアルミナナノコンポジットの合成と特性評価
○小林由朋,松永拓也,本多沢雄,淡路英夫(名工大)
B2O3を添加したGd-Fe共添加チタン酸バリウムの電気特性に及ぼす焼成雰囲気の影響
○門口 修,竹内信行,石田信伍(京工繊大)
PANを用いたセラミックス多孔体の作製と評価
○太田光彦,中平 敦(京工繊大)
溶融ガラス被覆によるカーボン材料の耐酸化・耐熱衝撃性の改善
○和田匡史,北岡 諭,青山和史,川島直樹,安富義幸 (JFCC)
内藤一幸,小山光彦(中部電力)
セラミック粉体の機能化 ―耐火物原料の表面処理による高機能化―
○高橋秀典(岡山セラミックス技術振興財団)
高熱伝導SiCセラミックスの微構造
○中野裕美(龍谷大),渡利広司(産総研),
石崎幸三(長岡技科大),浦部和順(龍谷大)
高強度・高靭性ZrO2複合材料の作製と評価
○工藤高裕,村上隆幸(神戸製鋼所),太田光彦,中平 敦(京工繊大)
立方晶ジルコニアの高温変形
○筧 貴博,堀井裕之,岡本泰則(京工繊大)
114回委員会
平成16年10月25日(月)アサヒプリテック 阪神事業所
テーマ『セラミックスとリサイクル環境問題』
「セメントと環境・リサイクル問題」
住友大阪セメント 環境・資源リサイクルグループ
「廃試薬無害化〜リサイクルおよびパソコンリサイクルについて」
アサヒプリテック滑ツ境事業本部 宮内 一 氏
115回委員会
平成16年12月7日(火)日本ガイシ 小牧工場
テーマ『省エネルギーとセラミックスの再生』
「低環境負荷焼成プロセスの研究開発」
産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門
渡利広司 氏
「ジルコニアセラミックスの再生技術」
東レ セラミックス事業部 尾形知彦 氏
116回委員会
平成17年4月21日(木)京都工芸繊維大学 総合研究棟
テーマ『ゾル−ゲル法による組織制御とゾル−ゲル薄膜中の応力制御』
「ゾル−ゲル法による階層的多孔材料の作製」
京都大学大学院工学研究科 材料化学専攻
中西和樹 氏
「ゾル−ゲルセラミック薄膜における亀裂と応力の発生について」
関西大学工学部先端マテリアル工学科 幸塚広光 氏
 
衝撃部門委員会
衝撃下における材料・構造の変形,破壊現象は車の衝突や地震による動的破損といった問題から,逆にこれを積極的に利用する破砕や加工の問題まで広い分野でしばしば見られる.しかし,こうした現象は材料自身の動的性質と材料中を伝播する応力波などの力学的問題が絡み合い一般に複雑である.これらを解明するためには単に材料の物性面からのみならず,解析方法,装置・実験法,計測法などのいろいろの視点から議論し検討する必要があるが,従来そうした機会が少なかった.この点に鑑み,関連の諸分野の研究者・技術者が一堂に会して衝撃問題を議論し情報交換できる場として,本部門委員会が1981年(昭和56年)2月に設立された.それ以来,ほぼ年4〜5回の定例の委員会(研究会)のほかに,3年ごとの「材料の衝撃問題シンポジウム」を開催し,またそれを基に学会誌「材料」に衝撃特集号を刊行し,さらに衝撃問題の基礎と最近の問題を解説した連載講座を掲載するなどの活発な活動を続けている.
平成16年度の活動としては4回の研究会を開催した.下記の講演がなされ,いずれも多数の参加者により活発な討論が行われた.
