公開部門委員会
改質材料の疲労特性
企画
疲労部門委員会
形式
現地対面
会場
石川県地場産業振興センター 第2研修室(本館2階)
日時
2026年5月29日(金)13:00〜16:25
趣旨
近年,表面改質,組織制御,分散強化,熱処理,接合・接着などにより機能を付与した改質材料は,自動車・航空宇宙・エネルギー・インフラ機器へ広く適用されている.一方,静的強度や耐食性の向上が必ずしも疲労寿命の安定化につながらず,残留応力,界面特性,欠陥分布,環境因子に起因するき裂発生・進展挙動の変化や寿命ばらつきが顕在化している.そのため疲労メカニズムの基礎,S-N特性・き裂進展特性の評価,破面・微視組織を把握し,改質の効果とリスクを理解したうえ設計指針を作成することが重要である.本講演では改質材料の中でも組織制御に着目し,それに関連する研究テーマを紹介する.
プログラム
1. 13:00〜13:30 ビジネスミーティング
2. 13:30〜13:50 R7年度疲労部門委員会部門賞贈呈式
3. 14:00〜17:00 研究討論会「改質材料の疲労特性」
(1)14:00〜14:40
調和組織制御による切欠き効果消失への挑戦
静岡大学 工学部
准教授 菊池 将一 氏
構造用金属材料の力学的トレードオフを解消するため,ネットワーク状の微細結晶粒が粗大結晶粒を取り囲む調和組織が開発された.この不均質構造化による高強度・高延性の両立については,粗大結晶粒が主として塑性変形を担う一方で,微細結晶粒が終局強度の発現に寄与する機構が明らかになりつつある.本講演では,調和組織材料の疲労特性に着目し,応力・ひずみの不均一性を利用した切欠き効果消失に向けた取り組みについて紹介する.
(2)14:40〜15:20
調和組織材料の力学特性に関する原子シミュレーション
金沢大学 理工研究域機械工学系
教授 下川 智嗣 氏
調和組織材料は,粗大粒領域が微細粒領域に囲まれたヘテロ組織材料であり,均質な微細粒材料や粗大粒材料と比べて,高強度と高延性を同時に示すことが報告されている.その特徴として,微細粒ネットワーク組織,粗大粒/微細粒界面,ならびに強度の空間的勾配が挙げられるが,これらが優れた機械的特性を発現させる微視的機構は十分に解明されていない.本講演では,調和組織材料における格子欠陥ダイナミクスに着目し,分子動力学シミュレーションを通じて明らかにしたヘテロ組織特有の変形機構について紹介する.
(休憩 15:20〜15:30)
(3)15:30〜16:10
ECAP加工されたステンレス鋼の疲労およびSEM/ECCI法を用いた微視的組織観察
大阪公立大学 工学研究科
教授 兼子 佳久 氏
Equal-Channel Angular Pressing(ECAP)法でステンレス鋼を加工すると,ナノ双晶などが形成され強度が大幅に増加する.そのようなステンレス鋼に対し低サイクル疲労試験を実施し,繰返し硬化/軟化挙動に及ぼす加工条件やひずみ振幅の影響を調査した.加工回数を増やすと繰返し軟化が抑制され,微視的組織が安定化することが示された.また,疲労したステンレス鋼の微視的組織の発達を最新のSEM/ECCI法で観察した.自己組織化した転位構造に加えて,ひずみ誘起マルテンサイト相や積層欠陥を広範囲に画像化することができた.