平成16年度の研究会
97回衝撃部門委員会研究会(参加者30名)
−衝撃現象の解明とその工学的応用−
平成16年5月14日(金)13:45〜17:00,岡山大学津島キャンパス(岡山市)
(1)衝撃圧縮を用いた固体の強度,高圧相転移,状態方程式の研究
(熊本大学) 真下  茂
(2)生分解性ポリ乳酸の破壊挙動に及ぼす負荷速度と高次構造の影響
(九州大学) 東藤  貢
(3)衝撃荷重による薄肉部材の塑性崩壊
(名城大学) 村瀬 勝彦
98回衝撃部門委員会研究会(参加者20名)
平成16年7月30日(金)13:10〜16:20,豊橋技術科学大学総合研究実験棟(豊橋市)
(1)衝撃逆問題の効率的解法
(豊橋技術科学大学) Fergyanto Gunawan
(2)高速度ホログラフィ顕微鏡法を用いた高速分岐き裂に関する実験的研究
(青山学院大学) 坂上 賢一
(3)人間のモデル化と衝撃による傷害予測
(東京工業大学) 宇治橋貞幸
99回衝撃部門委員会研究会(参加者17名)
平成16年10月8日(金)13:30〜16:45,叶_戸製鋼所神戸総合技術研究所(神戸市)
(1)研究所見学
(2)各種金属材料の衝撃荷重下におけるひずみ履歴効果と場の理論に基づくマルチスケール多結晶塑性モデリング
(神戸大学) 長谷部忠司
(3)電磁シーム溶接の最近の進展について
(東京都立工業高等専門学校) 相沢 友勝
100回衝撃部門委員会研究会(参加者22名)
平成17年3月9日(水)14:05〜17:10,日本材料学会会議室(京都市)
−衝撃部門委員会部門賞授与式および受賞記念講演−
【受賞記念スピーチ】
衝撃強度の実用的評価法と設計
(金沢大学) 茶谷 明義
【受賞記念講演】
(1)衝撃に関する研究をふり返ってみて
(岡山大学) 可児 弘毅
(2)ゴム変性樹脂の破壊メカニズムの負荷速度依存性
(九州大学) 東藤  貢
研究会以外の活動としては,平成16年10月に第48回日本学術会議材料研究連合講演会が日本学術会議で開催され,オーガナイズドセッション「いま衝撃問題が熱い! −衝撃荷重下における材料・構造物の応答−」を企画し,25件の講演発表が行われた.また,平成16年11月に日本機械学会第12回機械材料・材料加工技術講演会が熊本大学で開催され,オーガナイズドセッション「材料・構造の動的特性」を企画し,講演発表26件の盛況な講演会となった.引き続き平成17年6月にはJSME/ASME機械材料・材料加工国際会議2005が米国で開催されるため,オーガナイズドセッション「Impact Behavior of Materials and Structure」の企画協力を行っている.さらに,日本材料学会会員増強および学会活動成果の社会還元として,前年に引き続き平成16年11月,法政大学で第三回衝撃工学
フォーラム(初心者のための衝撃工学入門)を開催し,85名の参加があった.次年度も引き続きフォーラムを開催する予定である.その他に,衝撃試験法・試験片に関するJSMS-Standard の編纂に関する提案,ISIE (International Symposium on Impact Engineering) の企画を検討している.
委員は平成17年2月現在,111名(うち法人委員10名)で,運営分担金として法人20,000円,個人2,000円を納入して頂いている.年度始めには,前年度の委員会の講演資料集を委員全員に配布している.衝撃問題に関心のある方々のご参加をお待ちしている.
 
強度設計・安全性評価部門委員会
機械・構造物の強度設計と安全性評価の問題を広く議論する場として,その活動を実施している.バブルがはじけて以来,長く続く経済環境の厳しい状況のなか,機械設備の維持補修の観点からも本部門委員会の活動は重要であると認識し,関連分野の問題について実機を念頭に置いて議論している.機械設備や構造物の破損が発生したとき,製造者ばかりでなく管理者もその責任を問われるのが現状であり,製造者と使用者,また関連分野の研究者が一同に集って意見を交換することが重要である.
本委員会は隔年に「機械・構造物の安全性,信頼性に関するシンポジウム」を開催し上記問題に関する研究発表と総合的な討論を実施している.また,平成16年度は1) 原子力機器の安全性の問題に関連して,原子力発電情報公開ライブラリーについて,2) ヘリコプターの複合材料ローターの設計,強度評価,実機試験,3) 実機部材の疲労破面の応力評価法等に関する研究発表と事例発表,討論を行った.
強度設計と安全性の問題はゆるがせに出来ない問題であり,関係分野の研究者,技術者,管理責任者の皆様に幅広くお集まり頂き,相互の情報交換の中から多くのことを学び,機械・構造物の損傷を未然に防止することに役立つことを願っています.ご関心をお持ちの会員諸氏のご参加をお待ちしています.
分子動力学部門委員会
機械工学や材料科学におけるさまざまな分野で,ミクロな視点からの研究の重要性が認識されている.この理由として以下のことが挙げられる.
・寿命予測やさまざまな環境下での材料強度特性の評価などに関して,界面・表面や格子欠陥など,電子・原子レベルの局所的構造とその変化を視野に入れた材料特性評価が必要になってきたこと.
・超LSIやマイクロマシンなど,ミクロ構造設計により開発される新しいデバイスでは,機能設計だけでなく製造プロセスや製品の力学的な健全性評価についても,原子・電子レベルでの検討が不可欠であること.
・既存材料の特性評価にとどまらず,その特性発現機構を把握することによって,特定の機能や特性を持つ新素材の開発や材料設計を行いたい,という要求があること.
一方,上記の要求を実現するためのさまざまな手段もかなり整いつつある.実験・計測手段としては従来の電子顕微鏡に加え,各種の走査プローブ顕微鏡が開発され,これまで未知であった材料表面の原子・電子レベルの構造が次第に明らかになってきている.ところでこれに呼応する理論解析は,これまでは連続体力学に基礎をおくものが主であった.しかし理論と実験との中間に位置する新たな研究手法が,最近になってにわかに脚光を浴びている.これは材料のミクロの描像にもとづく計算力学的なアプローチである.
しばしば「計算機実験」と呼ばれるこの新しい研究手法の特長は,連続体という“仮想”の材料表現から,原子集合体という“現実”の材料表現にもとづくシミュレーションに立ち戻ることによって,以下に述べるような新しい可能性を拓こうとする点にある.すなわち第1点として,実験が困難な条件下で,しかも観察の困難な材料内部の状態観察が行えるというシミュレーション一般に共通する特長だけでなく,その観察が原子レベルの分解能を持つが故に,材料のさまざまなマクロ特性の発現機構そのものが調べられること,それゆえ第2点として,材料科学の理論体系から構成則という現象論を排除し得る可能性がある,という期待である.これが可能になれば,新しい理論体系をもとに,未知の材料の設計や機能の予測も可能になるであろうと期待されている.本部門委員会では「計算機実験」の具体的手段としての「分子動力学」を構成員共通のキーワードとして掲げているが,研究対象はかなり広範囲にわたっている.すなわち
・量子力学にもとづく原子間相互作用の導出評価
・量子力学計算と分子動力学を結びつけた第1原理分子動力学
・大規模分子動力学のための並列計算などのソフトウェア技法
・計算可能な対象のスケールをミクロンオーダーまで拡大するための「繰り込み群分子動力学」
・モンテカルロ法,分子静力学
・均質化法などのマルチスケール法
・ミクロスケールの各種現象の実験計測
など多岐にわたる.また構成員は従来のカテゴリーの枠にとらわれず,様々な応用分野の研究者が集まり,横断的に情報を交換し相互交流を深めることによってこの研究分野の発展を図ることを目的としているのが大きな特徴である.
53期では,まず,材料学会総会に併せて部門企画として開催された「第9回分子動力学シンポジウム」で15件の講演発表が行なわれ,盛況を博した.続いて4回の委員会を開催した.参考のため,各委員会における講演内容を記しておく.
・第1回(7/9,大阪科学技術センター)
「カーボンナノチューブのナノツールへの展開」
中山 喜萬(大阪府立大学大学院・大阪大学大学院)
「カーボンナノホーンの構造と形成に関する理論予測」
河合 孝純(NEC基礎・環境研究所)
「カーボンナノチューブの電子デバイスへの応用」
粟野 祐二(兜x士通研究所・富士通梶j
・第2回(10/29, 東京大学工学部)
Si熱酸化膜/Si界面とその形成機構」
影島 愽之(NTT 物性科学基礎研究所)
「金属/セラミクス界面のマルチスケール破壊モデル」
吉川 暢宏(東京大学生産技術研究所)
・第3回(12/9, 大阪大学中之島センター)
「群集パニックのDEMによる数値解析(朝霧歩道橋事故に関連して)」
辻   裕(大阪大学大学院)
「土質力学における粒子モデルの応用」
松島 亘志(筑波大学システム情報工学研究科)
・第4回(3/29,材料学会)
「流体力学を考慮した各種コロイド分散系のシミュレーション」
山本 量一(京都大学大学院)
「高分子構造形成と両親媒性分子の自己組織化」
藤原  進(京都工芸繊維大学)
「造岩鉱物の分子動力学シミュレーション」
三宅  亮(京都大学大学院)
多様な分野の研究者・技術者がますます参加されることをお待ちしておりますので,正会員・賛助会員ともに,参加ご希望の方は下記までご連絡ください.
e-mail: md@jsms.jp
URL: http://md.jsms.jp/
 
マイクロマテリアル部門委員会
半導体素子の微細加工技術と機械工学を結集したマイクロマシンの実現は,すべての産業分野への波及効果が期待される新技術として大きな注目を集めている.
マイクロマシン研究においては,微小機械要素あるいはその加工技術については精力的に研究が行われつつあるが, 実用に耐え,寿命予測の可能なマイクロマシンを開発するためには,実際にマイクロマシンで使われるサイズの微小 寸法材料の材料学,加工法,評価法等を含んだ総合的な立場からの検討が必要である.
また一方,電子部品に目を転じるとその微細化には目を見張るものがあり,薄膜,細線材料など微小寸法材料の信頼性 評価技術の確立は急を要する重要問題である.さらに,先進複合材料の強化繊維に目を転じればその直径はサブミクロン, あるいはミクロンレベルであり,このような強化繊維の微小領域における強化機構や環境劣化特性の解明が,複合材料自 体の破壊機構の解明に先立って必要である.
このような社会的要請を基にして,当マイクロマテリアル部門委員会は,つぎに述べる5分野に重点を置いて活動を展開 している.ここで言うマイクロマテリアル,マイクロエレメントとは,その最小寸法がマイクロメートルオーダーのもの を指し,
(1)微小材料理論
微小材料の物性・強度評価に対する従来の材料力学理論の適用の可否と分子動力学法等の新理論の研究
(2)微小材料加工法
LIGAプロセス加工,リソグラフィ加工,集束イオンビーム (FIB) 加工等の新しい微小材料加工法の研究
(3)微小材料評価法
微小材料機械的強度試験法と評価法,微小材料,薄膜の静的機械的性質,破壊じん性,疲労強度,環境強度,摩擦・摩耗試験法, 材料性質,設計基準等に関する研究
(4)微小材料観察法
プローブ顕微鏡をはじめとして種々の最新の観察手段による,種々の微小材料のナノメートルを分解能とするナノフラクト グラフィ技術に関する研究
(5)微小材料,マイクロエレメント応用技術
現実に製作されているマイクロマシン,電子デバイス,生体計測,マイクロプローブ等における材料性質上の問題点の抽出と 設計基準確立に関する研究
の諸分野が研究対象となる.
活動は年3〜4回の委員会を開催し,上記5分野にまたがる話題提供と研究討論,研究設備見学を行っている.2004年度の委員会の講演内容を参考のため,下記に示しておく.
27回委員会
1.マイクロマテリアルの界面強度
平方寛之,北村隆之(京都大学)
2.マイクロマテリアルの機械的特性評価と環境効果
箕島弘二(大阪大学)
3.マイクロサイズ材料の破壊と疲労評価
高島和希(東京工業大学)
4.マイクロマテリアルの疲労寿命と疲労損傷評価
中井善一(神戸大学)
28回委員会
1.放射光ナノプロセシングとマイクロデバイスへの応用
内海裕一(兵庫県立大学)
2.量子ビームを用いた原子・分子操作とその応用
持地廣造(兵庫県立大学)
3.形状記憶合金薄膜マイクロアクチュエータの開発
井上尚三(兵庫県立大学)
4.プラズマイオン注入を活用した高密着性圧膜ダイヤモンドライクカーボン
八束充保(兵庫県立大学)
29回委員会
2回マイクロマテリアルシンポジウムとして開催,セッション名,講演件数のみを以下に示す(詳細は,材料,53巻,8号参照).
1.疲労特性 5件
2.試験法 5件
3.破壊じん性と材料欠陥 4件
4.エレクトロマイグレーション 3件
5.X線測定 3件
6.物性評価 5件
7.微小材料の作製・加工 3件
マイクロマテリアル研究は,従来の材料学研究とは一線を画した新規の考え方,アプローチを必要とし,また,従来の材料学の常識を覆す新材料,新現象の発見につながる材料研究の新大陸でもある.関心の向きは是非とも当部門委員会に参加されることを切望する.なお,部門委員会委員に対しての資料・通信費の負担はない.また,事務連絡,議事録送付等は原則として電子メールおよびホームページ (http://micromat.jsms.jp/) で行っている.
 
半導体エレクトロニクス部門委員会
本部門委員会は1998年10月に発足し,大学,企業,公立研究所から多くの研究者が集まり半導体エレクトロニクス研究に関する活動を行っている.目的としては,半導体エレクトロニクスに関する研究を通じて学術的交流・人的交流を促進し,本分野の発展を図ることにある.本研究にかかわる大学,公立研究所を開催場所として以下の趣旨でホットなトピックスについて研究会を開催している.
福祉,高齢化,環境における様々な問題点を克服し,今後とも社会が発展していくためには高度情報化の実現が是非とも必要である.これらの高度情報化をハードウェアサイドから担うのが,大容量の情報を高速かつ簡便に処理できる電子機器・素子技術の発展である.これらの電子機器・素子はシリコン,ガリウム砒素など,多様な半導体のもつエレクトロニクスの発展によってより高性能化してきており,今後も更なる発展が期待されている.このなかで,半導体,金属,超伝導体,誘電体,磁性体などの電子材料の作製・加工・物性解析の研究が重要な役割を果たしているのはいうまでもない.
これらの研究成果は留内学会・研究会,国際会議や学術論文誌で発表されている.しかし,研究発展投階での実験・理論解析などについて自由な雰囲気で議論し,かつ将来にわたる研究動向,指針をも大胆に話し合える機会は少ない.そこで,大学,公立研究機関,企業の関係する科学者,研究者,技術者を集めて上記のような半導体エレクトロニクスを中心とした話題について親密な議論のできる半導体エレクトロニクス部門委員会の活動に期待されるところが大きい.研究,開発における失敗談や問題提起から国際会議報告なども含めた技術懇談会風の楽しい会合を持つ委員会としている.
こういった趣旨のもとで,平成16年度に3回委員会・研究会を開催した.平成16年度の研究会でのテーマは以下のとおりである.
16回(平成16年6月18日,大阪大学)
1)希土類添加III-IV族半導体の新展開:秩序制御と量子機能
藤原康文(阪大・工)
2)Cat-CVD技術の新しい展開−低温パッシベーション技術と高密度ラジカル処理技術
増田 淳(北陸先端大・材料科学)
3)臭い識別センサの基礎的検討
藤本 晶(和歌山高専・電気工)
4)バンド計算による強誘電体材料の計算
金島 岳(阪大・基礎工)
17回(平成16年9月22日,立命館大学)
1)MEMS構造設計における材料特性評価の役割
磯野吉正(立命館大・理工) 
2)放射光を用いたセラミックス微細加工技術とその応用
平田嘉裕,仲前一男,沼澤稔之,高田博史
(住友電工・エレクトロニクス・材料研)
3)Pb(Zr,Ti)O3バルクセラミックスのマイクロ接合技術
田中克彦,杉山 進(立命館大・理工)
18回(平成16年10月27日,大阪工業大学)
5回大阪工業大学バノベンチャーシンポジウムと共催
1)バイオMEMSの現状と展望
藤田博之(東大・生研)
2)腕時計型HEMデバイスおよび生体適合圧電薄膜創製技術の開発
槌谷和義,上辻靖智,仲町英治(大阪工大) 
3)バイオとデバイスと情報処理の融合:
Bio-inspired Technology
山下一郎(松下電器・先端技研)
4)MBE成長ZnO薄膜上への酵素固定化に向けての現状と課題
尾形健一,小池一歩,佐々誠彦,
井上正崇,矢野満明(大阪工大)
5)スタートアップとアントレプレナーシップ
小林 光(メディビック)
6)グルコースオキシターゼ固定化電極の特性評価
細川友宏,松田里奈,平野義明(大阪工大)
7)成長因子による組織再生の促進
井上 望(ラッシュ医大)
また,本委員会で発表された講演を中心として,毎年1回材料学会誌小特集「半導体エレクトロニクス」に論文掲載を行っている.平成16年度は12月号に小特集が発行された.次回は平成18年2月号の予定である.
上記テーマに関して気軽に議論し,話し合っていける楽しいフォーラムとしていきたいので,興味を持たれた方は是非とも参加していただければ幸いと願っているところである.
 
生産科学部門委員会
省エネ,省資源ならびに持続可能を目指した生産は,環境,情報,バイオと共に現在の我が国の工業界におけるキーテクノロジーの一つである.日本材料学会では,今までに時宜を得た多くの部門委員会が設立され,材料を取り巻く多くの研究・開発がなされてきた.そのような中,本部門委員会は,生産を科学的に捉え,材料をキーワードに生産を取り巻く問題解決を研究目的として平成13年5月に設立された新しい委員会である.
我が国の生産に関わる技術は,戦後の復興並びにその後の発展に大きく寄与したことは言及するまでも無い.しかし,現在は,研究者や技術者の生産に関する総括的議論の場が少ないこと,後継者育成や技術継承問題,次世代への生産に対する戦略など多くの指摘があり,我が国のものづくりが危ぶまれている.
21世紀における「ものづくり」について,その創成のコンセプトを創出し,実現させることを主眼に,地球環境などを視野に入れて「生産」の科学技術を発展させることが,我が国の経済を支え,社会の安定的発展には不可欠である.このような趣旨に基づき,生産科学部門委員会では,定例委員会,シンポジウムなどの活動を行っている.
特に,平成16年度は従来の定例委員会形式ではなく,多くのテーマが議論できるような形式とした.そこで,平成16年度の委員会活動としては,2回の部門委員会を開催した.8月には,三菱重工業の伊豆高原クラブにて,委員会委員の生産に関する研究テーマを持ち寄り,その研究内容発表と討論を目的に二泊三日の委員会を開催した.活発な討議がなされ,各研究の将来展開方向を考えていくべき指針の一助となったと参加者の評価を得た.
また,12月13日に東京大学で開催された第8回生産学術連合会議 講演会において,15の協賛学協会の1つとして講演企画した.本シンポジウムでは「製造業の将来像」,特に製造業を活性化するために,産官学それぞれがどのような将来像を持つべきかを目指して,生産科学技術があるべき姿を議論した.講演会では,8月の合宿で提案された研究テーマから3テーマを選び,講演していただいたほか,経済産業省産業機械課課長補佐 辻本様から「明日の生産技術政策を紡ぐ」と題して製造業への産業政策を,ものづくり大学吉川様には「ものづくり教育」についてご講演いただいた.参加者は74名にもおよび大盛況であったと同時に,有意義であったとの評価を得た.
平成17年度の委員会活動計画としては,参加企業協力のもと,定例の部門委員会開催のほか,夏季の合宿研究会やシンポジュウムにも協力するなど積極的な委員会活動を計画している.特に,生産システムやわが国が取り組むべき研究テーマを中心に委員会活動を計画している.
なお,本部門委員会への新しい多くの参加者を大いに期待しております.委員会および研究分科会への参加は,主として本委員会の現委員の推薦によるが,参加希望の方は日本材料学会に直接申し込まれると,幹事会審議を経て本委員会の承認を得たうえ委員に委嘱される.
 
エネルギー・環境材料部門委員会
本委員会は2002年5月に設立された.次に掲げる設立趣旨と活動方針に基づき運営を行っている.2004年度は5回の委員会を開催し,エネルギー・環境に関連する話題を多方面から提供戴きこの領域が今後ますます重要になることの確信を得た.多くの方が本部門委員会に加入されさらに活発な議論ができることを願っている.
1. 設立趣旨
21世紀に解決しなければならない重要な問題として地球環境問題,エネルギー問題がある.これらの問題のうち材料に関連した技術開発とその評価に関してそれらを個々に取り扱うのではなく,異分野の研究者および技術者がエネルギーおよび環境的視点から様々な材料に係わる検討課題を横断的に検討し,解決していく必要がある.日本材料学会は,材料をキーワードとしてこのような問題を学際的に取り扱う学会として最もふさわしく,かつ社会的に果たすべき役割も大きい.そこでエネルギーおよび環境の問題を材料という観点から専ら討議する場としてエネルギー・環境材料部門委員会を設立するものである.
2. 活動方針
本委員会は,日本材料学会会員である大学,官公庁,企業の研究者,技術者からなる委員により構成し,エネルギー変換材料,環境適合材料から材料のリユース,リサイクルなど,エネル
ギー・環境に関わる材料の関連分野に焦点を当て,年3〜4回程度の委員会と年一回のシンポジウムを開催し,研究成果を社会に還元する.
3. 2004年度活動内容
第1回 2004年 5月16日(土)
 学術講演会オーガナイズドセッション エネルギー・環境材料
 場所:岡山大学
 (北海道大学 石井邦宜先生に基調講演をお願いした.)
第2回 2004年11月16日(火)
 資源エネルギーおよびリサイクルと環境問題
 場所:東京大学(開発技術学会と共催)
第3回 2004年11月29日(水)
 環境技術の研究開発に関する講演会
 環境技術研究開発フォーラム (JET) フォーラム
 場所:東京大学(鉄鋼協会と共催)
第4回 2005年3月23日(金)「循環型社会と材料」
 場所:材料学会2階会議室
 
ナノ材料部門委員会
本委員会は2003年(平成15年)2月に発足した.
[設立の趣旨]
近年のナノテクノロジーの進展にともない,ナノスケール領域における材料の特性に関する情報の必要性とともに,ナノスケールレベルにおいて活用され得る新しい材料の開発に対する要求が急速に高まっている.これらのニーズに応えるべく,ナノスケール分析を核とし,有機・無機・高分子化学,機械工学,金属工学および物質情報工学を中心に,ナノをキーワードとする材料に関する総合的な研究を推進することを目標として,本部門委員会が設立された.
[コアメンバー]
相澤龍彦(東大先端研),石原慶一(京大エネ科),井上明久(東北大金材研),大塚浩二(京大院工=委員長),木村俊作(京大院工),瀧川敏算(京大院工),東 健司(阪府大院工),平尾一之(京大院工),河合 潤(京大院工)
2004年度(平成16年度)の委員会活動は以下の通りである.
53期学術講演会オーガナイズドセッション「ナノマテリアル最前線」(2004年5月16日,岡山大学)
一般講演:1)「フェムト秒レーザーを用いたナノ細線 (20 nm) の描画」
平尾一之,下間靖彦,藤田晃司(京大院工)
2)「メカニカルコーティングによる酸化物薄膜の作製」
魯 云,広橋光治(千葉大工)
3)「金ナノ粒子の基板表面への新しい固定化法」
山口伸也,上林みやこ,張 敬東,小山宗孝(京大院工,京大国際融合創造セ)
4)「ビスマス系酸化物ガラスの屈折率と分散」
漆原 誠,難波徳郎,三浦嘉也(岡山大環境理工)
5)「ビスマス系酸化物ガラスの化学状態と光学特性」
住宮 悟,難波徳郎,三浦嘉也(岡山大環境理工)
6)「亜鉛フェライトナノ粒子の水熱合成と磁気的性質」
森田啓之,田中勝久,藤田晃司,若杉 隆,大田陸夫(京工繊大,京大院工)
7)「ランダムフォトニックナノ構造における希土類イオンの空間選択的価数制御」
藤田晃司,大橋良太,村井俊介,平尾一之(京大院工)
8)「BCC-Cuナノ析出物による析出硬化機構のMD解析」
赤星保浩,神崎正一郎,福田忠生(九工大院)
9)「DR1-環状ペプチド複合体からのSHGに及ぼす錯形成効果」
藤井重克,森田智行,木村俊作(京大院工)
10)「熱レンズ顕微分光法を用いるマイクロチップ電気泳動の高感度化」
北川文彦,末吉健志,大塚浩二(京大院工)
48回日本学術会議材料研究連合講演会オーガナイズドセッション「ナノマテリアル最前線」
2004年10月20日,日本学術会議)
一般講演:1)「微小空間における熱レンズ分光法およびナノ分子構造体を利用したマイクロチップ電気泳動の高感度化」
北川文彦,末吉健志,水野 潤,和田恭雄,庄子習一,大塚浩二(京大院工,早大理工)
2)「ナノテクノロジーを利用した電気泳動分析用チップによる生体関連物質の高性能分離」
相沢詩織,岡本行広,北川文彦,大塚浩二(京大院工)
3)「ヘリックスペプチドを用いて電子移動反応を制御したナノ分子システムの創成」
森田智行,柳澤和幸,安富史郎,渡辺 潤,木村俊作(京大院工)
4)「テルライトガラスの光ポーリングと光第二高調波発生」
右近咲希子,田中勝久,米崎功記,若杉 隆,大田陸夫(京工繊大,京大院工,山梨大)
5)「分子軌道関数の変化特性に着目したNaCl型超伝導化合物の転移温度の評価」
高原 渉,南二三吉(阪大院工)
6)「金ナノ粒子の炭素基板表面への固定化と構造成長」
小山宗孝,山口伸也,張 敬東(京大国際融合創造セ,京大院工)
7)「Sm2+添加アルミナ−シリカ多孔体における光化学反応」
村井俊介,藤田晃司,中西和樹,平尾一之(京大院工)
8)「Controlled Surface-Plasmon Coupling in SiO2-Coated Gold Nanochains for Tunable Nonlinear Optical Properties」
Yang Yong, NogamiMasayuki(名工大)
1回委員会(2004年11月15日,JST研究成果活用プラザ京都)
話題提供:1)「フェムト秒レーザー照射の新技術開発」
司金 海(JST),藤田晃司,平尾一之(京大院工)
2)「レーザーを使った細胞マイクロマニピュレーション」
梶山慎一郎,小林昭雄(阪大院工)
3)「ポストゲノム解析におけるメタボロミクス研究の可能性と技術的問題」
福崎英一郎,小林昭雄(阪大院工)
4)「フェムト秒レーザーのモレキュラ−バイオテクノロジーへの展開と期待」
植田充美(京大院農)
活用プラザ館内見学
2回委員会(2005年2月4日,京都大学桂キャンパス)
話題提供:1)「ナノ構造体を用いるDNA分析」
加地範匡(名大院工)
2)「糖質薄膜による機能材料開発」
三浦佳子(名大院工)
3)「STMバリアハイトイメージングによる表面下に存在するドーパント観察」
黒川 修(京大国際融合創造セ)
本委員会は,本学会員に広く門戸を開放し,ナノ材料全般にわたる最新の情報収集・情報交換の場を提供しようとするもので,関心ある研究者・技術者の参加を期待している.
 
生体・医療材料部門委員会
本会は2004年4月に発足した新しい部門委員会である.
 
設立趣旨
近年の科学技術の進歩にともない,特に医学・医療分野と材料科学・機械工学分野を結合した学際領域の研究が大きく前進し,生体機能に関する基礎的研究から患者の治療を中心にした臨床的な応用研究まで,多くの異なる専門領域に跨がる共同研究や研究交流が積極的に展開されている.整形外科,外科,歯科など医学分野では人工の置換材が用いられることが多くなってきた.また,X線透視,CT,MRIなどを用いた低侵襲治療の普及・開発に伴うX線透過性や非磁性などを有する医療器具,車椅子などの補助・福祉機材,義手・義足などの義肢装具等,生体・医療分野においてそれぞれの要求に合った材料開発や利用技術の確立の必要性が叫ばれている.これらの生体材料・医療材料については,比強度・比剛性に優れた材料,耐環境性に優れた材料,生体適合性に優れた材料,成形性に優れた材料など,多種多様な機能や特性が要求されるので,材料科学・医学・生物学・化学・機械工学などさまざまな分野の研究者,技術者を包含した研究開発システムの構築が不可欠となっている.また,このような分野の材料は直接人間の生命に直結するので,十分な機能と高い安全性・信頼性を保証する必要があり,そのための技術の確立,ならびにその標準化に対する要求が一段と強くなっている.日本材料学会は「材料学」に関する学術の発展と技術の向上に寄与することを定款に掲げており,現在,材料学に関する極めて広範な個別専門領域における27の部門委員会を擁し,研究活動の展開と情報発信を盛んに行っている.このように「材料学」を共通の土俵にして,種々の分野の研究者・技術者が分野横断的に参集し,活発な学会活動を展開している点が本学会の一つの特徴である.一方,生体材料・医療材料については,上記のとおり異分野の研究者・技術者が幅広く連携する必要がある.したがって,生体材料・医療材料に関する研究活動の場として,まさしく本会がその特徴を活かし得る代表的な研究分野であると確信する.以上の観点から,1)医療・福祉分野と材料分野の交流や情報交換,2)医用材料の創製・成形・加工・試験・評価などの手法確立と標準化,3)福祉・医療機器や義肢装具の開発等を推進するために本部門委員会が設立された.
 
設立以降の活動は以下のとおりである.
1.生体・医療材料部門委員会設立総会ならびに第1回生体・医療材料部門委員会(2004年4月20日,同志社大学大阪サテライト)
設立記念講演
1)「生体環境設計における生体材料設計の役割」
富田直秀(京都大学国際融合創造センター) 
2)「医療材料の規格化および評価技術の動向と展望」
岡崎義光(産業総合技術研究所)        
3)「生体用チタン材料およびその生体活性付与技術の動向」
松下富春(叶_戸製鋼所医療材料部)    
2.第53期学術講演会オーガナイズドセッション「生体・医療材料」(2004年5月15日,岡山大学津島キャンパス)
3.第2回生体・医療材料部門委員会(2004年7月23日,同志社大学大阪サテライト)
趣旨:生体材料の生物学的な安全性は,臨床応用が可能な材料の開発研究の基本でもあり,古くて新しい課題といえる.材料の実用に際しては厚生労働省のガイドラインに沿った特性評価は最低限必要である.この観点で歯科材料の安全性評価の現状を紹介する.また,将来の課題を探る意味で,最新の研究を工学の立場と医学(整形外科)の立場で紹介する.
1)「歯科用金属材料の生体親和性と細胞毒性の評価」
武田昭二(大阪歯科大学歯科理工学) 
2)「歯科インプラントの基礎および臨床的評価」
戸田伊紀(大阪歯科大学解剖) 
3)「荷重分散機能に注目したバイオミメティック設計」
三木正俊(叶Vキャタピラー三菱) 
4)「金属インプラントに腱を付着させることは可能か?」
井上 望(同志社大学工学部)
4.第3回生体・医療材料部門委員会(公開)・日本材料学会関東支部セミナー
2004年10月14日,慶應義塾大学日吉キャンパス)
主題「産学から見た生体・医療材料」
趣旨:高齢化社会の到来とも関連して,最近,生体材料や医療材料の開発の重要性が幅広く認識されはじめている.関連分野における最新の研究を工学および医学(整形外科)の立場と企業の立場から平易に紹介する.
1)「Niフリーステンレス鋼の開発と実用化への過程」
塙 隆夫(東京医科歯科大学生体材料工学研究所) 
2)「リン酸カルシウム骨ペーストの開発と市場ニーズへの対応」
梅田智広(且O菱マテリアル生体材料事業センター) 
3)「整形外科医が望む生体・医療材料」
須田康文(慶應義塾大学整形外科) 
5.第4回生体・医療材料部門委員会(2005年3月28日,JT生命誌研究館)
趣旨:生命を「機械」として捉えてその機能を工学に活かそうとする研究が活発化する一方で,生命と人との関わり合いを大切にしようとする科学のあり方にも,多くの関心が寄せられている.両研究は一見対極にあるようでいて,各論では同じ課題をかかえている場合もある.生命を工学的に捉えようとする最先端の試みを例示し,生命にかかわるこれらの知識をどのように理解し,工学的なアプローチで何を目指すのか,などについて円座で語り合う.
語り合い「生命と工学」
 話題提供1「機能とは何か」
富田直秀(京都大学国際融合創造センター)
 話題提供2「材料として見た骨」
田邊裕治(新潟大学工学部)
 話題提供3「形とは何か」
橋本主税(JT生命誌研究館・大阪大学理学研究科)
 話題提供4「多様性と『適当』」
山本浩司(京都大学大学院工学研究科) 
 コメンテーター:中村桂子(JT生命誌研究館館長)
 進行:富田直秀(京都大学国際融合創造センター)
    坂本 信(新潟大学医学部)
本委員会の委員になるには,学会本部事務局に申し込まれるか,生体・医療材料部門委員会事務局biomed@mail.doshisha.ac.jpまでご連絡いただきたい.本委員会の委員は,委員会の運営に必要な経費・資料費として,個人委員として年額2,000円,企業委員として年額20,000円をそれぞれ納めていただいている.